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3次元CADの本格普及に備える

アルゴ21との合併で研究開発を強化

[2008年06月号]

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キヤノンITソリューションズ 製造事業本部
エンジニアリングソリューション事業部
新井三鉉事業部長

 キヤノンマーケティングジャパンの完全子会社であるキヤノンシステムソリューションズ(キヤノンSOL)と、同完全子会社のアルゴ21は、2008年4月1日に合併し、キヤノンITソリューションズが発足した。

新会社になって何が変わるのか?
 旧キヤノンSOLは、溯ると住友金属工業のシステム部門から始まっており、製造業の顧客の比率が高いシステムインテグレータ(SI)である。アルゴ21は、金融事業に対してソリューションを提供していた。組み込みシステムなど両社に共通する事業領域もあるが、両社の統合により製造、金融、組み込み、公共、流通サービスなど幅広い事業領域に対応可能なSIとして再スタートした。ITの基盤や研究開発部隊などを強化したため、これまで対応しづらかった大規模で高度な技術を必要とするプロジェクトにもチャレンジできるようになった。

 これまで製造業向けでは領域別に事業部を置いてソリューションを提供していたが、合併にあわせてそれらを製造事業本部として統合した。これまでの領域別のアプローチではなくトータルに顧客を支援するために、複数事業部を統合した効果を出していく。製造事業本部は、独自のソリューションも含めて生産管理、生産実行システム(MES)、企業資源計画(ERP)、顧客関係管理(CRM)などいくつかの分野をカバーしている。顧客に対しては、これまでの業種別、業務別の部門最適の提案から、製品開発の上流から下流までのトータルサポートによる全体最適の提案を行っていく。その取り組みから顧客が全体最適のノウハウを確立し、蓄積できるよう支援する。また、そういったノウハウを製造事業本部でも蓄積していきたい。

3次元CADの導入状況は?
 CADビジネスの主力製品はSolidWorksであり、これを中小企業と大手企業を含めて国内の製造業全体に広め、定着させようと取り組んでいる。現在の3次元CADの市場を見ると、顧客の現場で3次元CADへの完全な移行はそれほど進んでいない。2次元CADがインストールベースで相当数残っている。

 ユーザーへのアンケート結果によると、顧客は従業員数100人以下の企業から何万人という企業までに及び、SolidWorksユーザーの約8割が2次元CADを併用している。一方で、今後も2次元から3次元への移行を、積極的に進めていきたいという顧客が半数以上を占める。3次元化の目的として圧倒的に多いのが、解析専門部隊とのやりとりも含めて設計部隊で3次元データを使ったCAEまで行うというものである。これにCAMとPDMがつづく。04年からよく言われているのが、先進的に3次元化に取り組む企業では設計の3次元化は進んでいるが、それ以外の企業にはまだ浸透していないということである。現在もその状況はそれほど変わっていない。

 しかし、本当に3次元化が進んだら、各CADベンダーや販売代理店の現在の体制ではカバーできる規模ではないだろう。それがいつ起きるのか分からない。我々のやるべきことは、そういう来るべき時代に備えることである。3次元化が本当に進み、市場にその需要がなだれ込むまでにその準備をしておくことが重要である。具体的には、供給体制、教育体制、顧客の業務を支援するサポート体制を固めていく。

 SolidWorksユーザーには、数本など導入本数が一桁という事例も多い。ミッドレンジCADのSolidWorksは、高価なハイエンドCADに比べて、導入しやすいのが特徴。その特徴を生かして少数本数のユーザー層はかなり拡がってきている。我々は裾野を拡げる努力を継続するとともに、3次元CADを顧客の中で基幹CADとして育てていく取り組みに注力する。そのために、3次元設計をしっかりと運用してもらうためのソリューションを併せて提案する必要がある。3次元データを生かすためのCAE、CAM、PDMなどを含めて、コンサルテーションやカスタマイズ化、開発などのサービスも併せた我々独自の付加価値を提供している。

中長期のビジョンや方向性は?
 ツールを販売するだけでなく、ソリューションプロバイダとして顧客の課題を解決する。中長期計画では、SolidWorksを主力製品として位置づけ、SolidWorksで3次元化するならキヤノンITソリューションズ、と発想してもらえるよう実績を積んでいきたい。そのために、事業全体を拡大しながらSolidWorksだけではなく、さらにそれ以上の付加価値を提供する事業体を目指していく。3次元化に困ったときには我々に声をかけてもらえるようになりたい。

 SolidWorksの拡販と、住友金属工業時代から蓄積してきたノウハウを生かしたエンジニアリングサービスの両輪で顧客のお手伝いをしてきた。08年は、CADとエンジニアリングサービスだけでなく、3次元化に必要なCAEやPDMなどのいくつかの商材をどう組みこんで、事業規模をどこまで伸ばすかという議論をしていきたい。

(聞き手:大村泰憲)



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