ドリームライナーがもたらす
工業用締結具の新潮流

[2008年06月号]

「PennEngineering社は2007年、中国での設計チームの創設など製品開発グループの エンジニア数を倍増した」


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ドリームライナー効果

 明らかに、ドリームライナーの大きな成功と、現時点で米国内の航空機生産が盛んなことが、米国内の工業用締結具業界が復活、再生を果たす主な要因になっている。

 最適な事例がある。Acument Global Technologies社の北米ビジネスユニットは、航空機関連ビジネスのために大規模な新規投資を行っている。この分野への製品供給は長期間中止していたが、最近になってようやく再参入したところである。Acument社はイリノイ州ロックフォードに新工場を建て、ドリームライナーなどの新しい航空機のプラットホームに製品を供給する。

 「我が社の研究によると、航空機産業の締結具の需要と供給の間には大きなギャップがある」と、バイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーのMartin Schnurr氏は言う。ここでいうギャップとは、供給量と生産性の双方で向上が求められていることを指す。ドリームライナーのような複合材料を用いた飛行機では顕著になってくる。

 Acument社(当時は米Camcar Textron社)は3年前、ボーイング用として、「Torx Plus」(http://rbi.ims.ca/5707-557)という新規のねじ締めシステムを発表した。Torxは、ねじ頭部に六角形の星形パターンを持ったねじである。Torx Plusはより大きなトルクに耐え、ねじ頭部の摩耗を抑制することができる。最初の時点から組み立て時の速度が速くなり、保守時にも締結具の取り外しが速くなる。Acument社は航空関連プロジェクトに新規設計エンジニアを3人追加した。

 「我が社の事業は先端技術ビジネスであり、一般的な製品と競合するつもりはない」とSchnurr氏は言う。「率直に言えば、生き残りのためだ。ここ2年間で、10件の重要な締結具製品を発表した」

 同社は、自動車分野に「Torx Plus Maxx」を提供している。Torx Plus Maxxでは、ナットが回転している間、ねじ部品の軸側が強固に固定される。「一般的に駆動系で用いられる。駆動系では、締結具の頭部側には工具が届かないからだ」とAcument社のLarry Pickett氏は言う。「組み立て工一人で、締結具の端部を固定しながらナットを回すことができる」

 電子機器については、特殊な潤滑性のあるポリマーコーティングにより、バリを生じさせずにディスクドライブの組み立てが行える製品を提供している。「小型化が進むにつれて、市販のねじにあるような凹部では、締め込み能力が不足してくる」と、Acument社のテクノロジー担当エクゼクティブディレクター、Tim McGuire氏は言う。「より小さな凹部形状を発明しつつ、コーティングの潤滑性も高めなければならない。」Acument社はディスクドライブ用締結具をアイオワ州デコラの工場で生産し、主にアジアに出荷している。

航空機用材料
 航空機の組み立て分野で重要度を増している新規材料については、ピッツバーグ郊外の技術センターで、米Alcoa 社が開発中のチタン、アルミニウムリチウムなどが知られている。

 組み立て行程全体を通して、次第に個別の部品よりもシステム全体を重視するようになってきている。この傾向は航空機産業で最も顕著である。

 「ボーイングのB787プロジェクトで導入した当社の新世代の締結具は、構造あるいはシステムを物理的に一体に保つという一般的な役割以外に、エネルギー管理システムの重要な一部にもなっている」とSharpe氏は言う。「工業用締結具に複数の役割を求められたのはまったく初めての経験である。しかし、これは始まりに過ぎない」

 Alcoa社の別の発明はEddie-Boltという2ピン式の締結具である(http://rbi.ims.ca/5707-558)。この締結具は複合材料向けに最適化されている。この方式では等間隔の5本の溝が、ピンのねじ部の一部に設けられている。組み合わせの相手になるEddie-Nutには、等間隔の3個の突起(ローブ)がある。取り付け時にはナットの突起が変形し、ピンの溝とねじ山に食い込み、機械的ロックを形成する。ねじ長さの最適化とピンのねじが終わる部分の調整を組み合わせて、ピンの全長とナットの高さを低減することができる。その結果、重量削減効果も得られる。これらの特徴により、締結具の静的および動的な強度を保証し、ナットとボルトの機械的ロックにより耐振動性を向上することが可能となる。

 「この方式は、重量面でも組み立ての面でも課題を解決し、『F/A-22』(http://rbi.ims.ca/5707-559)、『Typhoon』および『F-35』などの軍用機のプロジェクトで用いられている。商用ジェット機およびビジネスジェット機にも、この技術の改良型が近いうちに用いられる。この技術により設計の限界を打ち破り、運搬性能も改善できるからだ」と、Sharpe氏は言う。

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