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[2008年06月号]なぜ油圧なのか?
基本的な設計コンセプトは、電気ハイブリッドと油圧シリーズハイブリッドで大差はない
提供:INNAS社
完全シリーズハイブリッドでは、エンジンの負荷と路面の負荷が直結しないので、最大効率点に近い範囲で運転を続けることができる
提供:INNAS社
油圧式の完全シリーズハイブリッドは、コストと重量を従来のトランスミッションと同レベルにとどめながら、大幅な燃費向上と排気ガスの削減によって、これらの目標を同時に達成できる可能性がある。例えば、 「Volkswagen Passat(パサート)」をベースとしてINNAS社が設計した四輪駆動の油圧ハイブリッド車の設計コンセプトは、シミュレーション結果から、その実現性が確認された。このシミュレーションは、コンピュータによる予測と実際の油圧機器から得られた測定データを組み合わせたもので、ドイツのアーヘン大学のエンジニアによって実施された。
その結果、パサートの油圧式パワートレインの効率は、車両のブレーキから回生されるエネルギーを加えると約95%になった。この数字は、通常の機械式の駆動系と比べると、わずかに約4%高いだけである。それでも、燃料からの全体的な変換率は、従来の車両が18%だったのに対して、油圧ハイブリッドではエンジンの最適化と停止動作によって38%にまで高められている。これは、「エンジンがつねに高い負荷を受け、最も効率的な状態で運転されている」(Achten氏)ためだ。さらに、新欧州走行モード(NEDC)のシミュレーションでは、全走行時間のうちエンジンが作動しなければならなかったのは、9%だけであった。Achten氏によると、全体的な効率の向上によって、燃料消費量は通常車の100kmあたり6.6リットルから油圧ハイブリッドでは100kmあたり2.9リットルになり、排気ガスの量は半減するという結果が出た。
ミシガン州アナーバーにある米環境保護局国立排ガス研究所でもまた、油圧ハイブリッドによる燃料効率向上などのメリットについて確認している。同研究所の技術移管担当役員であるJohn Kargul氏は、「我々は、早くから、油圧ハイブリッドが最も大きな可能性を秘めているという結論に達していた」と言う。
米環境保護局は、最近では油圧ハイブリッド式の配達用トラックに注目している。しかし、Kargul氏によると、同研究所では小型の試験車両も製作しており、例えば米Ford Motor社(フォード)の「Taurus」をベースにしたものもあるという。08年3月にラスベガスで開催された油圧関連の展示会IFPEで、Kargul氏は、ディーゼルエンジンを搭載した車体重量1,752kg(3,800ポンド)の油圧ハイブリッド車で、35.9km/リットル(85mpg)の燃費を達成したことを報告している。また、フォードのSUV「Expedition」をベースにした車両では、市街地と高速道路の両方を走行した場合の燃費が82%向上している。Kargul氏によると、市街地に限れば130%の改善が見られたという。
同氏によると、こうした改善につながっている要因は、エンジンの動作領域のうち最も効率のよい動作点で運転していることと、エンジンを停止しながら走行すること、ならびにブレーキからエネルギーを回生していることだという。これらのシステムにおけるブレーキからのエネルギー回生機能は、市販の電気ハイブリッド車よりも格段に性能が高いが、これは、アキュムレータの高い出力密度によって実現されている。Kargul氏はまた、米環境保護局の油圧ハイブリッド車の多くは、ブレーキ動作で発生した通常なら捨てられるエネルギーのうち少なくとも70%を回生していると言う。同氏の推計では、電気ハイブリッド車の場合、バッテリーのエネルギー密度が低いため、この数字は20〜25%になるという。「バッテリーで70%に近づけるには、サイズを3倍にしなければならない」
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