そして、電気自動車に替わって、プラグイン・ハイブリッド技術が重要な選択肢として浮上した。プラグインでは電池による航続距離の制限は問題でなくなる。米国の自動車メーカーが設立した組織であるUSABC(米国高性能電池コンソーシアム)が立てた目標は航続距離16km(10マイル)と64km(40マイル)というものである。要求される航続距離が短くなることによって、電池メーカーは300〜400W-hr/kgにせまるようなレベルのエネルギー密度を達成する必要がなくなった。USABCは16kmの場合に56W-hr/kg、64kmで96W-hr/kgのエネルギー密度が必要になるとした。
電池のバックアップとして内燃機関と発電機を備えたプラグイン・ハイブリッド車の場合は、電気自動車の問題となっていた航続距離を大幅に改善することができると、自動車メーカーの幹部は言う。例えばGMの幹部によれば、Chevy Voltは総航続距離で640km(400マイル)が可能だという。「仕事場から48km(30マイル)のところに住んでいる人は、帰宅してから毎晩充電するか、あるいは昼間仕事の間に充電すれば、64km/リットル(150マイル/ガロン)の燃費が得られる」と、GMの副会長Robert Lutz氏は、2007年にデトロイトモーターショーの聴衆に語った。
しかし、価格の問題は解決していない。現実的なコストに向けてUSABCが立てた目標は、電池航続距離64kmのプラグインで293ドル/kW時、および16kmのクルマで500ドル/kW時である。ここでも短い航続距離にメリットがある。短距離用の電池パックは小さくて済むから、電池メーカーは10年前の遠大な目標を狙う必要がない。当時の目標は100ドル/kW時というとてつもなく難しいものであった。
とはいえ、この目標も容易に達成できないことはすべての人が認めている。Design News誌が専門家に依頼して、現在のリチウムイオン電池の相場を推定してもらったところ、500から1,000ドル/kW時という答えを得た。リチウムイオン電池セル単体だけでも一般的に300ドル/kW時になると、専門家は言う。しかし電気自動車用電池の価格は、セル自体の他に、パッケージング、保護回路、冷却システム、さらにはディーラーの手数料などを含む。
「単純な話ではない」とElton Cairns氏は言う。Cairns氏はカリフォルニア大学バークレー校の化学工学名誉教授で、GMの自動車用燃料電池の開発者を務めた経験があり、ジェミニ有人宇宙船の電池の設計者でもある。「電子回路とパッケージを加えると、1,000ドル/kW時程度になるだろう」
しかし、大部分の専門家の意見が一致を見たのは、残された課題の核となる部分はエンジニアリングであり、新規発明を必要としないという点だ。「現在の課題はスケーリングである」と、CAR(Center for Automotive Research:自動車研究センター)のディレクター、David Cole氏は言う。
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[2008年06月号]
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A123Systems社は、リチウムイオン電池内部のコバルトをリン酸鉄に置き換えることによって、熱暴走の可能性を削減した
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