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ユニバーサル・スタジオの最新のアトラクション『リベンジ・オブ・ザ・マミー・ザ・ライド』は最新のローラーコースター技術と、アニマトロニクスと特殊効果技術を初めて融合させることで、古代エジプトへの恐怖の旅を創り出した、室内型の乗り物系アトラクション(ライド)である。 エンジニアたちがこのアミューズメントパーク史上もっともスリルに満ちたライドをどのように創り出したかを、舞台の裏側に侵入して一緒に見てみよう。
先端ライド技術 入り組んだ走路配置を通って、重量数トンの車両を進ませるのに、エンジニアたちは、さまざまなリニア同期モーター(LIM)と最新の片面型リニア誘導モーター(SSLIM)技術を取り入れた。この形式のモーターの基本構造は、モーターのステータが展開してリニア・ステータになっている。SSLIMは走路のレールの間に設置される。車両のセンタービームの一部はアルミニウム製のリアクションプレートになっていて、SSLIMとそのリアクションプレートによって生じた磁場が車両を動かす力となる。 車両走路上の前進と後進の動作のために、エンジニアたちは、LIM、SSLIMとペーサー・モーターを組み合わせて配置した。LIMは独立した5000kvarの変圧器から電源を供給され、2500kvarの適応型無効電力補償装置(AVC)により動く。 SSLIMは速度と動力制御のために、通常の60Hz固定の動作と異なる、可変周波数駆動制御を採用している。非接触のSSLIM技術のメリットは、カーブのある水平な走路での滑走が可能で、速度制御の面で幅広いオプション選択ができることだ。 SSLIMは前後進可能だが、逆推進力は減速に用いられるだけだ。正確な位置決めのために、サーボフィードバック・ループが形成される。近接センサーで車両の位置と速度を検出し、測定データは命令速度と比較され、差異が生じていたら修正される。 「SSLIMの可変周波数機能により、車両がゆっくり進むテーマ区域と、高エネルギーのコースター区域双方で、車両を制御できる」とHightower氏は言う。 また、最も困難な技術的チャレンジは、車両を緩やかに進めるための制御だったと、同氏は付け加える。ここでは車両の位置が、天井を覆う炎、カブトムシの大群、ブラックライトを用いて創り出されたホログラムの幽霊などの特殊効果と、バレーの振り付けのように、精密に同期しなければならない。 New York Times誌によるとライド2カ所については合計で8千万ドルかかったというがここまで精緻さを極めても、やはりエンジニアたちは各種の難問にぶつかる。たとえば、モーターのエアギャップを狭めれば制御性は上がるが、同時にコストも上昇する。 エンジニアの望み通りにモーターを大量に詰め込む訳にはいかない。しかし、最終的には46台のモーターを必要としたため、この同調が大変だった。「乗客の荷重によって左右される広い範囲の車両重量や、側面ガイド車輪の圧力と摩耗によって変わる車両の抵抗や、車両が個々のSSLIMを通るときに推進、減速させる能力の限界などにシステムを適応させるようにチューニングしなければならなかったことは、チームにとって難題だった」とHightower氏は説明する。実際の話、この微調整は非常に難しく、アトラクションがオープンしてからもしばらく続いたほどだった。 数トンの重量になる複数台の車両が高速で安全に走行するためには、停止能力の信頼性も高くなければならない。今回の車両でもその原則は守られ、4種類のブレーキが備えられている。エンジニアたちはまず初めに、ターンテーブルなどの決まった位置に車両を確実に固定するため、標準的な挟み込み型のコースターブレーキを使った。このブレーキは発射台での後退防止装置の機能もあり、ブロックゾーンの分離にも使用される。 同じ走路上を複数の車両を走らせるローラーコースターライドでは、ブロックゾーンによる安全システムの採用が一般的である。このシステムは、車両の存在を検知し、次の車両がゾーン内に入るのを禁止することにより、車両同士の衝突を防ぐ仕組みだ。低速カーブ走路でのゾーン分離には、圧力板形式のブレーキも用いられる。このブレーキは車両の底部の板に圧力を加えて車両を停止させる。 車両を停止させずに、単に速度を落とすためには受動型磁気ブレーキを採用した。この非接触型ブレーキは、表面を摩耗させずに、車両の速度に比例したエネルギーを消散させる。能動型磁気ブレーキは受動型磁気ブレーキと組み合わせ、車両の速度をさらに低下させるために用いる。ただし完全に停止はしない。重量が大きく、挟み込み型ブレーキを作動させる前に別のブレーキが必要になる車両では、このブレーキが一般的である。
アニマトロニクスの驚異 リベンジ・オブ・ザ・マミー・ライドの最大の見せ場は、騒ぎを起こそうとしているミイラのイムホテップと接近する遭遇場面である。ライドアトラクションのデザイナーは、ここで観客を驚かせ、迫力を出したかった。 最初の構想では、ミイラをロボットアームからつり下げて、走る車両の通り道の上から2m3cm(6フィート8インチ)もの腐ったぼろ切れの固まりが飛び出して、観客を襲うようなつくりにしようかと考えたほどである。 最終的にはこのアイデアは実現されなかったが、アニマトロニクスのミイラ(すべり機構に接続した梁に、胴部が取り付けられている)は、うずくまった状態からリアルに飛び出してくる。 フロリダのイムホテップのフィギュアは、34種類の独立した動作を4000psi(27.6MPa)の油圧系で動かして、アナログと力フィードバック制御を行っている。エンジニアたちによれば、こうした比較的高圧力の漏れを制御するために、特別に設計したシールを使用している。 これとは対照的にカリフォルニアのフィギュアは、アナログとデジタルの80psi(550kPa)の空気圧で動作させている。コストは油圧式の三分の一程度。胴体のひねりや、5方向の頭部の動き、腕の転回動作などの古典的動作に加えて、このイムホテップは外れたあごの動きを、上あごと下あごの非対称動作で見事に実現している。 航空機の油圧制御システムで一般的に用いられる力フィードバック制御が、アニマトロニクスの分野で活用されている。シリンダボディーとロッドエンドの間のロードセルを用い、力と位置の信号を収集し、サーボ制御を行う。この機構で、エンジニアたちが「ボーン・ボーン」効果と呼ぶ意図しない振動や揺れを制御できる。動くフィギュアにおける力フィードバック制御の難しい点は、荷重が加わる角度が常に変化し続けるため、向きの異なる力成分が送られてくることである。この問題をどう解決したかについてエンジニアたちは明言しないが、フィギュアにはいかなる揺れも見られない。 フィギュアは1日12〜16時間も稼動する。そのため、堅牢性と保守性は設計上でもっとも重要な点だ。設計要件には20〜30年後に、ショーの設備が役割を終えるまでにさらされるであろう、膨大な繰返り応力にともなう、疲労度を考慮することも含まれる。連結部品の製造については、高応力になりやすい溶接部を最小限に抑えるために、部品の大半は高強度ステンレス鋼のブロックから機械加工で削り出すという対策をとっている。
洗練された制御システム 乗り物アトラクション管理システム(RSS)の機能は、すべての統括制御システムで、PLC、リニアロジックデバイス、およびセンサーからのリアルタイムデータを用い、ショーのすべてのエレメントの精密なタイミングの振り付けを行う。ショーの各エレメントはサブシステム・コントローラ(SSC)によって制御される。開始のトリガーは、ライドアトラクションのショーのすべてのタイミングをつかさどるRSSからSSCに送られる。 ユーザーインターフェースには複数のレベルがある。最初のレベルは、メインオペレータインターフェースであり、タッチスクリーンとハードウエアスイッチとボタンからなる。テクニカルディレクタのブースの中に設置されるステーションは、ライドアトラクションの最上位のスーパーバイザーとして機能し、アトラクションの状況に関する情報と警報を表示する。オペレータ制御盤はライドアトラクションの各所に設けられ、作業者が監視用として、あるいは走路切り替えなどのショーの各種エレメント制御とライドの各部分の制御のために用いる。 ショー全体で同期を取るために、動作のプロファイルは常に最新の状態に更新されていて、アニメーションがほかのショーエレメントと同期する仕組みになっている。そしてイムホテップが飛び出して「おまえの魂は私のものだ!」と叫ぶ時、イムホテップの外れたあごが完璧に同調して動くことになる。これは観客にとってかなりの恐怖だろう。
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