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June 2005
5台連続プレスを可能にした自動車向け成形機
Schuler社のAutomotive Busuness Unit部門の取締役であるHans Hofele氏によると、新コンパクト・トランスファープレスは、製造メーカーの生産量を増し、金属加工用金型のコストを引き下げる。ここに示されている同社のテスト・スタンド・シミュレーターを使用することにより、顧客は自分の工場でどのようにトランスファー・モジュールを設定すればよいのかについて計画を立てることができる。

ピックアンドプレース機の7軸動作で、完全自動化を達成。 加工待ち部品スペースを不要に。


著者_LAWRENCE D. MALONEY
写真_SANTA FABIO

















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 自動化への巨額の投資に関して、世界の製造メーカーはみな、同様の希望を持っている。それは高い生産高を実現し、そして高品質な部品製造ができ、さらに作業スペースを最小にできる設備だ。独Schuler社は金属成形の分野において、これまで長い間パイオニアの役割を果たしてきた。そして今、これらの要求に応えつつある。同社の新しいクロスバー・トランスファープレス機はプレス間の部品が次工程へ送られる時の待ち時間をなくし、複雑な自動車部品の欠陥発生を防ぐ。このプレス機は、Design News誌/オムロンの革新賞を受賞した。
 そして、この受賞が追い風となり、同社は欧州および米国内から既に8台の同プレス機の受注を取りつけた。プレス機一台あたりの価格が約3.5億ユーロであることを考えれば、これは決して小さな成果ではない。
  「この機械には非常に多くの興味を掻き立てられる。Schuler社は、大規模オートメーションの分野において、特筆すべきたぐいまれなメーカーの一つだ」と雑誌『金属成形』のプレス技術を担当するシニアエディターのLouis Kren氏は言う。



加工待ちスペースは不要

 Schuler社の自動車ビジネス部門取締役であるHans Hofele氏によると、新しいプレス機で最も技術革新が進んだ部分は分散搬送システムだという。既存のクロスバー・トランスファープレスは中央に集中したメカニカル駆動装置を採用していたが、それと異なる、この新システム自身の電気的駆動装置による自発的な搬送が特徴だ。
  「モジュール化された搬送ユニットは独立しており、100%プログラミング可能だ」とHofele氏は説明する。「また、それらのユニットを設置する前にSchuler社の設備でテストすることができる。そのためシステム全体を早く立ち上げられる」。
 この新しいプレス機の設計は、プレスフレームの相対する位置にある2個のドライブがスイングアームを経由してカーボン製のクロスバーに接続する。同時に、そのドライブは二つのプレスステージ間で搬送ユニットを形作る。スイングアームの中に組み込んだ追加のドライブにより、7軸の動作ができる。このため、搬送ユニットは二つのステーション間での部品搬送中に部品を回転し、方向変換させて、分離することができる。

モジュール式トランスファー・ユニットにおいては、二つのプレス・ステーション間の部品待ちの空間を不要にした。この新しいデザインにおいては、モジュールは一つのステーションから1個の金属薄板部品をつまみ上げ、それを次のステーションに直接搬送する。

 この設計のために、部品メーカーは、特別の部品形状に従って二つの成形ステーションの搬送時の動きを一度にプログラムできた。ドライブは各々独立しているため、オペレーターはプレス速度と搬送の動きを個々に調整することが可能だ。その結果、連続操作で金型の中で傾斜成形が必要な部位を持つ難しい形状の部品でも、作ることができる。
 「これまでのプレス機だと、最も複雑な形状の部品を作るようにスタンピング作業を設計しなければならなかった」とSchuler社の製品管理部門長であるUwe Kreth氏は説明する。「しかし、さほど複雑でない部品に対して、プレスの作動速度を速くするような調整はできなかった」。
 また新しい設計では、プレスステージ間に部品の加工待ちのための場所や共通の保管場所が要らないため、その分の工場スペースも不要だ。古い設計ではプレスステージ間で加工待ちの部品を一時保管しなければならなかったため、設備のそばにスペースが必要だった。これは、全体で約15%、工場スペースを節約できる。モジュール式搬送ユニットは、一つの成形場所から真空カップで部品をピック・アップする。そして一連の動作でその部品を直接次のプレス機にセットする。
 「部品の加工待ちスペースを省いたことが、大型トランスファープレスの今後の方向性を示している」と、米フォード社の北米スタンピング・オペレーションズの取締役であるPaul Kosaian氏は言う。同氏は、Schuler社の新しいプレス機ならプレスラインの長さを約20ft(約6m)短縮するだろうと言う。「また、機械稼動時間を伸ばすことも可能だ。実際にはエラーや損傷が生じるのを防ぐため、あまり稼動させないのだ」。
 Schuler社のコンパクトクロスバー・トランスファープレスは、全長約25mにもなる五つの成形ステーション(成形スライド)から成り立つ。また、代表的な設備では、プレスの前に一工程ある。そこでは鋼板あるいは"ブランク"を、巻きほぐし機から取り出し、洗浄して、再びコイル状に巻く。
 6個の搬送モジュールのうち1台めは、コンベヤーからブランクを1枚ずつピック・アップし、それを最初のステーションに挿入する。そのステーションではブランクを3次元形状にする。後続する各ステーションで、それぞれの金型は追加の打抜き、切断やトリミング作業を行う。最終のモジュール式トランスファー・ユニットは、最終成形ステージから取り出した完成部品をターンテーブル上に置き、ターンテーブルが部品を二つの排出コンベヤーに送る。
 製品管理部門長であるKreth氏によると、新プレス機は従来のプレスよりもはるかに融通が効き、さまざまな部品形状を作ることができる、と説明する。このプレスは、トランク、フード、サイドパネル全体など大型自動車部品を製造できるように設計されている。そして、毎分最大16ストローク動作する。部品のサイズによるが、このシステムは1ストローク当たり1〜4個の部品を製造できる。このプレス機なら従来のクロスバー・プレスより少なくとも10%以上生産量が増加する、とKreth氏は言う。


アントワープにあるGM社のオペル組立工場(写真,上)は、欧州で2番目にこの新コンパクト・プレスを設置した工場である。右側の写真は新しいSchuler社のプレスの五つあるステーションの一つを接写したものである。部品のサイズによるが、このシステムは1回のストロークで1個から4個の部品を作ることができる。


デザインの簡素さと品質

 よくなったのは、柔軟性と省スペースだけではない。ペンシルベニア州ベスレヘムにある独Bosch Rexroth Industrial Hydraulics社のプレスグループのマネジャーであるJeffe Grube氏は、新しいプレス機の設計上のシンプルさを成功の主な理由に挙げている。「5台のプレスにそれぞれ5台の機械ドライブを取り付ける代わりに、一つの大型ドライブをプレスのクラウンに設置するだけでよい」と、Grube氏は説明する。これにより構成部材数は減り、信頼性を高めることができる。

このプレスの五つの金属成形ステージは全長25m。代表的な設備には、プレスの前部に巻きほぐし、洗浄、巻き直しのための空間があり、後部に仕上げ部品を取り出す空間が存在する。一つの大型メカニカル駆動装置が五つの成形ステーションを動かしている。

 シンプル設計のメリットは、この新トランスファープレスにもう一つの鍵となる、今までのプレス機設計にはない特徴を持たせたことだ。その新しい機構は"油圧のベッド・クッション"だ。金型内の力を制御し、上型が固定した下型に向かって動く時に部品が受ける損傷を防止する。Schuler社は独Bosch Rexroth社と共同でこの新しいモジュール式クッションを開発したが、このクッションは初期のデザインより構成部材の数がはるかに少ない。
 このクッションはプレス内の各ステーション中のピット、あるいは"地下部分"に設置される。クッションのシリンダはプログラムを組むことで、各種の機能を発揮する。その機能は、ダンピングやプレスの速度にクッションを合わせるための加速、金型から部品を取り外すための上昇の動きなどである。Bosch社のMX-4あるいはBeckhoff社のコントローラのいずれかを使ってクッションのアクチュエータを動かすことになる。
 「事実、このクッションにより、このプレスは他のどんなプレス機よりも優れている」と、ミシガン州オーバンヒルズでプレス機などの販売およびテクニカルサービスをしている米Morrell社の技術系副社長であるBernard Kristen氏は言う。「今日このクッションの効果で、以前よりずっと小さい曲げ半径で自動車部品の加工ができるようになった。また、このクッションシステムは疲労クラックや他の損傷も防止する」。
 Morrell社はSchuler社と共同で、Bosch Rexroth社からの構成部材を用い、パワーユニットを開発中だ。そのユニットは、フォード社やGM社に現在導入が進む新しいSchuler社のプレス機に組み込まれる予定で、クッション、潤滑や油圧装置を備えたものだ。その他このプレスの主なパーツ供給メーカーとして以下の数社がある。


■ 独Indramat (Bosch Rexroth) 社:搬送モジュール用のサーボドライブ
■ 独Siemens社/米Allen Bradley 社:プレス操作全般制御用PLC
■ 独REFU(Bosch Rexroth)社:メカニカルプレスの主な動力源となる600馬力のモーター2個

 Schuler社、自動車ビジネス部門のマネジャーであるHofele氏は、数カ月内にフォード社はルイスビルまたはバッファロー工場で、このプレス機を稼動させる予定だという。一方GM社はミシガン、オハイオ、インディアナの4工場にこのプレス機の設置を計画している。

Bosch Rexroth社のMX-4コントローラは、プレスの新しい油圧クッション用アクチュエータを動かす。

Schuler社のプログラム可能な油圧式ベッドクッションは、プレス下部のピットの位置に設置されている。 このクッションは金型内の金属薄板ブランクへの力の配分をコントロールし、複雑形状の部品に欠陥が発生するのを防ぐ。


このコンセプトの証明

 米自動車メーカーから受注した新しいコンパクト・クロスバー・トランスファープレス機の開発に、Schuler社は7年間を要した。Schuler社の過去の輝かしい歴史には、1900年に開発した、世界最初のトランスファープレスや1990年に開発したメカニカルクロスバープレスがある。
 フォード社が最初の新コンパクトプレスを2003年9月ドイツのSaarlouis工場に設置した。Schuler社は納入前に、ドイツのGöppingen本社工場でプレスを200万回以上ストロークさせて(これは1年間のストローク数に匹敵する)、システムのテストを実施した。このテストを通じて、Schuler社は自動車メーカーからの意見を取り込んでプレス機を改良し、完成度を高めていた。
 「製品の完成度を高めずに、そのような高価な装置をマーケットに送り出すことは、リスクが高過ぎただろう」とHofele氏は言う。



ご質問がありましたら、editor-dn@reedbusiness.jp までお願いします。

ウェブ情報源
Schuler社の新しいトランスファープレスに使用されている技術の詳細はこちらから

Schuler社製金属成形機:
http://rbi.ims.ca/4388-559

Bosch Rexroth社製油圧制御製品:
http://rbi.ims.ca/4388-560

Morrell社のテクニカルサービス:
http://rbi.ims.ca/4388-561

Siemens社製プログラマブルコントローラ:
http://www2.automation.siemens.com/simatic/controller/html_76/controller_03.htm

Allen-Bradley社製プログラマブルコントローラ:
http://www.ab.com/plclogic/


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