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| August 2005 |
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GP-Bの核心部分は4台一組のジャイロスコープである。
玩具として売られているあまり精度の高くないジャイロや、ミサイル誘導に使われる精密ジャイロとは全く別物である。
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アインシュタインが生きていたら…
一般相対性理論から派生した
慣性系の引きずりを検証
著者_BILL SCHWEBER (EDN誌)
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2004年4月20日、米国カリフォルニア州バンデンバーグ空軍基地から打ち上げられた米ボーイング社のデルタII型ロケットは、重力プローブB(Gravity Probe B:GP-B)を軌道に乗せることに成功した。一般相対性理論の帰結を検証するための40年にわたる探求は、これにより新しい段階に突入した。この実験は、1960年に立案され、1964年に予算が認められたが、財政、物理学、実現方法の各方面の障害によって遅れていた。しかし、このほど誤差要因を排除したり、相殺することで正確な測定技術の最高到達点を実現した。GP-B(Gravity Probe B)は、多くの科学技術プロジェクトと同様に、基本概念は簡潔だが、実現は厳しいものである。
現在アインシュタインの相対性理論が事実として受け入れられているのには、正当な理由がある。同氏が1905年に特殊相対性理論を発表し、それに続いて1916年に一般相対性理論を世に出して、空間と時間と重力を結びつけることに成功して以来、この二つの理論は無数の試験や観測によって検証されてきた。大きな尺度の事象と原子的尺度の事象の両方を予測し、説明できることも確認されている。この洗練された公式E=mc2に要約される特殊相対性理論は、量子論と同様に多くの技術者と科学者の仕事にもっとも大きな影響を与えている。
しかし、一般相対性理論の細かなところで、実験による直接の確認ができなかった点が一つある(下囲み記事『慣性系は引きずられているのか』を参照)。同理論が予測する影響があまりに細かく、1970年代半ばのHulse氏とTaylor氏による連星パルサーの発見がこの影響を間接的に証明しただけである。 このGP-B実験は、科学者の実験室で行われている実験とはかなりかけ離れている。全設備は重量3トン、長さ6.4m(21フィート)の筐体の中に収められていて、現在、高度640km(400マイル)で極軌道を周回している。桁外れな正確さが要求される実験なため、この打ち上げ時の発射時刻の許容範囲は一日に付き1秒しかなかった。この範囲から外れると、ガイド星と位置関係を合わせた正確な極軌道にこの設備を乗せることができなくなる。
多数の経験豊かな協力会社や関係機関が7億ドル規模のGP-Bプロジェクトに貢献している。主契約者であるスタンフォード大学は、NASAのマーシャル宇宙飛行センターと共同で科学計器を製作した。主な二次契約者は米Lockheed Martin Missiles and Space社であり、ハーバード・スミソニアン宇宙物理学研究所はガイド星の重要な測定結果を提供した。(注:GP-Bに先行するGravity Probe Aは1976年6月18日に打ち上げられた。計画飛行時間115分の弾道飛行中に、いくつかの概念を検証し、ある重要なデータを確認するためのものだった)
GP-Bの核心部分は4台一組のジャイロスコープである。玩具として売られている精度のあまり高くないジャイロや、ミサイル誘導に使われる精密ジャイロとは全く別物である。このジャイロでは、直径38.1 mm(1.5インチ)、ピンポン球ほどの大きさの球体が、真空中で電気的に回転している。回転数は10,000rpmで、長さ2.7m(9フィート)のチェンバー内に格納されている。
要旨
■ GP-B(Gravity Probe B)は、設計者たちがいままで開発した最も高感度で最も高精度な試験測定装置である。
■ GP-Bの実験の目標は、一般相対性理論の帰結として予測されている慣性系の引きずり現象を検証することである。
■ GP-Bの中心をなす装置は、超伝導量子干渉素子SQUID(superconducting quantum interference device)による変位ピックアップを用いたジャイロ、および基準星に狙いを定めた光学望遠鏡である。
■ この過冷却された実験装置は、地球周回の極軌道上で少なくとも1年間データを取り続ける。 |
この原理は単純である。完全なジャイロは空間内で同じ方向を指して静止する。慣性系の引きずりがあれば、時空に歪みができ、ジャイロの指す方向を変える。しかし、この実験には二つの問題がある。まず、ジャイロの組み立てに欠陥があると、ドリフトが発生する。第二に、「同じ方向」という単純な語句も、時空の曲がりや慣性系の引きずり、相対論的効果などとの関連で無意味になってしまう。この実験をさらに複雑にしているのは、時空の曲がりの中を進むジャイロの測地的影響が、地球の自転による時空に対する影響よりもかなり大きいということである。
この実験には特徴が六つある。
・ドリフトのないジャイロスコープ。相対論の影響以外のドリフトの絶対値は1011度/時未満である。これは最も精密な誘導用ジャイロのドリフトの100万分の1に当たる。
・回転軸の変化を0.1ミリ秒角まで測定できるジャイロ出力。
・安定した位置基準。望遠鏡を用いて、ジャイロとその組み立て部をガイド星に関連づける技術である。
・適当な空域にあり、光学的特徴と電波放射の特徴がよく知られたガイド星。
・慣性系の引きずりと測地的影響の二つの相対論的因子を分離する方法。
・打ち上げた後に全装置を校正する方法。目的因子の影響を示す信号を覆い隠してしまうような、大きな装置誤差を除去する。
GP-Bの核となる部分は長さ53 cm(21インチ)の溶融石英のブロックである。このブロックは石英製の望遠鏡に接続され、4台のジャイロを内蔵し、プルーフマスも収容している。今回はプルーフマスにジャイロのローターと同一寸法の石英球を使用し、これが宇宙船の重心位置にある真空の空洞内で浮かんでいる。プルーフマスの役割は理想的な重力軌道を守ることである。空洞内での位置を検知し、位置の変化に基づいて衛星に補正をかけ、測地的影響を打ち消す。
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| Gravity Probe B実験計画の核心をなす回転部分は、いままで制作されたなかで最も完全な球体(右)とその収納部(左)からなる。同一のユニットが4台ある。 |
この4台のジャイロ・ローターは溶融石英(水晶)でできている。材料の均一性を極限まで高めて制作され、完全に近い球面になるまで研磨されている(上図)。その球の精度は表面の単原子層40層以内であり、これは地球サイズの球体で表面の高低がわずか4.9 m(16フィート)であるのに等しい。(参考文献1は、この溶融石英の製造とこれらの球体の制作と試験を解説していて、それ自体驚くべき物語となっている。)ジャイロは4台あるため冗長性が得られる。2台を一方向に、もう2台を逆方向に回転させて、このシステムは誤差要因をいくつか打ち消すことができる。
事実上完全無欠なジャイロ・ローターを作り上げることだけでも大仕事だが、この実験に必要な性能がそれだけで得られる訳ではない。設計者たちは、三つの設計上のパズルを解かなければならなかった。これらは、回転を邪魔せずにローターを空洞内に保持する方法、回転を立ち上げ継続する方法、印の付いていない完全球体の回転方向を読み取る方法の三つだ。
この最初の問題は、受け皿の形をした電極を3組使って、ローターを浮上させることで解決した。電界がローターを0.1μm程度(百万分の数インチ)の精度で、中心に合わせる。しかし、この電界によって電気的に回転を開始(スピンアップ)させることはない。電気ではなく、ヘリウムガスの精密な流れをローターに向けて放出することにより、スピンアップする。ガスの速度はほぼマッハ1である。ローターが全速に達するにはおよそ30分かかる。空洞内は超真空に保たれているため、ローターの速度低下は、1,000年以上の期間でも1%以下である。
しかしこの3番目の問題は最も難しかった。設計者たちは超伝導の原理に基づいた方法を採用した。 超伝導量子干渉素子SQUID(superconducting quantum interference device)に基づいて、干渉なしで回転方向を読み出す方法である。超伝導体が回転すると、ロンドン・モーメント(この現象を予測した物理学者Fritz London氏の名前からこう呼ばれている)のために、磁界が生ずる。ローターの回転方向を測定するため、設計者たちはローターに非常に薄く、緻密なニオブの層を塗布した。格子内の電子の運動の差により、ローターは微小の電界を生成する。すなわち、この効果がロンドン・モーメントで、回転軸と正確に一致する。
薄い超伝導体のループは、SQUIDに接続され、各ローターの周りを囲むように置かれる(下図)。予測される慣性系の引きずりによりローターが傾くと、ロンドン・モーメントも同様に傾き、ループを通る磁界に変化を与える。SQUIDに基づいたロンドン・モーメントの測定法は、5×1014ガウスの磁界変化を感知できる。これはジャイロの傾きとしては0.1ミリ秒角に相当する。地磁気と比較すると、地磁気はこの感知レベルより13桁ほど大きい。
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| 超伝導量子干渉素子SQUID(superconducting quantum interference device)のピックアップと量子物理学的ロンドン効果が、物理的な接触や干渉なしで、ローターの回転軸の角度変位を検知する。 |
慣性系は引きずられているのか
一般相対性理論の議論は常にあっという間に、込み入った議論に発展する。Brandeis Universityの物理学教授のSylvan Schweber氏によると、「普通の人が"アインシュタイン"とか"相対性"とかいう言葉を耳にしたときに頭に浮かぶのは、特殊相対性理論である。しかし、一般相対論はそれよりもずっと範囲が広い」という。
もっとも単純な形で表現すると、アインシュタインの理論では、宇宙は空間だけではなく、空間と時間から出来ていて、布地あるいは網のようなものであると見なされている。質量とその重力場がこの布地を歪ませ、曲がりを作る。この測地的な効果は、研究者たちによって何回も繰り返し確認されている。この結果は、広げた網の上にバスケットボールを置いたときに起こる状態と似ている。
一般相対論が発表された2年後、物理学者Josef Lense氏とHans Thirring氏は、時空体の中で回転する物体は、周りの時間と空間をゆっくりと引きずり、ねじれを生じさせることを、計算により導き出した。網の上のバスケットボールのたとえ話を続ければ、このような慣性系の引きずりは、回転するバスケットボールに網の一部がつかまれて、ねじれが出来るようなものである。GP-B (Gravity Probe B)の目的は、この慣性系の引きずり効果を直接確認する最初の実験を実施することである。California Institute of Technologyの理論物理学教授Kip Thorne氏によると、「GP-Bの主要な目標はこの[慣性系の引きずり]の効果を見ること、その効果を高精度で測定すること、そして慣性系の引きずりの量を検証することである」という。(文献A)
参考文献:A. Morring, Frank, Jr, "A Test for Einstein," Aviation Week and Space Technology, 2004年4月12日号
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パッケージングで決まる
基本的なプロジェクトと最終的な用途で動く製品との違いはパッケージングにあることを技術者たちは知っている。GP-Bに関しても同様である。外乱要因、特に外部磁界が測定に影響を与える。このような影響を排除するために、ジャイロ・ローターとSQUIDの組み立て部は鉛の風船(風船に似ている鉛製の容器)の中に収納されている。こうしなければ、外部磁界が超伝導部分に侵入してしまう。GP-Bは、4個の鉛袋(鉛の風船)を使用する。設計者たちはジャイロ・アセンブリを最初の袋に入れ、超伝導温度まで冷却して膨張させ、磁界をさらに低減する。この最初の袋を次の袋に入れ、同じ冷却と膨張の手順を繰り返し、というように続ける。この技法により、磁界が106ガウスと極度に低く、安定な収納容器を作り出すことができた。
実験を成功させるにはもう一つ必要な項目がある。つまり、このジャイロ・アセンブリは、校正のために自分がどの方向を向いているのかを知らなくてはならない。ジャイロ・ローターが指す方向と基準方向との角度差が、予測された慣性系の引きずりを示すことになる。
ほとんどの人工衛星やミサイルで使う基準校正方法は、望遠鏡で星に狙いを付けることである。GP-Bも同じ方法を用いるが、改良を加えている(下囲み記事「宇宙では方角を聞く訳にはいかない」を参照)。この科学測定機器アセンブリ(science instrument assembly:SIA)全体は、ジャイロとその回転検知部からなり、その位置基準は付属の望遠鏡による。望遠鏡自体の位置基準はガイド星による。
過冷却と超伝導はこの実験にとっての生命線である。このプローブ構造の主要部分(SIA)は2,500リットル(650ガロン)のデュワー瓶(魔法瓶)の中に収納されている。デュワー瓶には過冷却された液体ヘリウムが入れられ、このプローブを1.65Kすなわち-271.48℃に保つ(下図)。無駄に消費されるものはなく、このヘリウムの蒸発分は、最初はローターの回転立ち上げに使用され、その後は宇宙船の推進用として使われる。この過冷却されたヘリウムは機器収納容器として「補充なし」で、この適正環境を2年間保たなければならない。
設計者たちは、この複雑な実験装置の多くの付属部品をほかの無関係なプロジェクトや、特別に設計した試験で検証した。そのほかに、形状設計、操作と制御に関するさまざまな方法の評価、コードの生成、誤差原因の効果分析などにおいては、徹底的にモデリングとシミュレーションを行った。スタンフォード大の設計チームは主なツールとして、米The MathWorks社製のMatlabとSimulinkの標準版を使った。The Mathworks社のインダストリー・マーケティング・マネジャーであるJennifer Petrosky氏によると、「これらのツールは、打ち上げ前の計画を円滑にし、成功確率と信頼性問題を分析して、校正とデータ分析の選択肢を探す」という。
GP-Bの実験からどのような成果が見込まれるのだろうか。GP-Bの主任研究員であるスタンフォード大のFrancis Everett氏によると、「バックグラウンドの影響は[実験の目標であるアインシュタインの効果より]5桁から6桁少なくなると思われる。強い実証力をもつ試験となるだろう」という。
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初期の段階の科学測定機器アセンブリ(science instrument assembly:SIA)では、この望遠鏡(前側)は一体化された石英のブロックに接合されている。このジャイロスコープの線(後側に見える)が石英のブロックから突き出ている。
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宇宙では方角を聞く訳にはいかない
GP-B (Gravity Probe B)で使用した望遠鏡とガイド星はどちらも特別なものである。望遠鏡は長さ36 cm(14インチ)、主鏡は直径14 cm(5.6インチ)、ジャイロのローターと同じく溶融石英から作られている。4台のローターとプルーフマスは溶融石英製のブロックに収納され、このブロックは望遠鏡後部に接合されている。この望遠鏡の20個の部品は、一般的な意味での接着剤でも締め付けでもない、「オプティカル・コンタクト」と言う方法で組み立てられた。同一材料からできた、極度に平滑で清浄な表面を押しつけ合うと、分子レベルの接着により部品は一体化して、一個の上位の部品となる。まるで、単一の大きなブロックの材料から作られたようになる(図A)。
このガイド星IM Pegasi(星表名HR8703)は、地球から300光年離れた星で、明るくはないが、有益な性質を持っている。大多数の人は、恒星は固定点としての役を果たし、その点完全であると思っているが、現実は少し違う。完全な点を提供する星はない。HR8703の角直径は角度1.3ミリ秒角である。そのうえ、回折などの避けられない因子によりHR8703からの光は散乱し、その像は角度1,400ミリ秒角まで広がる。このような要因はあるが、システムは星の像の光学的中心を角度0.1ミリ秒角の精度で求めなければならない。
この問題を解決するためにディザ法が用いられ、この宇宙船は小さな角度で一方向から他方向へゆっくり動く。これは、ADコンバーターが、基本構成を超えた数ビット分の解像度を得るために使うテクニックと似ている。さらに星から受ける光の光行差より、宇宙空間中のこの星の位置を決定するためのいくつかの基準点が得られる。光行差は、太陽が近くを通り過ぎる光を曲げるために生じる、この星の見かけ上の位置がずれる現象である。
星は、背景の空を横切ってゆっくりと移動する。ほかの衛星観測のデータによると、IM Pegasiは1年に角度35ミリ秒角の速度で動いている。この測定ができるのは、IM Pegasiが、天空にある最も強いマイクロ波放射源のうちの一つだからである。さらにIM Pegasiは、より遠方にあるクエーサーの列を背景とするような位置にある。これらのクエーサー自体すぐれたマイクロ波源であり、HR8703を追跡するときの基準枠を形成している。世界中のさまざまな電波望遠鏡による追跡施設が、長基線電波干渉計の技術を用いてIM Pegasiの動きを追跡し、基準データを提供している。
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最終結果を報告する時期はまだ先である。いままでのところこの探査衛星は、すべての点において、目標の仕様通り、あるいは仕様以上の性能を示している。しかし、データの収集とその分析だけでも最低一年、おそらく二年はかかるだろう。このジャイロの「球体の奏でる旋律」が、一般相対性理論から派生した慣性系の引きずり(フレーム・ドラッギング)の仮説を検証するのはその後となる。
結果がどうであろうと、この実験のすべてが、測定機器の精度の技術的、実験的限界を拡大しただけではなく、より実社会に近い開発も後押しした。GP-Bの開発によってジャイロの製造、保持、回転、読み取りにおける進歩があった。これらは、干渉磁場のほぼ完璧な除去、望遠鏡の狙い方向制御、大規模デュワー瓶技術、あらゆる点における設計のシミュレーション、部品の製造や校正、試験などがある。このシミュレーションには、過冷却されたヘリウムのスロッシング沸騰蒸発のモデリングと制御がある(下囲み記事『この穴を埋めるのは誰か』を参照)。物理的および技術的な詳細情報と将来の見通しに関しては参考文献2および3を参照のこと。
| 科学測定機器アセンブリー(SIA) |
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| ペイロード(衛星搭載部分)全体の切取図。デュワー瓶型の収納容器と、その中心に位置した石英ブロックの望遠鏡とジャイロ・ローターの組み立て部が見える。科学測定機器アセンブリ(science instrument assembly:SIA)を覆った鉛製の風船が磁界を消去する。 |
この穴を埋めるのは誰か
GP-B (Gravity Probe B)のために必要とされた開発の中には、相互に矛盾した、一見不可能と思われるような要求がいくつかあった。最初の構想段階の1960年代には、多量の液体ヘリウムを宇宙空間に飛行させた人間はどこにもいなかった。適当なデュワー瓶も存在していなかったし、無重力状態での流動体のスロッシングが貯蔵容器の問題となっていた。1970年に、この実験に従事していたスタンフォード大学院生が、超流体の性質の一つである噴水効果を利用した多孔質の栓を開発し、ヘリウムの沸騰を制御することに成功した。この革新的なデュワー瓶の栓は、GP-Bに使用される前にもいくつかの科学技術衛星の実験に用いられ、成功を収めている。それらの実験の中には、宇宙空間すべてを満たしている3Kの黒体放射、つまり、ビッグバンの残光の研究のために打ち上げられた宇宙背景放射探査衛星COBE(Cosmic Background Explorer)も含まれる。
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参考文献:
1. Frane, Marcella and George M Keiser, "Precision Spheres for Gravity Probe B Experiment (GP-B)," http://einstein.stanford.edu/
2. Frequently Asked Questions about Gravity Probe B, http://einstein.stanford.edu/
3. "Gravity Probe B: The Relativity Mission," www.gravityprobeb.com/
著者紹介:
EDN誌のExecutive EditorであるBill Schweber氏は、物理学者Russell Hulse氏がノーベル賞を受賞したパルサーの実験を行っていた時に、Hulse氏と同室だった。Schweber氏の連絡先は 1-781-734-8847、または bschweber@edn.com まで
この記事は、EDN誌2004年12月17日号に最初に掲載された。
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