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電力会社が、このような21世紀の電力源を実現するための主要動力源として目を付けたのは、19世紀に発明されたスターリングエンジンだった。太陽光発電所は、縦横に並んだ集光反射鏡を用い、モハベ砂漠上の空を動く太陽を追尾する。この鏡は、集めた光ビームの焦点を小さなスターリングエンジンに合わせる。そして、熱せられた水素がエンジン内部で膨張し、ピストンを駆動して、クランクシャフト経由で発電機を回す。精密な駆動部によって鏡の焦点が常に太陽にぴったり合う仕組みになっている。 このプラントを所有し、運用しているStirling Energy Systems(SES)社(本社:米国アリゾナ州フェニックス)は、発電した電力を米Southern California Edison社と米San Diego Gas and Electric社に販売する。この二社のみならず、カリフォルニア州内の電力会社はすべて、2017年までにその発電量のうち20%を再生可能な手段により発電しなければならないのだ。 Stirling社のシステム担当シニア・マネジャーのSteve Trimble氏によると、カリフォルニア州の砂漠が太陽光エネルギーの収穫と、スターリングエンジンの使用に適しているのには、いくつかの理由があるという。まず、雨が降らないこと。すなわち、晴れの日が大半を占めるため、太陽光を集めるのに理想的である。また、太陽光発電の昼間の発電量のピークを、カリフォルニア州南部の空調用電力の需要ピークに合わせることができる点でも有利である。一方、雨が降らないということは、水が得られないということでもある。水を必要とする蒸気サイクルには厳しい条件だろうが、スターリングエンジンにとっては問題にならない。「皿洗いに水を少量使うだけだ」とTrimble氏は言う。ここでいう、皿とは太陽光用反射鏡のことである。 Stirling社は現在、6ユニットからなるモデルプラントを、ニューメキシコ州アルバカーキにあるサンディア国立研究所の敷地内で稼働させている。直径11.6 m(38フィート)の反射鏡一つが最大出力25kWの発電能力を持つ。出力500MWのプラントは、このようなユニット2万台から成る。
製造しやすさが重要 Stirling Energy Systems社は、米McDonnell Douglas社の太陽光集光技術を取得して、1996年に創立された。そのほかに、スウェーデンの潜水艦メーカーKockums社の4-95型(4気筒×95cc)スターリングエンジンの製造権も取得した。このスターリングエンジンは、水中で船を低騒音で推進する手段として、Kockums社がスウェーデンのUnited Stirling社およびVolvo社と共同で開発したもの。 スターリングサイクルは、工学専攻の学生が以前から熱力学の講義で学んできたことだが、実際の製品として実用化されているのは、特殊な狭い分野のみだった、とTrimble氏は言う。しかし、集光器から送電網までの総合効率が29%と高く、これは放物凹面鏡の集光器や太陽電池の2倍近い効率のため、太陽光発電にふさわしいとされている。この高効率の主要因は、サイクルの再生過程、すなわち等容加熱過程にある(上記の囲み記事を参照)。 スターリングサイクルでは、内燃機関(オットーサイクル)のように内部の燃焼によって熱を系内に導入することはない。その代わり、シリンダーの外部から熱が与えられ、内部の気体の容量を膨張させる。 内燃機関と同様に、スターリングエンジンの機構は複雑である。このため、高効率だが、一台限りの製作の場合には高価なものになる、とTrimble氏は言う。2個所の太陽光発電ファームのために、多数のユニットを製造するため、大規模の経済が働く。これは自動車のような複雑なシステムと同様である。 Stirling社のSESスターリングエンジンは毎分1,800回転、複動形シリンダーを4個用い、実績のある自動車部品の利点を生かす設計を基本構想にした。そのため、このエンジンのピストンやロッドは、現代のエンジンのものと類似している。 一台の集光器はほぼ90枚の反射鏡からなる。この反射鏡も、自動車のボンネットにサイズと形状が類似している、とTrimble氏は指摘する。Stirling社がこれらの反射鏡を製造するに当たって、自動車業界でよく使われる工具を使い、安価に作ることができると考えたのだ。 集光器の制御はオープン・ループ・システムに基づいている、とLarry Wilson氏は説明する。同氏はSES社の反射鏡構造担当のプロジェクトエンジニアである。「反射鏡を向ける方向は、年月日と時刻に基づいて決める」と同氏は言う。強風がこない限りこの位置からのずれは少ない、とStirling社は予想している。その上で、クローズド・ループ・システムにより、反射鏡の四象限の温度差を測定し、温度が均等になるように反射鏡の位置を微調整する。 従来の発電所に対する、太陽光発電システムの大きなメリットは、設備容量のうちの最初の1メガワットから発電できる点だ、とTrimble氏は言う。SES社は徐々に発電容量を増やして行き、最終的に全電力500MWを実現する。
太陽に顔を向ける 米Joyce/Dayton社のスクリュージャッキは、衛星追尾業界では多数の使用実績がある。SES社が太陽光集光器の仰角駆動部のメーカーを探したとき、Joyce/Dayton社が選ばれたのも当然である。同社は7年間かけて、ウォームギア減速機とボールねじを組み合わせたユニットを開発し、サンディア国立研究所敷地内で稼動中の6台の試作機すべてに供給した、とJoyce社のマーケティング・ディレクター、Michael Harris氏は言う。 同社は当初、コスト削減のためにスクリュージャッキを考えた、とHarris氏は言う。しかしその後、ボールねじのほうが長寿命を得られるということが分かった。「アクメねじの寿命は予測しづらい」とHarris氏は説明する。多数の要因に左右され、その中には潤滑状態や環境条件などの制御困難な要因があるからだ。汎用の機械ねじは通常、移動距離5,080〜1万2,700m(20〜50万インチ)の動作が可能だが、すべり摩擦をころがり摩擦に代えたボールねじでは、寿命は2万5,400m(100万インチ)に達する。 しかし、摩擦が少ないということは、アクメねじのようなセルフロック能力がボールねじにはないということであり、逆回転が問題になる。SES社は仰角駆動用のモーターのほかに、反射鏡を太陽に向けて保持するためのブレーキ機能を付けている。
このボールねじは反射鏡に当たる風の力に耐えなければならない。どの方向を向いている時でも風速80km/時(50mph)に耐え、反射鏡が上向きの「格納」位置にあるときは風速145km/時(90mph)に耐える必要がある。最悪の場合、ボールスクリュージャッキには7,030kg(15,500ポンド)の荷重がかかる。完全に格納された場合には、最大1万8,100 kg(40,000ポンド)の荷重に対応できる、とHarris氏は言う。Joyce社のエンジニアは、直径50.8mm(2インチ)の特殊な引き上げねじを開発し、10トンの枠に設置した。この枠には通常直径38.1mm(1.5インチ)のねじが用いられる。この特殊ねじは業界の一級品だ、と同社は言う。Joyce/Dayton社の子会社は、砂塵の多い砂漠環境からこのねじを保護するために、アルミ・ファイバーグラス製の特殊なベローズを開発した。これは、太陽光に熱せられるエンジン周辺の高温に対して、ネオプレンゴムよりも高い耐性を持つ。 米Peerless-Winsmith社は、集光反射鏡の試作機6台に、方位角制御用のPlanocentric型減速機を搭載した、と同社プロダクト・マーケティング・マネジャーのGeorge Tedesco氏は言う。この駆動パッケージは、従来は台座の中に組み入れていたような機構部品を置き換える、と同氏は言う。同社はこの駆動部を太陽追尾用に開発した。 Tedesco氏によれば、このシステムは大径ボールベアリングを採用し、太陽光集光機が風から受ける荷重によって生じる、2万9,000m-kg(250万インチ・ポンド)にのぼる大きな転覆モーメントにも対応できるという。低背型のギアボックスには遊星歯車が組み込まれ、密で平坦な配置の中で偏心している。バックラッシは0.5ミリラジアン未満であり、正確な太陽追尾が可能だ。 去年の6月、カリフォルニア州知事Arnold Schwarzenegger(アーノルド・シュワルツェネッガー)氏は、同州の温室ガス排出削減計画を新規に採用し、現在の政策をさらに前進させた。比較的成熟した風力発電業界は、この政策の達成に大きな役割を果たすと予想しているが、同州の南部では太陽光エネルギーがかなり重要になる。南部では、太陽光資源のほうが風力資源よりも大きく、同州の人口の多い地域に近接して発電能力を構築できるからだ。 米Southern California Edison社のプロジェクトの最初の段階は、ユニット40台からなる1 MWの試験設備を導入することから始まる。
シニア・テクニカル・エディターの Paul Sharke氏の連絡先は、 paul.sharke@reedbusiness.comまで。
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