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参加したチームの中には、このコンセプトをさらに発展させて、チェーンとスプロケットを一切使わなかったチームもあれば、中間ドライブとファイナルドライブにチェーンを採用したり、ペダルでポンプを駆動したチームもあった。ペダルと車輪の間を直接チェーンで接続しなければよかったため、いずれのチームも出場が許可された。 レース後、Parker Hannifin社、技術開発担当の副社長であるJoe Kovach氏が、Design News誌の取材に応じて、各チームの車体に対する印象を語ってくれた。同氏によると、このレースの開催目的は、より良い自転車を開発するためではなく、学生に油圧技術に対して興味を持ってもらうことだったという。参加した学生たちの中から、将来、先に挙げたような油圧機器の課題に挑戦する人材が育てばという期待が込められているのだ。将来のエネルギーの効率的な利用は、清潔かつ静粛で制御しやすく、効率的でコンパクトな油圧技術にかかっており、このコンテストは、そうした目標に一歩でも近づくための取り組みの一環でもある。 九つの大学から参加した各チームは、1年間の準備期間を経て、2005年8月、クリーブランド市内の公園に集まり、それぞれが設計した自転車で短距離スプリントレースと長距離耐久レースに挑戦した。
コース: 耐久レースでは、1周約6.4km(4マイル)のコースを全部で3周する。スタートラインから最初の1.6km(1マイル)は、標高差約90m(300フィート)の登り坂になっており、場所によって勾配は12%に達している。各チームは、2人の乗り手が交代しながら全コースを完走する。スタートは、各チームの間に2分ずつ間隔を置いて行われ、各チームの車体には、安全のためレースの係員が併走した。スプリントレースの方は、約30m(100フィート)の平坦なコースでタイムが競われた。
総合優勝:イリノイ大学 イリノイ大学チームは、チェーン駆動のギヤポンプからグリセリンを送出し、後輪軸の近くに取り付けた容積ポンプ型の油圧モーターを回して、7段変速のハブに接続したチェーンとスプロケットを駆動した。この車体は周回レースで1位になっただけでなく、製造性や市場性、コストの各部門賞もすべて勝ち取った。今回、イリノイ大学は、同じ駆動方式を採用した直立式とリカンベント式(寝てこぐタイプ)の2種類の車体をエントリーした。両チームは、早くから協力して研究に十分な時間をかけ、4台のプロトタイプ機を製作し、動力計によるテストを重ねたという。 Kovach氏によると、この車体の駆動系統は、アクロン大学のものと非常によく似ているが、優勝に結びついた理由は主に二つあるという。入力速度の遅いポンプの容積効率を高めるため、イリノイ大学チームは、通常の油圧作動油の代わりに粘性の高いグリセリンを使用したが、アクロン大学は、自転車用に開発した遊星歯車機構の精巧な減速機を使用した。この減速機自体はすぐれた装置なのだが、歯車の噛み合いが介在することで、効率が約2%損失してしまったという。 イリノイ大学のギヤポンプは、1回転につき8ccのグリセリンを送出し、これを受けるモーターは12ccの入力で1回転するように設計されている。これで減速比が66%になるが、その後さらに、チェーンとスプロケットを介して減速しながら、後輪の7段変速の内部ハブへと動力を伝達する。 Kovach氏は、この設計を「エレガントなデザイン」と評価した。
第2位:マレー州立大学(ケンタッキー州) マレー州立大学チームは、17.2MPa(2,500psi)の圧力を蓄えることのできる二つのアキュムレータ(蓄圧器)を取り付けた3輪車で短距離レースに挑んだ。レース前に圧力をため込み、スタート時にバルブを操作して、ゴールまでを12秒以内で駆け抜けて勝利した。エントリーした車体の中では、約62kg(137ポンド)と重い方だったが、製作技術や信頼性、安全性の各部門賞も獲得した。 同チームは、短距離レースを念頭に置き、ペダルから車輪、ペダルから蓄圧器、蓄圧器から車輪という3方向に流体を導く三方弁を使用した。
第3位:カリフォルニア州立 ポリテクニック大学(Cal Poly) カリフォルニア州立ポリテクニック大学の学生チームは、耐久レースで2位に入った。同チームの14段変速の車体は、ペダルをカムとカムフォロアに連結して複動シリンダ(ボア径約32mm(1.25インチ)、ストローク約15cm(6インチ)を駆動し、90rpmのペダル入力によって163l/min(43ガロン/min)の流量を得ることができる。 また、タイヤ駆動のポンプによって蓄圧できる容量5lの補強付き蓄圧器を搭載し、トップチューブ上のレバーから、乗り手がポンプを操作できるようにした。この蓄圧器には、0.69MPa(100psi)の圧力を蓄えることができる。 後輪には、2.4kg(5.3ポンド)の油圧モーターが、増速用のチェーンとスプロケットを介して接続された。 またCal Polyチームは、国内トップレベルの自転車競技選手を使ってレースに挑んだ。 「このチームは、ペダル操作と側方への荷重をうまくバランスさせた」とKovach氏は言う。
そのほかの完走車 第4位:アクロン大学 学生たち自身でフレームも製作し、チェーンリングに特殊な遊星歯車を使用して回転速度を上げ、その回転によってギヤポンプを駆動した(http://rbi.ims.ca/4915-561)。100rpmのペダル入力を12.5倍に増速し、ギヤポンプを1,250rpmで駆動することにより、油圧系の体積効率を高めたとKovach氏は評価する。 Kovach氏によると、このチームは、1個で平均9kg(20ポンド)にもなる蓄圧器を効率的でないと判断し、重さで大きなハンディを負うのを避けるため、蓄圧器を一切使用しない設計を採用したという。 後輪には、27段変速のハブが採用されている。
そのほかの完走車 第5位:ウェスタンミシガン大学 レースに参加した3台の3輪車のうちの一つ。増速比1:6のベベルギヤ増速装置によって、ギヤポンプを駆動している。ポンプからの作動油でギヤモーターを回し、さらに減速比2:1の固定ギヤ減速装置を介して後輪を駆動した。スプリントレース対策として、蓄圧器1台を搭載した。ギヤチェンジなしでも「スピードは十分」で、「クリーンかつ軽量な設計」とKovach氏は言う。
そのほかの完走車 第6位:カリフォルニア大学 アーバイン校 空気圧のみを使用した唯一の車体で、“最優秀発案賞”を獲得した。学生たちが製作し、2.1MPa(300psi)の圧力試験に耐えた1ガロン入りの蓄圧器を14個搭載している。ウェスタンミシガン大学と同様に、チェーンは一切使用しなかった。 ペダルに接続した2個の部品からなるクランクによって往復ストロークを最大化し、ボア径50.8mm(2インチ)の複動エアシリンダ2本を駆動して蓄圧器に圧力を送っている。車体後部にはボア径63.5mm(2.5インチ)のエアシリンダが搭載され、後輪を駆動する1本のクランクアームに接続している。学生たちは、一揃いのデジタル制御バルブを使って、後輪スポークに取り付けた電磁センサーとタイミングを取りながら空気の流れを制御した。 「こういう設計が出てくるのを期待していた。空気圧はたしかに正解ではなかったかもしれないが、この車体は乗り心地に違和感がなく、気持ちよく運転できた」とKovach氏は言う。
3輪車によるエントリーだが、ペダルに替えてボート漕ぎの動きを利用したのは、全エントリー中でこのチームだけだった。ボート漕ぎ方式では、ペダルを踏むのと比べて最大で2倍の出力を得ることができる。残念な点は、往復ストロークの長さが45.7cm(18インチ)と、ボート漕ぎ方式の大出力をフル活用するには短すぎたことである、とKovach氏は言う。
このチームは、アクロン大学チームと同様、車体フレームを大幅に改造した。特にボトムブラケットは、クランクアームをペダルとペダルの中間位置で保持できるように改造されている。Kovach氏が呼ぶ“純粋な力の伝達ライン”を実現したこのクランクは、油圧シリンダ式のポンプを駆動し、車体後部のシリンダに作動油を供給する。後部シリンダは改造したスコッチヨークを動かし、これによって後輪を駆動する。この車体には変速機構がないため、コース中の急勾配の部分を登り切ることができなかったが、他の数台の車体と同様に、蓄圧タンクを使わなかった点が評価できる。
このチームの車体は時間切れでレースを完走することができず、学生たちは身をもって締め切りの大切さを味わうこととなった。ただしこのチームは、既存の市販品の構成部品を使用した他のいずれのチームとは違い、フレームと車輪に一体化したポンプとモーターを独自に設計、製作した点が評価できる。市販の油圧機器が抱える低速回転条件での問題を根本的に解決しようという試みである。Kovach氏が“非常に野心的な”と呼ぶ、このコンセプトが次回の2006年大会までに完成すれば、有力なチームになる可能性がある。
著者のCharles Murrayの連絡先は: charles.murray@reedbusiness.com
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