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CAD最前線

2007年1月

マルチCAD使い分けによる市場拡大続く


複数フォーマットCADの使い分け

 自動車・輸送機器が車体設計に自由曲面を多用するのに対し、要求仕様が異なる電機・電子機器設計では電気CADと機械CADの両方が必要であり、機械・精密・専用装置などの設計では幾何形状を多用する機械CAD利用が効率的な側面がある。この結果、それぞれの業界に必要なCADが業種によって使い分けられているのが現状だ。市場では、特定の3Dフォーマットへの整理統合化を進める企業がある一方で、それとは逆に複数CADの併用を拡大する企業もある。
  トヨタはパワートレイン分野にPTCのPro/ENGINEERを、車両設計の分野にDassault SystemesのCATIAを使用して、機能の棲み分けを行なっている。トヨタ自動車コーポレートIT部ITマネジメント部エンジニアリング情報管理部担当の天野吉和常務役員は「ひとつのCADにしたらどうだ、という意見もあろうが、トヨタの中では当面、2つの(3D)CADを利用していく」と語る。また解析に絡んで天野常務役員は「解析のシステムはトヨタの内製のシステムを使っている。このためどこからのデータでも受けられるようにする必要がある。Pro/E、CATIAのいろいろなバージョン、AutoCADなど、いろいろなCADを含めたCAEモデルを構築して、それで解析システムを作っている。仕入先まで含めた場合、いまだにいろいろなCADがトヨタグループの中にあるため、一概にひとつのCADフォーマットにするということはありえない」と語っている。
  ちなみにトヨタ自動車は、同社が望む2次元機能を確保し、図面出力部を補うために2Dの専用機械CADであるAutoCAD Mechanicalの増設を続けている。
  ソニーでも機械CAD活用では2Dが依然主流だ。ソニーグローバルソリューションズ社、エンジニアリングソリューション部門の渡辺雅志部門長は「ソニーでは3D CADでCATIA、IDEAS、Pro/ENGINEERの3フォーマットを使用しているが、まだ社内ルールは2DのMicroCADAMが主流で、3D原図への展開ができていない」と語る。設計部門と金型の間では3Dのデータのやり取りが実現しているが、2〜3人規模の協力設計事務所とのやり取りでは2Dが主体とならざるを得ない。また基本的にひとりで設計を任される民生用のAV製品領域では、製品によってCADツールの選択傾向が異なり、テレビ設計では事業部の選定したフォーマットに従う傾向があるのに対し、オーディオ機器などでは設計者自身が使いやすいツールを選択する傾向がある。
  CAD利用では全体的に2Dから3Dへ次元の高度化を志向しながら、特定の3D CADおよびPLMパッケージフォーマットで開発設計から生産工程管理、製造を一気通貫に統合化した企業はまだ少ない。現状では同一社内、同一事業部内、あるいはプロジェクト単位で依然、汎用2D、専用機械2D、複数種の3D CAD利用が混在している企業が多数派を占めている。
  また、特に中小サプライヤ企業では、完成品メーカーの要求に合わせたデータ送受信を行うために、利用するCADも多種化、複雑化せざるを得ない事情がある。この傾向は、異なるフォーマット間のCADデータの変換が容易でないという問題とも絡んで、設計作業の生産性の低下要因を生み出す問題をはらんでいる。(囲み記事「米国44%のCADユーザー、データの変換不良に悩み」を参照

米国44%のCADユーザー、データの変換不良に悩み

3D CADモデルを取り込む際の問題点 設計技術者にとって、プロジェクトで複数種の設計ツールを使用する際は、その相互運用性が問題となる。設計ツールのベンダーはこの相互運用性の問題を減らすために、統合システムを提供していると主張しているが、この問題が依然としてあることが、クボテックの米法人Kubotek USA社の調査でわかった。
  同社が3,000人近いCADユーザーを調査した結果、同問題が依然として悩みの種となっている。「問題の根は深い。標準規格といったものがないからだ。どれほど変換ソフトが向上しても問題は解消しないだろう」と語るのはKubotek USAマーケティング担当のCheryl Salantino副社長。アンケート回答者の半数にせまる44%が、3D CADモデルを彼らが使用するCADシステムに取り込む際に、変換機能障害を起こすと指摘している。データの欠損、破壊が主要なトラブルだが、寸法データのエラーも発生する、との回答が寄せられた。
  回答者の半数近くはパラメトリック・フィーチャー・ベースのCADユーザーだった。彼らにとって問題は深刻で、半数近くの回答者が、当初の時間の1/4以上の時間をかけて、最初から3Dモデルを再構築している。モデルを再構築する必要が全くないと回答したのはわずかに17%にとどまった。
  それに比べるとダイレクト・モデリングのCADの利用者の場合は、問題はそれほど大きなものではなかった。当初かかった時間の1/4以上をかけてモデルを再設計したのは39%の回答者にとどまり、残りの61%は同じく1/4未満の時間でモデルを再構築していた。しかしながら、互換性のレベルは依然として相当低いことに変わりない、とSalantino副社長。
  KubotekはCADソフトのプロバイダーだが、この問題の早期の解消は期待薄という。Salantino副社長は「この問題はCADに機能が追加されればされるほど、ますます大きくなり、すべてを変換することはますます困難になる」と語る。
  業界では、有力ベンダーが相互運用性を確保しようとして製品のポートフォリオを拡張することによる統合化の動きが見えるものの、複数の異なる開発プログラムを使って作業しているユーザー数も増大している。「昨年、5種類以上のCADを使っている回答者は16%だった。今年はそれが32%にまで増えた」とSalantino副社長。同調査によって、多種類のCADフォーマットでファイルを送受信するCADユーザーほど、CADデータの欠損や破壊のトラブルにあう確率が高く、その修復に時間をとられる間に、設計作業の生産性が失われることが判明した。
  回答者の多くは従業員1,000人以下の中小企業であり、製造業(35%)、輸送車両(10%)、エンジニアリング・サービス(9%)を含むさまざまな業種が含まれている。 (この項、Terry Costlow)

CADの流通展開

 エンジニアが1〜10人程度までの中小事業所向けには、多数ある低価格CADのなかでもAlibreDesignのように低価格CADがユーザー数を拡大しながら、徐々に部品アセンブリ点数を追加拡大したり3次元機能を充実する動きが注目されている。
  この一方、主としてMicroCADAMユーザーを対象に、SolidMXなど3D CAD利用環境をオンデマンドで提供する富士通のCADオンデマンドサービスの試みも注目される。中小事業者、事業部に限らず、機械設計CADをプロジェクト単位で利用し、プロジェクトが終了すれば利用度が減るといったユーザーは多い。富士通のサービスは、クライアント側にCADツールをインストールせず、ネットワークを介してオンデマンドで必要なときに必要な分だけのCAD利用を可能とする。顧客のサイトはシンクライアント対応で、顧客が自ら専用サーバーを設置したりCADソフトのバージョンなどを保守管理する必要がない。データセキュリティ対策、CADデータ伝送の圧縮技術、CADデータサーバーなどは富士通側が提供管理するしくみだ。

 

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