2D から3D CADへの橋渡し
Autodeskは3D戦略として「3D プラス2D」を掲げ、さらに2Dと3Dの親和性を高める努力を継続する方針を打ち出している。「製造業のCADユーザーの約8割は当面「3Dプラス2D」の設計環境が必要だからだ。業種によって、3Dデータを使いまわすデジタルエンジニアリングの進捗の程度もニーズも異なる。Autodeskが主要な顧客としてきた受注生産をベースとする産業用機械製造分野では、3次元設計のバーチャル試作などのメリットが弱く、図面が主体の設計環境となっている。3Dに展開したAutodeskの2Dユーザーはまだ2割にとどまっている」と小椋本部長。
2D CADユーザーが3Dへステップアップしようとする際には、3Dで本当に設計者にとっての効果は何かを問う必要がある。3Dになったから自動的に開発期間が短縮されるとは限らない。設計者にとって、3Dへの移行は「2Dより設計が楽にはかどる」という実感を伴うものでなければ、3Dシフトは加速しないだろう、というのがAutodeskの読みだ。
モデリングでなくファンクショナルデザイン(機能性設計)を実現したAutodesk Inventor
Autodeskが開いた2D CAD市場に対して、特にSolidWorksやCoCreateなどミッドレンジの3D CADベンダーは、各種のプロモーションを仕掛けて攻勢をかけ、機械設計で2Dから3Dへのシフトを促すとともに、それぞれのライセンスシート数を拡大して成長してきた。これに対抗してAutodeskが3DのAutodesk Inventor、2D のAutoCAD Mechanical とワークグループ向けの設計データ一元管理アプリケーションAutodesk Vaultを統合パッケージ化したAISを開発して、AutoCAD市場の防衛継承に乗り出した経緯がある。
「2Dから3Dへの移行はワンステップでなく、実は2ステップある。このため、多くの顧客が2Dから3Dへストレートには移行できない事態が生じていた」と小椋本部長。3次元では、設計者には単なる2D的な位置関係でなく、どの部品がどのサブアセンブルに依存するといった部品表に似た製品構造(structure)の理解が、設計の前提として求められる。「AutodeskはAutoCAD Mechanicalのなかにこの製品構造を埋め込んだ。これにより2D設計に馴染んだ設計者は、同アプリケーションを使いこなすことにより、3次元設計の思考に近づく。またこの結果、AutoCAD Mechanicalから3Dへの移行率は極めて高い。」
2D市場とユーザーを知るAutodeskには、2Dから3Dへの橋渡しを最も上手く支援できるという自負がある。
AutoCAD2007では本格的3次元機能を搭載して出荷している。2D市場のAutoCAD自体が3次元のエントリーモデルとなりユーザーに浸透していけば、2DのDWGフォーマット同様に、Autodeskが3Dフォーマットでも世界のデファクトを握る可能性がある。
他方、日立はHICAD/DRAFTユーザー向けにSolidWorksとのシームレス連携が可能な設計環境を提供している。SolidWorksとの接続オプションを用意し、SolidWorksのアセンブリ、部品、図面の3DデータをワンタッチでHICAD図面に変換したり、HICAD図面のスケッチ形状をSolidWorksのスケッチャーに貼り付けて利用するなどを可能にしている。