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モノづくりと有害物質規制:2ndステージ

2007年2月

拡大する有害物質規制


07年は中国版RoHS指令、EUのREACH規則が施行に

2006年7月1日――欧州連合(EU)の電気・電子機器における有害物質規制「RoHS指令」が施行された。02年10月の決定から、エレクトロニクス業界は対応に尽力しほぼ体制構築を終えたことで一服感も出ている。しかし中国版RoHS指令、REACH規則の施行を控え、EU・RoHS指令の本格運用も始まる07年からは、有害物質規制の第2ステージとなり、環境対応のモノづくりへのさらなる取り組みが必要だ。
(取材担当:朴 尚洙)

 
「世界の工場」中国でもRoHS指令対応が進む

「世界の工場」中国でもRoHS指令対応が進む。東芝の高機能ノートPCを生産する東芝情報機器杭州社では、蛍光X線分析装置の導入による有害物質の検査体制、約100社の調達先と連携した部品情報管理システムを1年半以上かけて構築した。

 一般的にRoHS(発音はローズ、ロース、ロス)指令と呼ばれるこのEUの法規制は、「電気・電子機器に含まれる特定有害物質使用制限指令」のことである。
 対象となるのは、無機系元素の鉛(Pb)、カドミウム(Cd)、水銀(Hg)、6価クロム(Cr6+)、臭素系難燃剤のポリ臭化ビフェニール(PBB)、ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)の6物質で、含有量の制限は、カドミウムが100ppm(0.01%)で、他の5物質は1000ppm(0.1%)。

詳細決定の遅れ

 EUではRoHS指令を02年末に合意したが、詳細決定までには紆余曲折があった。特に問題だったのが臭素系難燃剤。欧州では、北欧を中心に臭素系難燃剤への意識が高く、当初は全ての臭素系難燃剤が対象になっていた。RoHS指令の技術適合委員会の議論でPBB、PBDEの2種類に絞られたが、さらにPBDEのうち10個臭素が付くDeca-BDEの除外決定に時間がかかり、詳細決定は05年10月までずれ込んだ。
 その後も、技術的に代替が困難なものに対する適用除外の議論は続いており、06年7月以降も除外項目は増加している。またRoHS指令は「Directive(指令)」であり、税関などで運用にあたる各EU加盟国は対応した国内法を制定する必要があるため、詳細決定の遅れはそのまま実質的な規制運用の遅れにもつながっている。実際に、施行から6カ月経過する現在、EU内でRoHS指令に関する実質的な動きはまだ見えない。ただしEU各国は積極的に情報収集しており「年末、年始あたりから具体的な活動に入るのでは」(電子情報技術産業協会(JEITA)環境・安全部湛久徳部長)という見通しだ。

何を、どのように検査するのか

 さらにメーカーの対応を困難にするのが、検査対象/方法がはっきりしないことだ。製品については、医療機器や産業機器を除いたほとんどの電気・電子機器があてはまるが、どの部分を、どのように検査するかが分からないのである。製品の部分については、これ以上物理的に解体できない「Homogeneous material(均質材料)」を最小単位に、しきい値以上の濃度を含有しないとしているが、例えばICチップのリードやめっき膜をどう扱うかは決めていない。
RoHS指令対象6物質の検査のワークフロー

RoHS指令対象6物質の検査のワークフロー

 

RoHS6物質の検査方法は、蛍光X線分析装置によるスクリーニングとその後の精密分析というワークフローが認知されてはいる。しかしRoHS指令内で検査法を決めていないことから、国際電気標準会議(IEC)/環境配慮専門委員会(TC111)/含有化学物質測定方法に関するワーキンググループ(WG3)が、中国など他地域のRoHS指令相当法規制を視野に入れた標準測定法「IEC62321」の策定に乗り出したものの、その初期案は06年10月に否決された。WG3に参加している東芝研究開発センター・環境技術ラボラトリーの竹中みゆき主任研究員は「提案していた測定法では、6価クロムと臭素系難燃剤の分析値が安定しなかった」と話す。今後は「鉛、カドミウム、水銀など分析値が安定していた物質に焦点を絞った再提案を行い、07年のできるだけ早期に認証を取りたい」という。


中国版RoHS指令対応に必要となる文書中国版RoHS指令対応に必要となる文書

公式文書は全て中国語のみ。JEITA提供資料より抜粋

管理弁法とREACH規則

 07年3月1日には、中国版RoHS指令と呼ばれる「電子情報製品汚染防止管理弁法」(以下管理弁法)が施行される。対象物質や含有量制限は同じだが、対象製品や法制の運用は異なる。例えば、EUで対象となる白物家電は対象外だが、電子部品は対象に入る。また独自に鉛フリーはんだに関する標準も設けるとしている。運用面では、当面製品と包装・梱包材に含有する有害物質の表示義務でしかなく、EUと同じ罰則を含めた規制となる「強制製品認証管理制度」の発効は未定だ。
 管理弁法の詳細決定も遅れている。当初06年夏とされていた管理標準発表が11月となり、8標準のうち鉛フリーはんだに関する5つと環境保全使用期限は未公表のまま(07年1月15日現在)。さらに12月末には、従来は07年3月1日から中国内で販売する製品が規制対象だったところを、3月1日以降生産する製品に変更した。これで製造年月日の表示も必要になるため、メーカー各社はさらなる対応が必要になる。「詳細決定の遅れがはっきりしていることもあり最初から厳格な適用はない」(経済産業省商務情報政策局情報通信機器課環境リサイクル室鈴木俊朗課長補佐)と見られるが、中国の法制運用で中央と地方に大きな温度差があることは不安要因になっている。
 そして06年12月には、EU環境法制として最大規模となるREACH規則が07年6月1日に施行されることが決定した。全てのEU加盟国に直接適用される「Regulation(規則)」であり、最終的には2018年6月を期限に年間1万トン以上生産される3万種以上もの化学物質が対象になる。

情報管理が焦点に

 これらの有害物質規制に対して、国内電機メーカーではグリーン調達調査共通化協議会(JGPSSI)を中心に、製品の含有化学物質に関する情報管理のガイドライン「ジョイント・インダストリー・ガイドライン(JIG)」を策定し米国、EUの業界団体の承認を得た。管理対象は、RoHS6物質よりも多く、世界各国で規制対象のレベルA15物質と、調査対象のレベルB9物質で合計24物質群。この24物質は、国内大手電機メーカーの検査基準となっており、部品、材料の採用決定にも大きな要素になりつつある。
 有害物質規制では、蛍光X線分析装置などの検査インフラの導入だけでなく、サプライチェーンの中での正確な有害物質情報管理が重要になる。すでに、化学、素材メーカーなどの川上産業では化学物質管理促進法に基づいたMSDS/MSDSplusが、川下のセットメーカーではJIGが提案されている。しかし最も関連する企業が多く、有害物質の流れが複雑な川中の部品、材料メーカーに情報管理の基準はなかった。そこで06年9月川中産業を中心に、アーティクルマネジメント推進協議会(JAMP)が設立された。部品、材料、モジュールなど「Article」の情報を管理するフォーマット「AIS/AIS plus(仮称)」の策定が目的で、MSDSやJIGなど既存の仕組みと整合性を持たせながら、最終的なREACH対応も視野に入れている。06年12月時点で71の企業・団体が参加しており、07年4月からの本格活動開始が注目されている。


製品含有化学物質の情報管理

製品含有化学物質の情報管理。Substance(単一の化学物質)、Preparation(混合物)、Article(成型品)、Product(最終製品)という定義は、REACH規則とも大きく関わって来る

 

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