著者_Randy Frank コントリビューティング・エディター

スペースを節約
機械的な構造と関連するRFスイッチング回路を一体化して小型化を実現した
携帯電話に小規模な改良を行うことで電池寿命やコストを大幅に改善できる可能性が出てきた。MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術でインピーダンス整合を改善することにより、携帯電話メーカーは大きなメリットを得る。具体的には、超小型のMEMSコンデンサで動的なインピーダンス整合を行い、それにより消費電力を低減する。
送信電力は携帯電話の性能向上を考えるとき重要である。電話は公称環境下では完全な50Ωシステムとして設計されているが、現実の使用環境では、パワーアンプ出力とアンテナ入力が完全に整合することはめったにない。低レベル信号に対応するために、パワーアンプ出力はこれ以上大きくならないところまで大きくなり、最終的には呼び出しを止めてしまう。問題はインピーダンスのミスマッチにあり、フロントエンド部品の整合を動的に行なう技術があれば、電力の授受をより効率的に行なうことが可能になるだろう。そこにMEMS技術を使えば理想的である。周囲環境からの入力を得て、50Ωシステムを実現するためにインピーダンスを増減する必要があるかを決定する動的な機能があるからである。
MEMSコンデンサは、表面マイクロマシニングで多層の半導体構造にプレートコンデンサをエッチングすることにより製造される。米WiSpry社はこのプロセスを使ってインピーダンス可変のマルチスロー・コンデンサを製造した。初期インピーダンスは1pFから2pFだが、20pF以上まで容易に調整できる。2GHzでの品質係数Qは100で、自己共振周波数は5GHzより大きい。
この小さなコンデンサがシステム性能を大きく向上する。同社の社長兼CEO、Jeffrey Hilbert氏は、「実際に、損失総デシベルを大幅に削減でき、大まかに言えば電池寿命を10%、15%、あるいは20%伸ばすことができる」と言う。消費電力を減らすことで、ローエンドの携帯電話では、より低コストの薄型電池を使用できる。

動態的調整
多結晶シリコンをエッチング処理した可動プレートコンデンサのセルベースアレイは、対応するコンデンサアレイの配列に接続すると、0.1〜1pFの範囲のインピーダンスに調節できる