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モーション・メカニズム特集
2007年4月
「動き」を伝達する軸受・直動機器の技術開発
日本工作機械見本市(JIMTOF)は工作機械に必要な開発トレンドを見極める重要な機会となる。JIMTOF2006は2004に比べて、マシニングセンター主軸や旋盤チャックサイズの大型化が見られた。グラフは日本精工の調査結果による
顧客密着による情報収集
軸受、直動機器は、自動車、建設機械、工作機械など各製品の内部で使われる部品である。顧客からは大きさ、形状、剛性、精度、速度などの仕様だけでなく、生産量に対応したコスト要求も出てくる。例えば、月産数万台単位の自動車用と、月産100台程度の工作機械用では、技術開発の要素はまったく異なるのは自明のこと。そこで必要になるのが、顧客に密着しての情報収集と、その情報を開発に受け渡す体制構築だ。
軸受国内トップの日本精工は、市場の流れが速く種類も幅広い工作機械分野について、開発担当が直接顧客の現場に訪問するなどして情報収集に努めている。日本精工産業機械軸受技術センターの中村晋哉精密軸受技術部長は「一人の開発部員で、1カ月のうち半分以上は社内外で顧客とミーティングを行っている。中で開発しているだけでは、売れる製品は作れない上に、先を見据える能力も磨けない」と話す。
直動機器世界トップのTHKは、2000年ごろから開発担当と顧客との技術交流会を開いている。頻度は世界全体で年間24回、つまり月2回は世界のどこかで技術交流会を行っていることになる。
NTNでは、開発・生産・販売を一貫して統括する二つの「GAM制度」を導入した。自動車分野では、顧客グループ単位で統括する「自動車GAM(グローバルアカウントマネージャ)」を、工作機械、鉄道、風力発電など産業機械向けでは各業種に分かれて統括する「産機GAM(グローバルアプリケーションマネージャ)」を設けた。
直動機器を扱う日本トムソンでは1988年から、顧客のニーズを積極的に取り込むため製品開発推進部を設置した。顧客からの意見1件ごとにリベートを出すもので、製品開発推進部に直接報告するシステム。「顧客からの意見というのは、クレームに近い内容だったりもするので上司には報告しづらい。現在の体制にすることで年間8,000〜9,000件の意見が入ってくるようになり、これを基に15年連続で年間10点以上の新製品を出すことができている」(日本トムソン製品開発推進部の植木寛部長)という。
NTNが構築した研究開発の4極体制
開発もグローバル化
軸受、直動機器メーカーは、成長の基礎となるグローバル展開を進めるため、海外での営業拠点と生産拠点の拡充を進めている。国内メーカーの海外売上高比率は、軸受大手の日本精工が48%、NTNが55%(共に2006年3月期)など、一般的なメーカーの目標値である50%前後まで来ている。しかし海外比率の比較的低い中堅軸受メーカーや直動機器メーカーでは、さらなる海外展開が必須になる。
グローバル展開という意味で先端を行くのは軸受世界トップのスウェーデンSKF社だ。1907年の創業後、1911年には英国に工場を設立するなど早くから海外展開を行い、現在ではスウェーデン外の売上比率は95%以上になる。日本法人・日本エスケイエフの浅野義樹社長は「SKFグループは従業員4万人のうち、スウェーデン人は10%にも満たず、人種構成もバラエティに富むグローバル企業だ。イノベーションはこういう色んな意見、知恵の集まるところから生まれる。これが規模でも技術でも世界トップクラスを維持する原動力になっている」と話す。
海外生産を行うことは、最適地調達、最適地生産が一番の目的になるが、最近では開発も海外で行うという取り組み例が増えている。NTNは、05年に新設した総合研究開発センター(静岡県磐田市)をマザーセンターとして、日、米、欧州、中国で情報を共有する世界4極体制を整えた。日本精工も、日、米、欧州、アジアを4極として各極にテクニカルセンターを配置している。
THKは、アジアを中心に海外生産拠点の充実を急ピッチで進める一方で、欧州の中核工場であるフランスのTHK Manufacturing of Europe(TME)に製品試験のための設備と人員を置いた。「従来基礎開発は東京のテクノセンターで、顧客向けの応用開発は国内4工場で行っており、海外工場に開発機能はなかった。TMEに置いた試験機能は開発の基礎となるものであり、応用開発に向けた準備にもなる」(THK技術本部長の舟橋浩取締役)という。
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