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モーション・メカニズム特集

2007年4月

高速、高剛性化が進む工作機械用軸受


  軸受市場は、自動車や家電などに使われる大量生産品向けと、工作機械などに使う少量多品種向けの二つに分かれる。軸受生産量の内訳で見れば、大量生産品向けが80%を占め、少量多品種向けは20%に過ぎない。しかし品種数から見ればその数字は逆転し、大量生産品向けが10%の品種しかなく、少量多品種向けが90%を占める。そして軸受の最新技術開発という観点では、少量多品種向け、特に工作機械市場に向けた最新製品に注目が集まることになる。

オイルエア潤滑アンギュラ玉軸受スピンショットII   、中村晋哉精密軸受技術部長

日本精工のオイルエア潤滑アンギュラ玉軸受スピンショットII

 

日本精工、中村晋哉精密軸受技術部長

世界最高速で競争
  2年に1度、11月に開催される日本工作機械見本市(JIMTOF)は、この工作機械のトレンドをつかむ絶好の機会となる。工作機械用主軸で高シェアを占める日本精工でも、JIMTOFでの工作機械メーカーの出展内容から将来技術の分析を行っている。日本精工産業機械軸受技術センターの中村晋哉精密軸受技術部長は「JIMTOF2006では、マシニングセンター主軸のテーパサイズ、旋盤チャックサイズの大型化傾向が見られた。大型の加工対象が増えているということだろう。一方で毎分1万回転以上の主軸の比率が下がっており、工作機械は高速化から多軸などの複合化の時代に入りつつあることを裏付けている」と話す。
  しかし複合化の時代と言えども、軸受メーカーにとって技術力の証明となる高速化開発は不可欠だ。日本精工では2001年に開発した高速精密軸受「ロバストシリーズ」で高速主軸市場をけん引して来た。JIMTOF 2006でも「世界最高速」の軸受を3機種発表しており、中でも新設計のオイルエア潤滑機構を採用したアンギュラ玉軸受「スピンショットII」は、オイルエア潤滑、定圧予圧、主軸径65mmの条件下で世界最高速となる毎分4万回転を達成した。騒音レベルも80dBに抑え、エア消費量の削減やオイルの給油効率もほぼ100%となっている。
  NTNは、オイルエアに替わる潤滑方式として04年から「ジェット潤滑」を提案しているが、新たなジェット潤滑として「MQCJ(Minimum Quantity and Cooling Jet)潤滑」を開発した。JIMTOF2006では、MQCJ潤滑方式を採用したアンギュラ玉軸受で、定圧与圧、主軸径70mmの条件下で毎分5万5,000回転(dmn値500万)を達成した。オイルエア潤滑という枠を外せば世界最高速となる。従来のジェット潤滑では動力損失が大きかったが、MQCJ潤滑では内輪への給油量を制御することでオイルエア潤滑と同等にまで抑えこむことができたという。

エアスピンドルで差別化

浅野義樹社長   高剛性エアスピンドル

日本エスケイエフ、
浅野義樹社長

 

日本エスケイエフの高剛性エアスピンドル

  スウェーデンSKF社は工作機械用軸受で高シェアを占めるが、国内軸受メーカーの地場である日本での事業展開は特に差別化を行う必要がある。日本エスケイエフの浅野義樹社長は「日本市場では、日本の軸受メーカーが持っていない技術を、リーディングカスタマーに提案することが重要になる」と話す。また長野工場では、超高速スピンドルなど工作機械向けの100%カスタム製品の設計・製造を行うなどして、日本の顧客との信頼関係構築に努めている。
JIMTOF2006では、高い技術力を持つエアスピンドルの最新開発成果を発表した。空気軸受をベースにしたエアスピンドルは、高速性能、高回転精度、潤滑油が不要などの通常の転がり軸受にない特徴があるものの、剛性が低いのが問題だった。しかし今回の発表では、スウェーデンの大学との共同開発により、剛性を大幅に高めることができたという。最大毎分8,000回転の金属加工用では、剛性がラジアル方向37N/μm、アキシャル方向137N/μm、回転精度は両方向とも0.05μm以内を達成した。また空気軸受と磁気軸受を組み合わせることで、毎分10万回転、非繰り返し回転精度でラジアル方向0.01μm以内、アキシャル方向で0.1μmというハイブリッドスピンドルを開発した。両製品とも07年内での市場投入を目指している。

 

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