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Cover Story

2007年5月

プラグインハイブリッドの先駆け

Voltは、GMのEV1とは違い、
6時間充電した容量を超えて電池が空になっても、立ち往生することはない。

著者_Charles J. Murray
    エレクトロニクス担当シニア・テクニカル・エディター

cover story 1

電動自動車用電池の目標
コスト、容量、寿命が鍵となる

パラメーター 短期目標 長期目標
エネルギー密度 150 W-hr/kg 200 W-hr/kg
コスト 150 $/kW-hr 100 $/kW-hr
寿命 10年 10年
出力密度 300 W/kg 400 W /kg
充電時間 6時間 3〜6時間

(出典:米国高性能電池コンソーシアム)

cover story 2Chevy Volt:プラグイン・ハイブリッド車の充電は、一般家庭の電源で6時間、あるいは自動車内のエンジンと発電機によっても可能
 

 2007年1月にChevy Volt〔シェビー(Chevy)はシボレー(Chevrolet)の愛称〕が発表されてからわずか数時間で、この自動車の注目度は急上昇した。北米国際オートショー(デトロイトショー)では、見物人が群れをなし、報道陣からの取材が殺到した。Voltはあっという間に展示会場の華となり、開発元の米General Motors社によると、マスコミ報道件数も次点の自動車の2倍はあったという。Voltの公開は、ニューヨークタイムズからニューズウィークまで、主要な全ての新聞雑誌の記事となった。その評判はさらに拡大し、ブッシュ大統領が一般教書演説のなかでプラグイン・ハイブリッド車に言及するまでに至った。この騒ぎに一般消費者も加わってきた。25万人以上の消費者がGM.comのウェブ調査に返答し、その99%がVoltの購入を考えると言っている。
  「いまだに、毎日問い合わせの電話を受け続けている」と、GMの広報担当者は非常に控えめなコメントをしている。明らかにVoltは電撃的な評判を巻き起こした。それには訳がある。オートショーの聴衆に向かって、GM副会長Robert Lutz氏が高らかに宣言したのは、Voltに乗ればガソリンスタンドに通う必要がほぼ無くなるということである。「仕事場から48km(30マイル)のところに住んでいる人であれば、帰宅してから毎晩自動車を充電するか、あるいは昼間仕事の間に充電することで、64km/l(150マイル/ガロン)の燃費が得られる」とLutz氏はオートショーの聴衆に語った。
  報道によれば、電気式ドライブトレイン(駆動系)とバックアップのエンジン発電機を用いて、Voltは走行距離1,030km(640マイル)を達成するという。ドライバーは、自動車の内燃機関を一度も点火せずに、職場との往復が可能になる。同時にVoltは長距離移動の能力も備える。特に重要なのは、これらすべてを成し遂げるために、GMがEV1で用いた“誘導充電器”や、220Vの充電ステーションを必要としない点である。GMのエンジニアによると、Voltのリチウムイオン・バッテリーは、家庭用の110V、15Aの電源で、6〜7時間かけて充電できるという。
  「最大の課題は、バッテリー内のエネルギー量と適正な走行距離とのバランスを取ることであり、一晩で充電できるようにする必要もあった」とVoltのチーフエンジニアNick Zielinski氏は言う。「この点には成功したと信じている。米国の人口の4分の3が充電だけで走れる性能に仕上げたし、そのうえバックアップとしてエンジンと発電機を有している。」
  

Voltに使用されている新材料
Doug Smock(材料担当コントリビューティングエディター)

 Chevy Voltに対する注目の大半は電池とパワートレインに集中している。しかしこのコンセプトカーは、このほかにも商品化が近い材料テクノロジーをいくつか公表している。環境上および設計上の大きなメリットをもたらすようなテクノロジーである。
  代表的なものは、新しい熱可塑性樹脂の複合材料によるフードとドアである。この材料はGMの車ではないが、来年の生産モデルでの採用が決まっている。米GE Plastics社は、Voltで発表したコンセプトすべての技術開発を担当した。開発にあたっては数社と共同開発を行ったが、その社名はほぼ非公開である。GE Plastics社は3つのプロセスを検討しており、その一つがRocTool社というフランスの会社が開発した、電磁誘導により金型を加熱するプロセスである。そのメリットは速度である。このプロセスでは金型のわずか0.2mm深さの表面のみを部分的に加熱する。この技術のライセンスを受けた会社のひとつに米Azdel社がある。GE Plastics社と自動車塗料メーカーである米PPG Industries社の合弁事業である。ポリプロピレンとXenoy(ポリカーボネート樹脂/PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂)の複合材料から作ったガラスマットSuperLiteの成形試験を行っている。
  このプロセスの鍵となる特徴は、自動車表面の高度の光沢を持ったクラスAの仕上げを達成できることである。GE Plastics社は、マサチューセッツ州ピッツフィールドのプラスチックポリマー・プロセス開発センターで、独Krauss-Maffei社の射出圧縮成型機を用いてプロセスの試験を実施し、良好な結果を得たと、Robert Butterfield氏は言う。氏はGE Plastics社自動車ビジネス部門のデザイン革新担当、グローバルマーケティング・ディレクターである。Butterfield氏によると、このプロセスで作った部品は、鋼板や熱硬化樹脂シート成形材料から作られたフードと同等の剛性を持ち、重量は半分以下になるという。
  Azdel社は今年中には電導グレード(静電塗装用)と非導電グレードを商品化する見込みである。Butterfield氏によると、長期的には最良の選択肢は、複合材料を高光沢フィルムで被覆したものになるかもしれないという。



 

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