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Cover Story

2007年5月

プラグインハイブリッドの先駆け


cover story 3

GMのエンジニアによると、Voltの技術の大半は現時点でも実現可能だという。内燃エンジン、電気モーター、発電機、コントローラなどがこれに含まれる。電池については、まだ回答が得られていない

開発スケジュールは未定
  実際の所、GM社はVoltの発表によって大衆の関心を集めることに成功した。しかし、GMのエンジニアはまだやることが多く残っていると警告を発している。Voltは結局の所、コンセプトカーに過ぎない。GMは車両設計プログラムを開始したことを発表したが、それと同時に、公表できる開発スケジュールがないとも通告している。最終的な市場投入時期は2010年から2012年と言及してはいるものの、それさえも楽観的だという専門家もいる。
  「この自動車にとって最大の難関は、リチウムイオン電池の開発だ」とZielinski氏は言う。「電池に関してはいくつもの課題があり、今後それを解決しなければならない」
  確かに、車両の推進技術はすべていまでも可能な技術だ。これらの技術には、3気筒内燃エンジン、発電機、パワーエレクトロニクス、制御システム、そしてVoltの車輪を回す電気駆動部とモーターが含まれる。
  走行中のVoltの推進方法は、いわゆるマイルドハイブリッド車(トヨタのプリウスなど)と比べて極端にシンプルである。マイルドハイブリッド車は、ガソリンエンジンと電気モーターの両方の動力を組み合わせて車輪を駆動する。それとは対照的に、Voltは単一の三相交流永久磁石型同期モーターを採用し、前輪を駆動する。横向きに設置されたモーターは、同軸のドライブシャフトが中心を通り、左右の前輪に動力を送る。モーターの終端に置かれた遊星歯車一組が、ディファレンシャルギアと動力ステップダウンとして働き、リンク機構を通じて右側前輪にトルクを送る。別のリンク機構がモーターを駆動軸につなぎ、この駆動軸が左側前輪に動力を伝達する。このモーターは、GM社の先端テクノロジーセンター(カリフォルニア州トーランス)のエンジニアが設計しており、その最大ピーク出力120kWである。
  すべての状況下で、電池駆動のモーターがVoltの推進力として使われる。しかし、ここで問題になるのはどこから充電するのかということである。毎日の通勤のために使う場合、充電のための電力は自宅の一般的なコンセントからだけで済むことを、GMのエンジニアは望んでいる。Zielinski氏によると、通勤路が往復64km(40マイル)以内であれば、目的地への行き帰りの間、内燃エンジンと発電機を動かさなくても済むという。
  さらに、Voltの美点は、GMのEV1とは違い、6時間充電した容量を超えて電池が空になっても、立ち往生することはない点だ。GMのエンジニアはVoltのパワートレインを設計するにあたり、電池の各セルの充電状態を監視するコントローラを採用した。ソフトウエア・アルゴリズムを用いて電池電圧を測定し、充電状態が30%以下に低下したことをコントローラが認識すると、エンジン・発電機セットを起動するための信号を送る。「リチウムイオン電池の充電状態を監視するのは、鉛蓄電池を監視するよりもややこしい」とZielinski氏は言う。「しかしリチウムイオン電池の化学はかなり洗練されているので、監視は可能だろう。」

Chevy VoltとEV1を比較
電池技術のブレークスルーにあまり左右されないVoltの方が成功する可能性は高い

 Chevy Voltには議論の余地のない課題がある。GMのかの悪名高いEV1と同様に、電池技術にその成否を大きく左右されることだ。
  ただし幸いなことに、VoltはEV1ほど電池技術のブレークスルーに依存していない。Voltは3気筒エンジンと発電機を搭載していて、電池を充電できるので、要求はそれほど厳しくない。たとえば主要課題であるエネルギー密度を見てみると、Voltの必要値はさほど高くない。電池だけでの走行距離は64km(40マイル)にすぎないからである。専門家によると、Voltのリチウムイオン電池の150W-hr/kgというエネルギー密度は、64km(40マイル)走行には十分すぎるほどであるという。(1W-hr/kg は4人乗りセダン電動自動車では走行距離1.6km(1マイル)に換算できるとされている)
  それとは逆に、1990年代の電池のみの電動自動車は、200W-hr/kgという目標(米国高性能電池コンソーシアムの表現による)にはるかに届かなかった。この目標値は、自動車が322km(200マイル)以上を再充電なしで走行するための必要値であった。当時の電池は、鉛電池やニッケル水素電池であり、平均70W-hr/kg程度の能力しかなかった。その結果、消費者は動こうとはしなかったのだ。
  しかし、リチウムイオン電池はまだ完成している訳ではない、と専門家は注意をうながす。まだコストを下げる必要がある。
  「コストのことは常に気にかけている必要がある」とVoltのチーフエンジニアNick Zielinski氏は言う。「このような自動車を販売するとき、電池のために巨大なコスト増を強いることは望んでいない」


 

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