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Cover Story

2007年5月

プラグインハイブリッドの先駆け


‘発見’を待ちながら


cover story 4

Voltの駆動モーターは前輪の間に横向きに、リチウムイオン電池パックは座席の間のトンネルに設置されている

  とはいえ、Voltの開発で一番大変なのは、リチウムイオン電池パックを作り出すところにある。
  電池メーカーは、出力、比エネルギー、寿命、安全性、価格、そして開発スケジュールなどの各要素において、GMを満足させる車両用電池の開発について自信を持っている。
  「やる仕事はたくさんあるが、魔法の特効薬は必要ない」と、Al Mumby氏は言う。氏は米Johnson Controls社の副社長で、同社ハイブリッド電池ビジネスユニットのジェネラルマネジャーである。
  Johnson Controls社はフランスの電池メーカーSaft社と協同で、新会社Johnson Controls-Saft Advanced Power Solutions社を創立し、GMが使用するリチウムイオン電池を開発しようとしている。このジョイントベンチャーは、別の組み合わせである米Cobasys社と米A123Systems社の共同事業と直接競合することになる。開発競争の舞台は、GMのSaturn VUEプラグイン・ハイブリッド車用のリチウムイオン電池であり、そこで最適な電池を開発できれば、Chevy Voltの電源にも採用されることになる。
  専門家の意見によると、電池メーカーは電池寿命や出力という主要な領域では間違いなく開発に成功し、さらにエネルギー密度(測定単位はW-hr/kg)という重要な項目でも目標を達成するだろう。しかし、これらの性能を妥当なコストで提供できるかどうか、疑問の声も聞かれる。専門家によると、一番の問題は、高価なコバルトがリチウムイオン電池の正極に使用されている点にある。
  確かにコバルトの代替品は存在する。「コバルトの替わりにリチウム鉄リン酸塩を使うことに関して、最近激しい議論が巻き起こっている。鉄は周期表のなかで一番安価な元素だからだ」とDonald Sadoway氏は指摘する。同氏はマサチューセッツ工科大学(MIT)材料化学のJohn F. Elliott Professorであり、著名な電池の専門家である。「しかし、現在までの実験結果では、鉄リン酸はすべての面で満足できる訳ではない。」
  Sadoway氏の主張によると、さまざまなリチウムイオン電池の化学的問題点は、ほぼすべて“リソース限界”によるものだという。要するにお金さえかければ解決するということだ。しかしコストの問題は、“知的限界”によるものだとSadoway氏は言う。したがって資金を増強しても必ずしも解決するものではない。
  「正極に関しては、まだ新しい“発見”を探している段階だ」と氏は言う。「さらにいくつもの発見がされない限り、この問題は解決しない。」
  政府後援の団体USABC(United State Advanced Battery Consortium、米国高性能電池コンソーシアム)は、この問題解決のために電池メーカーに資金援助をしてきた。USABCは電動自動車用電池の短期目標を1kW-hrあたり150ドルに、長期目標を100ドルに定めている。電池の専門家の推計によると、現状のリチウムイオン電池の実力は1kW-hrあたり300ドル付近にあり、高い場合には500ドル程度にもなるという。
  自動車用の電池は、ラップトップコンピュータや携帯電話のような用途と比べて、コストとエネルギー密度の目標がはるかに高いため、特にやっかいな問題になっている。自動車は車体重量の大きな比率を電池パックに割くことはできない。したがって自動車用電池が要求するエネルギー密度の目標値は非常に高くなる。そのうえ、自動車の1kW-hrあたり100ドルというコスト目標は、1kW-hrあたり1,000ドルを超えることもあるラップトップPCや携帯電話の電池に比べ、達成がより困難である。
  「リチウムイオン電池は、いまハイブリッド車に使われている電池よりはるかにエネルギー密度が高い。ここが重要な点だ」と、カリフォルニア大学バークレー校の化学工学名誉教授であり、1960年代から電動自動車の電池の開発に携わっていた、Elton Cairns氏は言う。「しかしとても高価だ。一般消費者向けには高価すぎる。」

廃ボトルの再生利用
Doug Smock(材料担当コントリビューティングエディター)

 複合材料に使われる材料は、廃プラボトルの再生品から作ることができる。GE Plastics社独自のプロセスによって、Xenoy iQ樹脂の製造元はボトルを化学的な構成成分のレベルにまで分解し、樹脂製造に再利用する。このプロセスは2006年7月に最初に発表された。また一般的なリサイクル樹脂のように、材料の物理的性質を犠牲にすることは皆無である。Tier1メーカー大手のデンソーがアプリケーション評価を行っている。Voltのもう一つの材料上での技術革新は、自然光を多く用いた車内環境を作りあげる。
  Voltのルーフ、サイドガラス、ベルトラインは、透明な艶出しポリカーボネート樹脂製である。この樹脂はガラスのような耐ひっかき性と光沢を持つと言われている。フロントガラスがVoltで使用している唯一のガラスである。透明なルーフによってVoltは、大多数の他の自動車よりも多い自然光を得ることができる」とGMのデザインディレクターWade Bryant氏は言う。「とても特徴的で魅力的だ。」
  Voltでは電線の被覆も大きく変わった。ポリ塩化ビニール(PVC)からフレキシブル・ノリル(Flexible Noryl)に置き換わった。環境問題と重量削減がその理由である。「平均的な自動車には、1.6km(1マイル)を超える配線があり、主にPVC被覆が使われている」とButterfield氏は言う。「PVCは環境にはよくない。燃えるとハロゲンとダイオキシンが発生するからだ。」また、ノリル被覆はPVCよりも直径が小さくなり、エンジニアが車体内で配線の取り回しをするのが容易になる。フレキシブル・ノリル配線の主な共同開発相手はDelphi Automotive社である。


 

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