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モノづくりと人材2007年5月 目指せコネクタ構造の革新
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オオシマ・ツトム 80年リコー入社、84年日本AMP(現タイコエレクトロニクスアンプ)入社。90年開発・エンジニアリングマネージャー、96年オペレーションズ本部長を歴任。2000年4月から専務執行役員となり、現在に至る。 (聞き手:甲斐真一郎) |
タイコエレクトロニクスアンプ
大島勉専務執行役員
タイコエレクトロニクスアンプは、米タイコエレクトロニクス社の日本法人として、コネクタのAMPをはじめ多数のエレクトロニクス・ブランドを市場展開するコネクティング領域のグローバルシステムサプライヤーだ。
私自身は80年に機械組成・加工を専攻した大学院からリコーに入社すると、それ以降一貫してエンジニアリングを仕事としてきた。84年からAMPに入社後も開発技術、製造技術畑を歩んできた。タイコがAMPを買収した翌年の2000年4月からはアジア全域の開発・製造技術を含めた生産責任者を務め、現在ではPrincipalとしてタイコエレクトロニクスでグローバルの製造技術を統括している。
中国シフトと標準化
アジアへの生産シフトが加速度的に進んでいる。特に、17生産拠点を展開する中国では9拠点を基幹工場と位置付けているが、そのなかの7拠点が私の担当になっている。このため、コネクタ生産を中心とする上海、順徳、青島、東莞、昆山、珠海の各拠点を現地指導して巡るのに月の半分を費やしている。
製造技術に関しては、グローバル企業の利点を生かして、米国とドイツ、日本に根付いた技術のそれぞれの強みを組み合わせることに努力している。日本の製造技術が全てに優れるというわけではない。今年7月にAMPは日本で50周年を迎えるが、当初は量産に向いた高速スタンピングや高速電解プレーティング技術を米国からいち早く導入して立ち上がった。米国は今でも、量産技術面で優れたものを開発してくる。一方、日本では風土に密着した品質管理体制によって、小回りの利く製造技術が育った。
96−97年には社内でデザインの標準化を進め、私は設備を中心に取り組んだ。それ以降、日本ではダイ、モールドなどツーリングの標準化と、モジュラー方式導入による機械設備の標準化で成果をあげ、顧客からの短納期の要求に対応する力を増した。また中国へのプラント展開によって、コストでも競合力を高めてきた。
課題は、中国生産品の約80%が依然として日本での開発品であり、また日本と中国で品質に関する意識に格差が残っていることだ。しかし弊社は6シグマを導入しクオリティ・リーダーシップを社是とする会社だ。中国では標準化した手法の導入を徹底推進する一方、外観検査工程など後工程に時間、費用を多めにかけてでも品質を追及している。これらのことにより、今では外に出て行く製品の品質では、アジアが世界のトップとなっている。
コネクタを革新する創意
開発に関しては、AMPは最も早期から3次元モデリングのグローバルユーザーだった。形状の類似した製品の設計データの検索、デザイン再利用からモールド成形のための3次元データのダイレクト出力まで、先進的な設計支援ツール活用を継続的に推進し、また社内で標準化してきた。ただ、ツールの標準化を早期から整備した反面、開発エンジニアの創造力の低下や改善意欲のゆるみを警戒することもある。
完成品の小型化にともない、コネクタにも小型化が要求される。他方、製品の複雑化を反映して、より狭いスペース内で接点数は増える傾向にある。問題は単純に既存の寸法を小型化することでは解決しない。そこに新しいアイデアの注入が必要だ。従来のコネクタの常識や発想を翻して、半導体のように固定した一体加工部品の特定部分だけ可動とすることでコネクタ機能を実現するなど、既存のハウジングとコンタクトによる構造を根本的に見直したり、絶縁層としてのハウジングの役割を見直すなどの創意が、今や求められている。
また、開発エンジニアを現場から離してはいけない。日本国内の静岡と川崎に生産・試作ラインを維持している所以だ。
匠の差は経験の差
技術継承に関しては「匠の差は経験の差、技術の蓄積の差」でしかない、と考えている。そして日本のエンジニアの強みは、蓄積し継承する力にあると思う。社としてはその標準化に努める一方、これからのエンジニアには自分の時間をしっかり管理し、自らの専門だけでなく、その周辺領域も全部わかる技術者に育ってもらいたい。私は、優れたモールド設計者には必ずスタンピングも経験させる。開発にとってプレス金型、モールド、周辺設備など理解できる領域が広がるほど、新規な発想も生まれやすくなるからだ。