前号では、3次元設計ははたして3次元で行なわれ、設計情報は3次元で伝達されているのかを分析し、形状定義の工程においては3次元の視覚的パフォーマンスが設計者の創造力の向上や、設計の信頼性確保に有効に生かされるが、その反面、他の設計情報は2次元で表現され、従来の2次元設計と変わらない手法で伝達されている結果を述べた。
図1 3次元設計の問題点
3次元設計の問題点
モノづくりの改革の観点で、これまでに述べてきた3次元設計の実態から抽出できるその主な問題点は、
@3次元のパフォーマンスがアウトプットに生かされていない。
3次元のダイナミックな視覚的パフォーマンスは、設計者自身の創造力を高めることや、第三者の形状理解を容易にすることに大いに効果的であるが、多くの設計情報は2次元で表現され伝達されるためにこの効果が生まれない。つまり3次元のパフォーマンスが設計情報のアウトプットに生かされていないために、設計以降の川下工程では3次元設計の効果を十分に発揮することができていない。
A製品形状と製品特性の設計情報が3次元と2次元とに分離してしまう。このために、情報の扱いの不便さ、情報伝達の欠落のおそれ等がある。
モノづくりに必要な設計情報は、2次元設計の時代には図面に全てが委ねられ、3次元設計の時代となった現在では3次元モデルデータと図面とが補完し合うことが基本的な形となった。このことは、設計情報の媒体は何であるかと言う点で、媒体が明確に「図面」で安定していた2次元設計の時代に比べて、3次元設計では、これが曖昧で不安定な状態になってしまった(本連載2007年3月号)。
B3次元設計なのに結局は2次元図面を作成しなくてはならない不合理な事実があること。
3次元モデルデータを苦労して完成させた後に、製品特性を2次元の図面に定義するという設計手法としての工程が、設計の合理化の観点で疑問となる。
3次元モデルが出来上がってから、製品特性の定義で図面を作成するためにモデルデータと図面の完成時期に時間差が生じる。3次元設計のひとつの目的である開発期間の短縮としてコンカレントに開発を進行させるにはモデルデータの早期活用が不可欠であり、図面の完成時期はこれに整合しにくいのが実態である。このことから、「図面レス」概念も生まれた(同07年4月号)。
現状の3次元設計の主な問題として以上の3つを掲げてみると、それぞれの内容は密接に関連していて、図1のように整理できる。