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2007年7月

B787スペシャルレポート 第1回
空力の電動化がエンジンの進化を加速する


 

重量、燃料、排出を削減するGEの技術


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最新の技術によって重量削減と燃料節約を実現したGE Aviation社のGEnxエンジン
出典:GE Aviation社

 GEとロールスロイスは、新開発のエンジンでボーイング社の電動化とノンブリード方式のコンセプトを満足させることに成功したが、それだけがすべてではない。両社は、エンジンのコア部分の空気力学性能と燃焼効率も最適化している。例えばGEnxエンジンはGE90エンジンをベースにしているが、商用航空機用としては世界初の技術も新たに導入している。GE Aviation社のGEnxエンジン担当のゼネラルマネジャーであるMelvyn Heard氏によると、同エンジンは、出力がほぼ同等のCF6エンジンと比べて、燃料効率が15%向上しているという。この燃費向上では、材料関連の重量削減の効果が貢献している。Heard氏によると、GEのエンジニアは、エンジンと関連ハードウエアの重量を、航空機1台あたり363kg(800ポンド)削減することに成功したという。同社ではまた、エンジンのコア部分の空力設計と燃焼を最適化している。これら3分野の開発の詳細について、以下に紹介する。

複合材料による重量の削減と保守の簡素化。
 複合材料製のファンブレードを搭載したGE製エンジンは、10年以上前から航行実績を重ねている。しかし、GEnxエンジンでは、新たにファンケースでも初めて複合材料を使用することを決定した。この複合材料製ファンケースは、米A &P Technology社製のエポキシ樹脂で強化した繊維組物で作られている。Heard氏によると、ファンケースには大きな負荷がかかるため、繊維の編み上げ方向を注意深く最適化する必要があったという。同氏によれば、軍用機では似たような構造のファンケースの実用性が証明されているが、「商用航空機では、ここだけで使用されている」という。この複合材料製ファンケースにより、エンジン1台あたり159kg(350ポンド)の軽量化が可能になり、エンジン関連の重量削減目標の達成に大きく貢献したという。同氏によれば、強度も高いので、ファンブレードが事故で脱落してケ―スに衝突する場合にも耐えられるという。このため、アルミ製ファンケースに必要なケブラー被覆が不要になるので、さらなる重量削減にも役立っている。しかし、複合材料の効果は、重量の削減だけではない。メンテナンス面でも利点がある。Heard氏は「複合材料は、腐食の問題も解消してくれる」と言う。
 
燃焼効率の改善。
 GEでは、過去10年間をかけて培ってきた燃焼器関連の技術を採用した。これはTAPS(Twin Annular Pre-Mixing Swirler)と呼ばれる技術で、燃料ノズルに隣接して2つの旋回翼を配置し、これによって燃焼前に燃料と空気を予備混合するというものだ。Heard氏によると、この渦流によって燃料と空気をより均一かつ希薄に混合でき、従来の設計よりも低温で燃焼させることが可能になったという。このことは、窒素酸化物(NOx)排出量の大幅な低減にもつながっている。同氏によれば、GEnxエンジンは、これまでのCF6エンジンと比較してNOxの排出量が半減しているという。また、その他の排出物質や微粒子の排出レベルも低減している。Heard氏によると、TAPSは、メンテナンス業務にも利点をもたらすという。「温度分布がより均一化するので、エンジン部品に対する負荷が小さくなる」(同氏)。

空気力学とその他の改善点。
 GEnxエンジンでは、各部で空気力学性能の最適化も行われている。Heard氏によると、GEnxエンジンのファンブレード数は18枚で、CF6エンジンの半分だという。このことは騒音レベルの低下に寄与しているが、これはブレードの翼形状の最適化によって実現している。GEでは、高圧コンプレッサーの内部で、ファンブレードとディスクを一体化した「ブリスク(blisks)」という部品を3つ使用している。この統合化は、重量と維持費の削減に役立っているとHeard氏は言う。最後に、GEにとってGEnxエンジンは、部品点数と重量の削減のために二重反転軸を搭載した初の商用機用エンジンとなる。Heard氏によると、この設計によって部品点数を10%削減できたという。見方をかえれば、GEは、6段低圧タービンから7段型への設計変更を「重量を増やすことなく」(Heard氏)実現したとも言える。


 

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