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2007年7月
SOFTWARE
PTC、デジタル製造ソリューションMPMLinkを発表
設計BOMと製造BOMの協調連携を実現
米PTC(マサチューセッツ州ニーダム、Richard Harrison社長)はコンカレントな製品開発と製造プロセスの定義を可能にした製造プロセス管理(MPM)向けのソリューションWindchill MPMLinkを9月から市場投入する。PTCがデジタル製造ソリューション分野に製品を投入するのは初めて。
6月4日、米フロリダ州タンパに2,200人規模のユーザー、パートナーを集めて開幕したPTCユーザーカンファレンスで発表した。同社PDS(製品開発システム)の中核商品であるWindchillの最新バージョン9.0のモジュールとして提供する。
設計デザインを部品表(BOM)や製造プロセスに変換する手法は、製品ライフサイクル管理(PLM)のなかで極めて手間のかかる懸案事項となっている。PTCは2005年6月に買収したPolyplan社の技術をベースに、Windchillに完全統合したソリューションとしてMPMLinkを開発した。
「Polyplan買収後、その製品出荷を停止し、全面的にWindchill内で書き直す作業を行なうことで、Windchillとの完全統合を実現した。MPMLinkはWindchillのモジュールとして機能し、スタンドアロンでは機能しない」と語るのはAlex Mackenzie 副社長(製造・サービス・ソリューション担当)。
Alex Mackenzie 副社長
eBOMからmBOMを作成
同社CAD/CAE/CAMツールのPro/ENGINEERで作成したCAD成果物データは、Windchillにチェックインした段階で設計BOM(eBOM)を自動生成し、PDMLinkがこれを管理する。MPMLinkは、eBOMから製造BOM(mBOM)をマッピングにより作成し、アソシエイティブ(協調連携)に管理することができる。またトレーサビリティ・リンクでeBOMを容易に複数のmBOMに変換できる。設計チームが定義した同じ製品情報から製造プロセスを定義し作成するため、これまで製品情報を重複して作成、保守することから生じていた異種BOM間のインターフェース開発と管理などの手間や問題が解消する。
Mackenzie 副社長によれば、eBOMと連携したmBOMが生成されると、工場固有の部品製造法、組立て法、やり直しの方法、修理法、検証方法を記述するシーケンスおよびオペレーションの定義が可能となり、一気通貫のデジタル工程計画の作成と管理が行えるようになる。ツール設計では、先に買収したNC GraphicsのCNCを活用した金型加工用高速ツールパス作成の切削ツール・ソリューションPro/TOOLMAKERと連携する。またこれにより製造業者は、設計から製造にわたる全体を管理する単一の変更管理プロセスを確立できる、という。
MPMLinkの開発にあたって、PTCは、製造業者によるカスタマ・アドバイザリー・ボードを設け、さまざまなニーズの吸い上げを実施した。同メンバーには時計のROLEX、スペースシャトルのロケットエンジン開発企業であるP&W Rocketdyne、制御機器のSchneider Electric、農機製造大手のAGCO、航空・防衛産業のThalesなどが参画した。
製造プロセス管理では、Siemens A&DのUGS PLM Software事業部のTecnomatixやDassault SystemesのDelmiaが工場プロセス全般をカバーする大規模シミュレーションで先行している。これらと異なり、MPMLinkはBOMの管理を核としている点が特徴。またターゲット市場も「TecnomatixやDelmiaが大規模ハイエンド市場を対象としているのに対し、MPM Linkはミッドマーケットの市場性を重視している」とMackenzie 副社長。このため、価格帯も6,000ドル前後に設定する見通しだ。
MPMLinkのmBOMによる製造リソース・エクスプローラ画面
Brian Shepherd上級副社長
Windchill 9.0のデータ管理機能強化
MPMLinkのほかにもPTCはWindchill 9.0でコンフィグレーション管理機能の追加、ユーザーインターフェースの改善とビジュアライズ性能の向上、ビジネス・リポートの新規モジュール追加などを図った。
Brian Shepherd上級副社長によれば、詳細設計ではPro/ENGINEERのデータ管理の効率を向上し、これまでワークグループ単位のデータベース管理として使用されてきたPro/INTRALINK 3.xの機能的ギャップを解消。複数のPro/INTRALINK 3.x併用環境を、多拠点との連携に優れたWindchill PDMLinkの単一データベースに統合し、一括アップグレードを推進する。
またPro/ENGINEERのほかにCATIA V5、UG-NX、SolidWorks、 Autodesk Inventor、AutoCADのメカCADが混在して使用される環境でのデータ管理機能を改善。Shepherd上級副社長は「メカCADデータ管理のハブとしてWindchillを確立。Windchill 9.0内では、これらマルチCADがすべてPro/ENGINEERと同じ製品構成をフィードする新アーキテクチャを組込んだ」と説明する。
バリエーション設計・生成では、ジェネリックな製品構成をもとに、コンフィグレーション上のバリエーションをすばやく定義・検証するための機能を盛り込んだ。
また新モジュールとして「ビジネス・リポーティング」を追加。Cognos 8 Business Intelligenceのインターラクティブ・レポート機能を利用し、変更管理作業、ユーザー作業のステータス、プロジェクトの進捗状況を、リアルタイムでレポート表示する。
ユーザーインターフェースの設定を単純化し、ユーザーの特定の役割、職務に応じた情報を表示する改良を施した。このほか、マルチCADデータ管理に関連して、ProductView Lite 9.0による新しいビジュアライゼーション機能を組み込み、ビューアデータの読み込み、操作、配布性能を向上した。これにより「16ギガバイト容量で11,000強のパーツ数によるアセンブリのワークの構造、ジオメトリも20秒足らずで表示できる」とShepherd上級副社長。
Windchill 9.0のビューワProductView Liteによる大規模アセンブリの表示画面
Pro/Eのセキュリティを強化
PTCはまた、米Adobe Systemsと提携し、PTCのCAD/CAE/CAMアプリケ−ションPro/ENGINEERとAdobeのLiveCycle Rights Management ESソフトウエアを統合して、Pro/ ENGINEERを使用する開発ユーザー向けにデジタル著作権管理(DRM)機能を提供することを明らかにした。設計データはドキュメントとしては大量の枚数となることから、その一括的なDRMの適用に関して共同する。
加速化する製造開発のグローバル化にともない、国内外での設計拠点の分散化、アウトソーシング、サプライチェーン間のデータ流通量の増加傾向に対して、企業資産としての設計データのセキュリティ確保が注目される事態に対応した。
認証を受けたユーザーのみにアクセスを制限する機能、ワークに対する特定の作業の認可と制限機能、アクセス権の即時消失などが盛込まれる。セキュリティ管理はファイヤウォ−ルの内外で流通するPro/ENGINEERのCAD成果物データに適用するほか、設計データにひもづくPDF、DOC、XLSフォーマットによる仕様書、付加設計書類にも適用する。
両機能の統合は、Pro/ENGINEERの次期バージョンWildfire 4.0がリリースされる08年1月頃となる見通し。
PTCは将来的にはDRMの適用範囲を、同社のPLMであるPDM全体に敷衍し、全データ流通で最先端のセキュリティ確保を推進したい考えだ。
(甲斐 真一郎)
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