突風抑制システムを採用することで、飛行機の最も厳しい3分間の上下動がかなり抑えられている
出典:ボーイング社
飛行機酔いの防止
ボーイング社は、世界各地の大学と共同で、飛行条件に対して人体がどのように反応するのかを研究しているという。
高度、湿度、気圧、音、照明、客席スペースなどによる影響を詳しく調査することで、エンジニアたちは、乱気流の中を通過する飛行で人体に悪影響を与えるのは、機体の上下動の繰り返しだと結論づけた。
「レンガ舗装のでこぼこ道を車で通っても、乗り物酔いをすることはない。しかし、約10秒間ごとに小さな山を繰り返し越えるような道を運転する場合は、人々は乗り物酔いの状態になり始める」とSinnett氏は言う。
そこでボーイング社は、小山を繰り返し越える自動車に似た周波数帯域の応答を引き起こす縦方向の突風に注目した。主に1〜5秒間続く動きが乗り物酔いを引き起こすことから、同社のエンジニアは、こうした長周期の現象に的を絞ることにしたという。
その結果、この突風抑制システムでは、必ずしも機体を瞬時に反応させる必要が無いことが分かった。
「この機体は巨大な慣性質量系である。突風が素早く通り過ぎて行く場合でも、機体が慣性応答するまでには時間がかかる。コンピュータのスピードと航空機などの大きな質量系の慣性応答時間を比較するのは、あたかも時計の時間と地質年代を比べるようなものである」(Sinnett氏)。
ボーイング社の技術者は、詳細については企業秘密としながら、機体の状況を把握して適切に反応させるためにはソフトウエアが重要な役割を果たしているという。
ドリームライナーに搭載されるソフトウエアアルゴリズムは、センサーデータと機体の各部の圧力差をうまく分析して、電子的なフライバイワイヤーシステムによって、機体の揺れ(ピッチ、ロール、ヨー)が発生する前に、突風に対する応答を抑制する。「このシステムは、1秒間にかなり多くの計算を実行する。しかし、機体が慣性応答をする前に計算ループを終了して操舵面にコマンドを送るための時間はある。このため、乗客の飛行機酔いを防止できる」とSinnett氏は語る。