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News

2007年8月

MOTION CONTROL
注目の“アダプトロニクス”による振動制御
進化する防音・防振技術


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アダプトロニクスによる防振技術は多岐にわたり、“対抗振動”を発生させる圧電ベースのアクチュエータなどがある

 ヨーロッパ人が“アダプトロニクス”(http://rbi.ims.ca/5396-522)と呼ぶ技術は、“スマート構造”としても知られている。しかし、その呼び方はともかく、この新たな技術は、騒音や振動の制御方法を変えると期待が大きい。今年4月に開催したハノーバー・メッセ2007(http://rbi.ims.ca/5396-523)では、アダプトロニクスに関連した、研究プロジェクトや欧州ベンチャー企業にスポットライトを当てた大規模な展示があった。
 アダプトロニクスとは、センサー、アクチュエータ、適応制御、機能材料を組み合わせて構造物に本来は無い機能を与えられるように構成する技術手法である。最も一般的なアダプトロニクスの機能には防振がある。しかし、高精度な位置決めや形状を変化させる構造においても、アダプトロニクスを用いた手法が評価されつつある。
 ハノーバー・メッセ2007で展示されたシステムでは、航空機、ロボット、自動車における防振が中心となっていた。これらのシステムは外見上異なるが、ある共通した技術的手法を用いている。つまり、すべてがアクチュエータを使用し、振動構造物の中で“対抗振動”を発生させていた。そして、それらすべてがセンサーとリアルタイム制御システムを採用し、対抗振動の大きさと振動数を決定していた。
 この展示会における例としては、MESEMAプロジェクトのシステムがある。“Magnetoelastic Energy Systems For Even More Electric Aircraft”の略であるMESEMAは、学術研究者と航空宇宙関連企業を協同させ、航空機およびヘリコプター向けに防振システムを開発することを目的としている。MESEMA研究員でドイツのザールラント大学に勤務するChris May氏によると、同プロジェクトの研究は、磁歪および圧電アクチュエータの使用に重点を置いているという。
 防振システムの一部として、これらのアクチュエータは、用途に応じて広い周波数帯(50〜1,000Hz)に対応するよう設計できる。同様に、発生可能な力量には拡張性がある。例えば、展示会においてMay氏は、2〜4Nの力を発生する磁歪アクチュエータをデモした。さらに、同氏によれば、MESEMAでは1,000Nの力を発生可能なモデルを試験しているという。
 また、MESEMAでは、高トルクの電気機械アクチュエータについても研究している。このアクチュエータは、ヘリコプターの回転翼の付け根の角度調整を行える。May氏によると、このアクチュエータは、機能材料と水力学を組み合わせているという。つまり、圧電または磁歪材料を使うことで、油圧弁またはピストンを駆動している。別のMESEMAプロジェクトでは、磁歪装置を使って、航空機構造から振動エネルギーを回収することに取り組んでいる。
 MESEMAの研究は、航空宇宙関連への応用に焦点を合わせているが、将来的に工業界で使われる可能性がある。例えば、May氏の磁歪アクチュエータには、機械構造の振動を減らそうと考えている工作機械メーカーが興味を示している。また、油圧アクチュエータも、同等の力を生み出す従来の油圧回路に比べ小型であり、産業界で幅広く利用される可能性がある。
 また、May氏は、磁歪および圧電による駆動方法が産業界において活躍の場を見いだすだろうと考えている。同氏によれば、「これらの駆動法にはそれぞれ特長がある」。
 圧電アクチュエータは小型化傾向にあるが、磁歪アクチュエータは動作電圧が低い。また、圧電アクチュエータは堅くなる傾向があるが、磁歪モデルは高い変位を提供する。しかし、力と変位の両方を考慮した場合、両者の能力はほぼ同等である。

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MESEMAプロジェクトの中心となるのは、航空機やヘリコプターの防振である。図は、航空機構造上に直接取り付けられた1対のMESEMA製防振アクチュエータ

 展示会で展示された別のアダプトロニクス・プロジェクトとしては、ロボットにおける振動制御があった。ドイツ航空宇宙センター(DLR)が支援するプロジェクトでは、研究者らは産業ロボットにおける振動を減衰する方法を考案した。展示会では、3kgの物体を10Gまで加速可能な3自由度並列ロボットをお披露目した。DLRの複合材料構造及びアダプトロニクス研究所(Institute of Composite Structures and Adaptronics)の研究員であるMichael Rose博士によると、一般的にこのような高加速は不要な振動を生じさせる。
 そのため、DLRでは、圧電パッチ・アクチュエータを3対の炭素繊維製ロッドに取り付けた。このロッドは、ロボットの先端部と3基のリニア・モータを接続している。この先端部の3軸加速度計からの情報と適応制御装置からの信号に対して動作することで、この圧電パッチはひずみを発生させてロッドの振動を相殺する。このアダプトロニクスのシステムは、およそ18dBの減衰と約25〜100Hzまでの周波数帯の目標振動値を実現する。
 この減衰により、並列ロボットでのサイクル・タイムが早くなる可能性がある。Rose氏によると、加速の大きいロボットは、高精度の位置決め作業を行えるようになるまで、振動が停止するのを待たなくてはならないことが多い。その待ち時間はわずかかもしれないが、「ミリ秒であろうと無視できない」とRose氏。アダプトロニクスは、その待ち時間を不要にする。「この振動抑制制御により、ロボットは軌道の終端間近であっても迅速に動作できる」と同氏。
 すべてのアダプトロニクスのプロジェクトが研究プロジェクトというわけではない。独Isys Adaptive Solutions社(http://rbi.ims.ca/5396-524)は、独Fraunhofer研究所から独立した企業であるが、圧電ベースのアクティブ防振システムで市場に参入している。Adaptive Solutions社で主要アカウント・マネジャーを務めるThomas Pfeiffer氏によると、同社では減衰システムを多様なフォーム・ファクタで開発し、約2,000Hzまでの振動数を低減できるという。
 他のベンチャー企業としては、自動車エンジンの騒音用アクティブ減衰システムを考案した独ERAS社や、電気粘性流体をベースにしたアクチュエータや振動減衰システムを開発した独Fludicon社がある。
 アダプトロニクスの詳細については、5月にドイツで開催のAdaptronic Congress(http://rbi.ims.ca/5396-526)のプログラムを参照されたい。
(Joseph Ogando)


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