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News

2007年8月

ENVIRONMENT
REACH対応、情報システムによる化学物質管理が必須に

 2007年6月1日、欧州連合(EU)の化学物質規制「REACH規則」が施行された。国内関連業界の対応を取材する中で、情報システムによる管理の必要性が浮かび上がって来た。

コペルニクス的展開
 REACHでまず対策を求められるのは化学品メーカーである。国内では日本化学工業協会(JCIA)を中心に早期から取り組んで来た。JCIA REACHタスクフォースの庄野文章事務局長代理は「現在国内の化学品メーカーは、予備登録に向けて取扱品の同定、顧客が購入した製品のEU域内への持ち込み量の調査などを行っている」と話す。エチレン/プロピレン系など取扱量の多い物質の共同登録など、メーカー間での協力も進んでいる。さらに「登録コストとEU域内での収益が見合わないと判断すれば、取り扱いを停止するメーカーもあるだろう」(庄野事務局長代理)という。
 REACHでは、化学品メーカーが扱う原材料レベルの「物質(Substanse)」、「調剤(Preparation)」だけでなく、これらの原材料を使って製造された部品レベルの「成型品(Article)」内に含有される化学物質も対象となっている。また登録時には対象の化学物質に関する「用途情報」も必要になる。川上の化学品メーカーから、川中の部品メーカー、川下の完成品メーカーまでサプライチェーン全域に渡る化学物質情報の共有が重要になる。
 しかし部品メーカー、完成品メーカーのREACH対応は遅れている。電気・電子4団体欧州化学品規制WG主査を務める村田製作所市場渉外部の片岡功調査役は「RoHS対応に追われていたこともあるが、電機メーカーなど川中、川下の取り組みは、化学品メーカーからの情報開示が始まる今年から」と説明する。
 ただし水面下では、調達先を集めての説明会や、使用している調剤の成分分析、EU域内関連工場での現地調達品へのREACH対応要求などを行っているもよう。「とにかく電機業界は、REACHはRoHSとまったく異なる概念の規制であることを理解しなければならない。RoHSは完成品メーカーの決めたグリーン調達の流れに合わせれば何とかなったが、REACHは上流からの情報がなければまったく対応できない。天動説と地動説くらい違う」(村田調査役)。

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JAMPが提案する含有化学物質管理のしくみ


情報フォーマットの標準化
 化学物質情報を円滑に共有するには、情報フォーマットに明確な標準が必要になる。アーティクルマネジメント協議会(JAMP)は、川中の成型品を扱う部品メーカーを対象に、含有化学物質情報管理の仕組み作りを行っている。製品含有化学物質の管理ガイドライン、化学物質情報を授受のフォーマットとして、川上/川中間で使う「MSDSplus」、川中/川下間で使う「AIS」の策定が活動の中心だ。
 現在は会員間で検証を進めている段階で、一般向け公開は管理ガイドラインが07年9月、MSDSplusが08年1月、AISが08年6月を予定している。「既存の化学物質管理の仕組みに対して整合性と継続性を持った仕組みを作り、その上でサプライチェーン内での化学物質情報に関する役割と責任を明確化する」(JAMP)。管理ガイドラインについては、グリーン調達調査共通化協議会(JGPSSI)と一本化する方向で調整が進んでいる。
 電機業界のJIG、自動車業界のJAMAシートやIMDSのように、完成品メーカーが部品メーカーに求めていた有害化学物質に関する情報フォーマットとAISとの整合性をどのように取るかなど課題は多く、予備登録の始まる08年6月1日までの時間は短い。

両側からソリューション提案
 数万種にも及ぶREACH対象の化学物質情報の管理には情報システムが必須になる。これに対してソフトウエア業界からは、部品表(BOM)などを扱う設計・製造システムと、部品調達などサプライチェーンを管理する経営システムの両側からREACH対応ソリューションの提案が始まっている。
 NECは5月に、REACH対応を明記した「含有化学物質管理ソリューション」を発表した。従来NECソフトと日本電気ファクトリエンジニアリングが別々に展開していたグリーン調達システムをNECソフトをベースに一本化した上で、「汎用環境データベース」で含有化学物質情報を一元管理する。「実装時に最も重要なのがBOMとの連携。設計BOMと製造BOMを使うかでだけで運用法は異なる。まずは当社のPDM『Obbligato・』のユーザーを中心に提案を進めたい」(NECニューソリューション開発本部環境情報ソリューショングループ外井康宏マネージャー)。基本機能だけの価格は300万円だが、データベース構築、REACH対応なども含めれば2,000〜3,000万円になるという。
 一方、ソニーなどにRosettaNet対応のXMLベース部材調達システムを納入してきたアドスも6月に「製品含有化学物質情報伝達・管理ソリューション」を発表した。XMLデータの収集・変換ツール「Pluxis」とIBMのデータベース「DB2 9」を使って、含有化学物質情報をXMLデータでやり取りする。アドスの伊藤満取締役は「電機メーカー系システムは、自社グループのノウハウのパッケージであり、顧客はそれに合わせなければならない。当社はXMLベースの基礎技術を顧客のシステムに組み合わせるというコンセプト」と違いを強調する。初期導入コストは、中規模以下の部品メーカーを対象に480万円という低額に設定した。
 日立製作所は、環境対応を軸に「Eco&PLMソリューション」を展開しており、グリーン調達システムは国内トップシェアである。日立製作所情報・通信グループ、産業・制御ソリューションセンタの根本弘幸担当部長は「現行のシステムでも膨大な種類のREACHの化学物質管理にも十分対応できる。しかしREACHは、設計、サプライチェーン、購買など情報システム全体に渡って対応する必要がある。高シェアを持つEコマースシステム『TWX-21』も含めたソリューションを、AISフォーマット公開時期までに提案したい」と話す。
(朴 尚洙)


 

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