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2005年01月24日

産総研、新手法で高い誘電特性を持つ有機強誘電体を開発

 産業技術総合研究所(産総研)は、π電子系の酸と塩基の2成分の分子を組み合わせる手法を用い、高い誘電特性を示すチタン酸バリウム・タイプの有機強誘電体を開発した。100を超える高誘電率を持ち、強誘電性ポリマーに比べ極めて小さい電場で強誘電性が実現可能という。有機半導体と組み合わせた有機デバイスにも利用できる。詳細な内容は、英国の科学誌Nature Materials(2005年2月1日号、速報電子版1月23日)に、「Ferroelectricity near room temperature in co-crystals of nonpolar organic molecules」として掲載される。

 強誘電体は、不揮発性メモリーや高誘電率材料といった用途のほか、圧電素子、アクチュエータ、非線形光学材料など、さまざまな応用範囲を持つ。さらに、このような材料としての機能を軽量かつ柔軟な有機材料として実現するうえで、有機強誘電体のニーズは高い。ただし、「有機低分子のみで得られる強誘電体は、無機物やポリマーに比べて例が極めて少数で、特性も劣っており、材料開発はほぼ未開拓に近かった」(産総研)。

 産総研の研究グループは、極性を持たないπ電子系の酸と塩基の2成分の分子を水素結合させるという新手法により、作製した分子化合物が室温付近で強誘電体になることを発見した。同手法について、産総研は「低分子系の有機強誘電体材料を開発する手段の1つとして利用できる」とみる。

 得られた強誘電体は、分極の大きさや誘電率が十分大きいことに加え、分極反転に要する電場は典型的な強誘電性ポリマーに比べ極めて小さい。この強誘電性は、ほぼ極性を持たない分子が相対的に変位して生じる、一種のチタン酸バリウム・タイプの相転移にともなうものであることが明らかになった。

 今後、産総研は、新手法をもとに新しい強誘電体物質の開発を続け、転移温度を高めて室温・常圧下での強誘電性の実現を目指す。同時に、相転移のメカニズムや強誘電性の起源を明らかにすることで、より優れた特性、機能を持つ有機強誘電体の設計指針を確立させる。また、現在の結晶性の試料から薄膜などへの形状制御の可能性を検討し、有機エレクトロニクス材料としての応用に向けた展開を図る。



π 電子系の有機強誘電体結晶の作製と分子配列(緑色の線が水素結合)

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