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2005年05月31日
CCDの約20倍の感度を持つ厚さ1cmの固体撮像板
パイオニア、NHK、浜松ホトニクスは共同で、CCDの約20倍の感度を持つ撮像板「HEED冷陰極HARP撮像板」を開発した。感度を絞った状態で0.3ルクス月明かり程度の明るさがあれば鮮明な映像を得られる高い感度だという。さらに、最低限0.1ルクスの明るさでも鮮明な映像を得られるという。この撮像板は、入射光を電荷に変換し、その電荷を雪崩のように増倍して感度を上げ、夜間でも撮影できる厚さ約1cmのアモルファスセレン(a-Se)の板。消費電力は100〜200mWぐらいで済み、従来の撮像管を使った撮像デバイスの1/5以下の消費電力だという。
この撮像板には、NHKと浜松ホトニクスが共同で開発したHARP(High-gain Avalanche Rushing amorphous Photoconductor)膜と、パイオニアが開発したHEED(High-efficiency Electron Emission Device)冷陰極アレーが使われている。
現状のHARP膜を利用した高感度カメラでは、真空管を使っているため、このHARP膜と真空管からなるHARP撮像管の長さは約10cmとなり、消費電力が大きく、カメラ自体も大きくなってしまって使いにくいという。夜間の撮影する事故や災害の現場では、迅速に対応するため、カメラを小型化し、電源の確保も難しいため、バッテリーで長く駆動できること、特殊な照明なしで撮影できることが重要。このため、消費電力が低い小型の超高感度カメラが必要だった。機動性の面で課題が残されていた。このほど、真空管の代わりにパイオニアが開発したHEED冷陰極アレーを用いることで、カメラのサイズを小さくして、消費電力も1/5に低減し、バッテリーでも長く駆動できる小型な超高感度カメラの実現に目途をつけた。
HARP膜はa-Seを主成分としており、厚みが15μmある。HARP膜の片面にはHEED冷陰極アレーから放射された電子が集まる。HARP膜のこれと反対の面にITO(透明電極)膜を経て、1500Vの電圧をかける。ITO側に光りが入射されるとa-Se中で電子-正孔対が生じる。正孔はHEED冷陰極アレー側に向かって移動する。そのときSe原子に衝突し、また電子-正孔対ができる。生じた正孔は冷陰極側に向かって次々とSe原子にぶつかり、雪崩(アバランシェ)のように電子-正孔対を発生する。ITO側に集まる電子をコンデンサを介して検出する。このように雪崩現象を利用するため、像倍率が高い。初め一つだった正孔が約200倍以上に増倍できるという。
HARP膜厚を厚くすることにより、アバランシェ現象(雪崩現象)が起きる領域が長くなり、像倍率が上がり感度も上がる。また、HEED冷陰極アレーは、パイオニアが1997年に開発したもので、低い駆動電圧で安定的に電子を放出できるのが特長だが、今回新たに半導体プロセスを利用して画素ごとに駆動トランジスタを配し、画素の周辺に作り込んだ制御用回路からの信号により駆動するアクティブ駆動型となっている。
有効撮像領域は12.8×9.6mmで、画素数は50×50μmの画素が水平に256個、垂直に192個並び、約5万画素となっている。HEED型冷陰極の放射電流量は約2μA/画素。
駆動回路を内蔵しているため、カメラの小型化が可能という。同撮像板の開発で、小型で感度の高いカメラの実用化のめどが付き、今後、画素面積を小さくする研究を進めていき、ハンディカメラや車載用暗視カメラ、防犯用監視カメラなどの民生用製品への応用が見込まれる。
さらに、HARP膜がX線に対しても高い感度を示すため、X線像の高感度撮影によるガンの早期発見や心筋梗塞の診断などの医療への応用や、バイオロジーやセンシングなどいろいろな分野での活用が期待されている。
(大村 泰憲)
HEED冷陰極HARP撮像板の外観写真
HEED冷陰極HARP撮像板の構造
真空管を用いた現状の超高感度カメラとHEED冷陰極アレーを用いた
将来の超高感度カメラの大きさの比較
詳 細 :
パイオニア(関連リンク)
NHK(関連リンク)
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