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2005年08月02日
ライナーいらずの球面軸受け
米Cradin Aerospace社は、自動車のサスペンションなどに使われる球面軸受けのボール部品に樹脂を使うことで、従来、ボール保持部の滑り面に固定し、軸受けの潤滑性を確保するのに必要だったライナーが不要になる軸受け「Lufa(ルファ)」を開発した。同ボール部品の素材は、英ビクトレックス社の耐摩耗性および薬品性を持つ熱可塑性の高機能ポリエーテルエーテルケトン樹脂「VICTREX PEEK」である。
球面軸受けは、摺動特性を持つボール部品とボールを保持する外輪部品で構成され、3次元の動きが必要な連結部に使われる。従来の球面軸受けでは、金型を高速回転させ連続的に絞り加工を行うスエージング加工によって製造された金属をボール部品として使っていた。つまり、ボール部分とそれを保持する部分は金属同士だった。金属間の潤滑性を保つため、ボールを保持する外輪部品内部の滑り面にフッ素樹脂を含浸させた繊維(PTFEライナー)を取り付けていた。しかし、ライナー自体のひび割れや剥落が生じたり、水分を吸収した際にフッ素樹脂と繊維が剥がれ、軸受けが動かなくなるような問題もあった。また、スエージング加工されたボール部品の残留応力により、時間がたつにつれ寸法が変わってしまうなどの問題もあった。
このほど開発したLufaは、ボールの原料に自己摺動性に優れたPEEK樹脂を使い、ライナーなしで軸受け内部の摺動性を発揮する。ボール部品と外輪部品の二つの部品だけで構成され、仮に不具合が生じたとしてもボールを簡単に取り換えることができるため、軸受け全体を交換する必要はない。メンテナンスが容易なだけでなく、コスト低減にもつながる。また、成形された同樹脂製ボール部品の寸法安定性は高い。
同球面軸受けは、米国のカーレース「ナスカー」で走るレーシングカーのフロントとリヤのブレーキ配分を調整する装置の部品にも採用されている。機械的にブレーキ装置の油圧配分を調整するという。また、PEEK樹脂は、優れた耐薬品性を持つことから、航空産業においても、解凍液や油圧オイルなどのさまざまな化学溶剤に晒されるような、薬品への耐久性が必要な用途にも使えるという。
なお、PEEK樹脂は金属の代わりとしてギアなどの機構部品に使われている。また、難燃性に優れ、ハロゲンを含まないことから、ワイヤーのコーティングなどに利用できる。
(大村 泰憲)
VICTREX PEEK樹脂製ボール(画像上の左から2番目の物体)
連絡先 :
ビクトレックス・エムシー 市場開発部マネージャー 澤田 克己
TEL:03-5777-8737 FAX:03-5777-8738
Email:
ksawada@victrex.com
参 考 :
ビクトレックス・エムシー(ホームページ)
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