 |
NECエレクトロニクスの、携帯電話機向けマルチコアプロセッサの戦略が明らかになった。現在量産中のTask Parallel方式の「MP211」に続き、SMP(Symmetric Multi Processor)方式の「MPCore」、続いてCFP(Control Flow Parallel)方式の製品を開発していく(図1)。マイクロプロセッサフォーラムジャパンで基調講演を行った、同社モバイルシステム事業部長の山品正勝氏が述べたもの。
 |
|
図1 NECエレのマルチコア技術ロードマップ
|
同氏は、今後高機能なW-CDMA方式の携帯電話機出荷数が世界的に大幅に伸びるという見通しを示したうえで、今後の製品にはマルチコアプロセッサが不可欠と述べた。その理由は、「低消費電力化」「ソフト開発の効率化」の2点。高機能を実現する場合、シングルコアであればCPUの動作速度を上げていくしかない。その場合、高速化による消費電力の増大に加え、高速動作可能なプロセスはリーク電流が非常に大きいという問題がある。マルチコア化によって動作周波数を低下させればこれらの問題が回避できる。
ソフト開発が時間的にも金銭的にも製品開発の大半を占めつつあるのは衆知のとおりである。マルチコアを使用すれば、例えば廉価機の機能を備えたプロセッサに、さまざまなアプリケーションを搭載したプロセッサを加えることで効率的に高機能機を実現できる。
MP211は「並列処理により最適な性能の実現」をコンセプトに開発された。3個のARM926コアに加え、MSE(Mobile Security Engine)にもCPUを搭載している(図2)。低消費化に向けて、動的クロックゲーティングと自動周波数制御(AFM)を採用した。動的クロックゲーティングでは、動作状態によって動的にクロックをオン/オフする。この技術により、消費電流を83mAから44mAまで削減できた実例があるという。AFMでは動作状態をハードウエアがモニターし、PLLの出力を動的に制御する。AFMを最も効率的に使用した場合として、消費電力を半分以下まで削減できた例を示した。
 |
|
図2 MP211のブロック図
|
SMP方式では、タスクの自動スケジューリングが可能になる。MPCoreはARM11個を4個搭載している。設計プロセスは130nmで、動作周波数は300MHz。HSDPA方式での採用を見込んでいる。現在サンプル出荷中(図3)。
CFP方式は、スレッドレベルでの自動並列化が可能である。現在開発中の製品はコアを3個搭載している。(図4)。現在サンプルを使って評価中で、今後の課題として「コスト」、「ソフトウエア開発」を挙げ、ソフトウエア開発における課題の一例としてメモリーデータハザードへの対応例を示した。サンプル提供は「近いうちに実現する」とした。
(鴨川 学)
|