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2005年11月17日
マイクロプロセッサフォーラムジャパンから:
スーパーコンピュータ級の処理能力を民生へ
斉藤光男氏
東芝セミコンダクター社の首席技監 斉藤光男氏は、「第一回 マイクロプロセッサフォーラム ジャパン」の基調講演において、米IBM社、ソニーと共に共同開発した「Cell Broadband Engine」の狙いと今後の戦略について語った。
斉藤氏は、講演の中でブロードバンドを「プロセッサの内部バスよりも広帯域のバンド幅をもつネットワーク」と位置づけた上で、「Cellにより、デジタルホームから分散コンピューティングまで適用できるアーキテクチャの提供をブロードバンド時代に向けて目指す」と述べた。同氏はCellを「スーパーコンピュータをワンチップに収めたもの」と表現し、今後は日常生活における身近な電子機器にもスーパーコンピュータ並みの処理能力を適応していきたい考えだ。
サーバー、コンピュータ分野に強いIBM社、デジタル家電分野に強い東芝、エンターテインメント分野に強いソニー。それぞれ異なる強みを持つ三社の共同開発では、当初は文化の違いにより生じる問題も多々あったという。しかし、「マルチメディアに特化したプロセッサを開発する」という共通の目標を設定した後は、強い協力体制を築き、比較的スムーズに開発が進めることができたと明かした。
通常、ソフトウエアで処理するよりもハードウエアで演算処理する方が処理速度は速いが、Cellにはソフトウエアを使い並列演算することでハードウエア並みの処理速度を実現する狙いがある。「ソフトウエアを駆使するため拡張性やフレキシビリティが高い」としている(同氏)。
Cellは、汎用処理に向いたPowerPCアーキテクチャのCPUコアであるPEE(Power Processor Element)、SIMD型のメディア処理用のプロセッサコアである8個のSPE(synergistic Processor Element)、Cell内部の各ブロックを接続する高速広帯域な内部リンクバスであるエレメント・インターフェース・バス、XDRに対応した2系統のメモリーインターフェース、外部のGPUやチップとの連携をとるIOインターフェース、などで構成される。8個のSPEはキャッシュメモリーを持たず、ローカルストレージを持つ。このためユーザーがデータの流れを把握しておく必要はあるが、動作の予測ができるという利点があるため高速化に向くという。
講演では、CEATEC Japan 2005で発表して注目をあつめた、人の顔を3次元的に認識しリアルタイムに化粧や髪型を合成できる「デジタル鏡」や、MPEG2のビデオ信号を48ストリーム同時に再生する事例をデモで紹介した。
マルチコアプロセッサではソフトウエアの作成が難しくなるのではないかという質問が出たが、これに対して斉藤氏は、「今後ソフトウエアの標準化活動を展開し、開発環境を整えていく」と語った上で、「プログラミングはそれほど大変なものではないと考える」とコメントした。
(伊藤 達哉)
Cell Broadband Engine基本構成
Cell リファレンスソフトウェアの構造
関連ニュース :
2005年10月12日-Electronic Newsから:Mercury社、IBM社の「Cell」をブレードサーバーに採用(EDNより)
2005年10月5日-東芝のCell、準備は完了−ソフト開発環境も整える(EDNより)
2005年8月26日-IBM、ソニー、SCEI、東芝が、次世代プロセッサ「Cell」の仕様を明らかに(EDNより)
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