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2005年12月05日
あいまいさをぬぐい去る、RoHS指令の最新情報
 
TAC(Technical Adaptation Committee)委員会の
メンバー、英国貿易産業省Steven Andrews氏
 RoHS*1)指令をつかさどるTAC(Technical Adaptation Committee)委員会のメンバー、Steven Andrews氏が来日、2005年11月30日東京でリード・ビジネス・インフォメーションが開催した「RoHS指令セミナー、欧州RoHS指令の真実」においてRoHS指令の最新情報を解説した。質疑応答で不明な点が明らかになり、多くの日本企業が誤解していた点を是正した。

RoHS指令の真実

 RoHS指令はEU各国の協議の場であるTACにて制定され、2006年7月1日に発令する。日本では、これが延期されるという希望のこもったうわさがあったが、同氏はこれをぴしゃりと否定した。
 制定の最たる目的は、廃棄、埋め立て後に、地質などの汚染につながる環境負荷を低減することだ。リサイクル/リユースを目的としたWEEEはすでに2005年8月に発令されている。RoHS指令はEU市場へ上市する(put on the market)、電気、電子機器の8つのカテゴリ*2)に適応され、環境負荷物質である重金属4種(鉛、水銀、六価クロム、カドミウム)と、臭素系難燃材2種(PBB:ポリ臭化ビフェニル、PBDE:ポリ臭化ジフェニルエーテル)の合計6つの物質の最大許容量を規制する。Andrews氏によれば、この規制物質が増えることはないという。
 最大許容量は均質材料あたりの質量比で決まる。カドミウムは0.01%で、カドミウムを除く5つの物質は0.1%となっている。カテゴリによっては最大許容量が緩和されるといううわさがあったが、この許容量も変わらないという。
 ただし、2006年7月1日以前に上市した機器の再利用や、修理、アップグレード用の部品は除外されるのに加え、医療用機器や監視及び制御機器の分野も除外される。

除外品の最新動向

 RoHS指令の内、流動的で注意が必要なのがRoHS対応除外項目である。規制された6つの物質を含む製品が代替不可能と認められた際に除外項目に追加される。除外項目に、特定のメーカーの特定の製品があてはまることはない。あくまでも分類、あるいは分野をさす。例えば、CRTのガラス部分は除外項目に当たる。ガラス部分に含まれる鉛は電子銃からの放射線を防ぐという重要な役割を果たし、代替品が今のところ見当たらないからだ。しかし、テレビ受像器は除外項目に該当しない。テレビ受像器が内蔵するプリント基板回路やヨーク、コイルなどはRoHS指令の対象となる。
 除外項目はパッケージ単位でまとめられ、2005年11月現在、第3パッケージと第4パッケージが審議中である。第3パッケージは19件の除外申請を含み、2005年2月に業界関係者によって申請されている。早ければ2006年の1、2月にTACで議決する。19件の中にはスズによるウィスカの発生が問題となっている鉛フリーはんだなども含まれている。ただし、ウィスカ問題を解決したという報告があり、除外項目に含めるかどうかは今後議論される。  第4パッケージは23件の除外申請を含み、2005年10月に業界関係者によって申請された。
 申請後、審議され、決定されるまでの時間は約10ヶ月だという。申請の手順は以下の通りである。
  1. EUの中の総合窓口にあたるDG(Directory General)に除外項目を申請
  2. DGが業界関係者を招集して審議した後、TACに提出
  3. TACが諮問機関に評価を依頼
  4. その結果を受けてTACで審議、議決
 この時点で発行に至らなかった場合は、欧州議会の環境理事会に提出し、審議する。
 「RoHS指令の除外項目については業界関係者と議論しながら是非を決める」(英国貿易産業省Steven Andrews氏)という。
 「RoHS指令はEUの産業を守るためのものだと勘違いする人がいる。しかしそれは違う。世界に公平に与えた条件であり、産業に環境への配慮を促すきっかけである」(同氏)。決定事項などは、途中経過も含め随時Webなどで公表している。
 また、現時点でRoHS適応除外の医療用機器や監視及び制御機器の分野への、除外見直しを検討しているという。ただ、RoHS指令の改定は4年ごとと決まっているため、2010年までは実際に対象機器として追加されることはないようだ。

上市の定義と罰則

 RoHS指令は1997年から検討が開始され、2003年に発令がアナウンスされた。それから2年半たった今でも誤ったうわさや認識不足が多い。セミナーの質疑応答において、うわさ話の真偽や言葉の定義を確認する質問が出るなど、その傾向が如実に現れた。
 例えば上市(Put in the market)という言葉の定義については、様々なセミナーと同様、今回も噴出した。何を持って上市とするか、という質問には「上市は所有権が移った時に成立する」(同)と述べた。では、欧州域外から欧州の日本企業の販売店に輸入する際にはどうなるか。基本的に、欧州域外からの輸入の際には通関時に上市となるという。欧州に工場がある場合は、工場から製品が出荷されて販売店や代理店の手に渡った時点で上市となる。
 RoHS指令に罰則はなく、実際の運用は各国に任されている。英国の場合は、誤ってRoHS未対応の製品が出荷されてもすぐには訴訟につながらない。何段階かの手順を踏み、改善指導を受ける。改善が全く認められない場合には、訴訟される可能性もある。
 RoHS発令の2006年7月まで、あと7ヶ月である。
(川村 祥子)   
注  釈 : *1)【RoHS】
The Restriction of Hazardous Substances
*2)【カテゴリ】
WEEEのカテゴリを元に作成された。大型家庭用電気製品、小型家庭用電気製品、IT及び遠隔通信機器、民生用機器、照明装置、電動工具、おもちゃ、自動販売機
   
参  考 : Europa(ホームページ)
NWML(イギリスのRoHS施行機関)
JBCE(Japan Business Council in Europe)
EICTA(European Industry Association : Information Systems, ICTs, Consumer Electronics)
Orgalime(欧州の機械/電気/電子/金属産業の連盟)
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