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2005年12月06日
残り7カ月を切ったRoHS指令対応、あなたは何をすべきか?
 
 欧州RoHS指令の発効後、施行期限まで残すところあと7カ月となった。2003年2月にはRoHS指令がEU官報で告示された。この具体的なガイドライン提示以来、前後して対応を図ってきた日本の製造メーカーの中でも欧州へ製品を輸出するメーカーや、欧州に製造拠点を持つメーカーの間では、RoHS指令についてのさまざまな憶測や噂が飛び交っているのが現状だ。11月30日、リード・ビジネス・インフォメーション主催にて、欧州委員会の中のTAC(技術適用委員会)メンバーである英国DTI(貿易産業省)のエコデザイン・製品製作部門長のスティーブ・アンドリュース氏らを招聘し、東京・品川プリンスホテルで欧州RoHS指令の現状を探るセミナーが開催された。

誤解されがちなRoHS指令

 RoHSは六つの有害物質の禁止を定める指令であり、最終製品への特定の物質含有量を規制している(表1)。シンプルに表現すると、RoHS指令は最終製品に六つの有害物質を含まないこと。WEEE(廃電気・電子機器)指令は家電製品を廃棄した場合の環境に与える影響を低くすることを要求している。二つの指令はともに話題に上ることが多いが、RoHSはWEEE指令の一部である。表2にWEEEとRoHS指令の対象製品一覧を示す。RoHS指令はそもそも有害物質を含んだ製品を市場に入れないようにするため、最終製品をつくる際に材料に指定された物質を規定以上に含まないことを求めるルールである。「指令そのものはあくまでも守るべきルールのガイダンスであって、法的効力を持つ罰則規定は持たない」とアンドリュース氏は言う。RoHS指令の中には意図的添加という解釈が出てくる。これはたとえ禁止物質であっても、規定量以内であれば、その添加を認めるという考え方である。RoHSは輸入などによって欧州域全体へ入ってくる製品への材料レベルでの規制でしかない。ではその執行は誰の責任においてなされるのだろうか。

除外項目を決めるTAC委員会

 EU加盟国各国の議会である、欧州議会の欧州委員会の中に技術適用委員会が存在する。それがTAC(Technical Adaptation Committee)だ。TACのメンバーであるアンドリュース氏は、「英国では2004年7月にガイダンスを発効した。そのファイナル版を2005年10月に発効したばかりだ。また2005年5月にはよく受ける質問についてFAQ[PDF]をまとめている」と言う。これらの最新情報は英語のみだが、Webサイトから入手することができる。
 RoHSについて知識を得ていくと、必ず適用除外項目という言葉に行き当たる。適用除外項目の一覧については表3を、その決定プロセスについては表4を参照してほしい。最終製品を設計する技術者、あるいは部品メーカーにとって、今後これらの最新情報は欠かせないものになる。その理由は大きく二つある。このRoHSの適用除外項目には現時点でも討議中の項目もあり、今後も4年ごとに見直しを図っていくという。そしてこの欧州RoHS指令の動向は、同様に規制を敷く中国や米国などの他地域の規制や政策決定に大きな影響を及ぼしているからだ。その意味ですべての設計者、製造に関わるすべての人がこの指令の要求するところを知っておくべきだといえる。RoHSに関してのさまざまな最新情報はwww.rohs.gov.ukおよびwww.nwml.gov.uk/から、TACに関しての情報、あるいはDTIからの情報はwww.dti.gov.uk/sustainability/weee/から発信されている。また、在欧日系ビジネス協議会(www.jbce.org/)でも欧州に拠点をもつ日系企業の組織体として活動報告を適時情報発信している。

禁止有害物質は六つのみ

 日本国内では正確な情報の不足や指令の適用除外項目の決定スケジュールがずれ込んだことなどから、当初決められた期限までにきちんとした対応を図ることができるのかという議論に始まり、同時にさまざまな憶測やうわさ話が頻出した。また、一部に米国における環境規制との混同も見受けられた。しかし、今回来日したアンドリュース氏は聴講者からの質問に対して「RoHSの禁止有害物質は六つ以上に増えることはない」ときっぱり断言した。
 EU法の体系では、拘束力の強い順に規制(regulation)、指令(directive)、決定(decision)、勧告・意見(recommendation・opinion)となる。RoHSはこの中で二番目に拘束力の強い指令に当たる。そのため、EU内で国内法への落とし込みが必要になる。そして法の施行はEUの各加盟国に委ねられることになる。しかし残念ながらその対応は、2006年7月時点に間に合わない国も出ると予測されている。
 同氏は続けて、「指令では物質の最大濃度許容値(表1)を定めている。許容値を超えていたからといってすぐに起訴や告発の対象になるということはない。EU域内の国で通関時点で製品試験を実施するかどうかの運用は各国に任されるため把握していない。少なくとも、英国では水際チェックではなく、国内の工場などに入ってからになるはずだ」と付け加えた。

欧州市場向け製品や部品には必須

 RoHS指令に対して、日本の国内大手電機メーカーの対応は早かった。最終製品を組み立てる各セットメーカーは、メイン基板にチップ部品を実装する時に、鉛の入った共晶はんだ(Sn-Pb)を利用していたからだ。そして第一段階として、鉛を含まない、鉛フリーはんだを材料メーカーとともに開発し、早くから実際の製品に適用を進めてきた。次に電機メーカーは、電子部品メーカーに鉛を含まない部品の供給を求めた。部品中の鉛の削減、および含有量の低い製品が次々と開発されてきたのがここ数年の動きである。機械部品や装置メーカーでも、欧州へ輸出し、指令の適用範囲と見なされる製品や部材は個々に対応が進められている。各社、情報の少ない中でそれぞれに対応をすすめ、大手電機メーカーなどは、概ね2004年度末にはRoHS指令への対応完了を発表している。

適用除外はまだ検討段階

 しかし、適用除外項目に関してはまだすべての議論が終わったわけではない。アンドリュース氏によれば、第2次除外項目の申請でカテゴリー8の医療機器デバイスとカテゴリー9の監視機器は適用除外項目として申請中で、第3次除外項目の申請(19件)と第4次除外項目の申請(23件)については、まだ欧州委員会へ提出すべく、法律を纏めている最中だという。第3次除外項目の申請については、「2006年1〜2月には法案ができあがるだろう」(同氏)という。  会場内で聴講者から"対象物質の含有が発覚した場合には、どのような措置が取られるのか"という質問が出たが、「上市後*1)に準拠していないことがわかれば問題であり、当然是正、処置の対象となる。改善されない場合や悪質なケースに対しては、英国内のRoHS施行機関であるNWM*2)の権限により告訴もありうる。しかし通常の場合、そのようなことは起こらないはずだと考えている。もしも、法廷で争議するようなケースが多発した場合は、現在決めている制度そのものに欠陥が多いということだ」としめくくった。
(山下徳里子)

表1 RoHS指令規制対象物質とその最大許容濃度
対象物質 最大許容濃度
カドミウム 0.01wt%
0.1wt%
水銀 0.1wt%
六価クロム 0.1wt%
PBB(ポリ臭素化ビフェニール) 0.1wt%
PBDE(ポリ臭素化ジフェニールエーテル) 0.1wt%


表2 WEEE指令に準拠した対象製品のカテゴリー
(RoHS指令ではカテゴリー8と9が適用除外)
1 大型家庭用電気製品
2 小型家庭用電気製品
3 IT・電気通信機器
4 民生向け機器
5 照明器具
6 電動工具(大型の据付型製造業工具を除く)
7 玩具並びにレジャー、スポーツ器具
8 医療関連機器(すべての移植機器及び汚染機器を除く)
9 監視機器および制御機器
10 自動販売機
※WEEE指令は1〜10カテゴリーすべての項目に2005年8月13日〜適用、 RoHS指令については、カテゴリー8と9が以外は2006年7月1日〜適用。
2006年7月1日までに上市された機器の交換用部品、機器の再利用については適用除外


表3 物質別適用除外項目の一覧(一部)
Pb  
冷陰極管、電子部品および蛍光管のガラスに含まれる鉛
合金成分として鋼材に含まれる0.35%までの鉛、アルミ材に含まれる0.4%までの鉛、銅材の4%までの鉛
高融点はんだ(鉛含有率が85%を超える錫/鉛はんだ合金)
サーバー、ストレージおよびストレージアレイシステムのはんだ(2010年まで)
スイッチ、シグナル、電送用ネットワーク、インフラ装置および通信管理ネットワークの
はんだ
ピエゾエレクトロニクスデバイスなどの電子セラミック部品に含まれる鉛
Hg  
ランプ1本当たり5mgを超えない範囲の小型蛍光灯に含まれる水銀
玩具並びにレジャー、スポーツ器具
特別な目的用の直管蛍光灯に含まれる水銀
本付属書に特に定められていないその他のランプに含まれる水銀
Cd  
指令76/769/EECの改正指令91/338/EECに基づき禁止された用途を除く
カドミウム表面処理
Cr6+  
吸収型冷蔵庫中のカーボン・スチール冷却システムの防錆用としての六価クロム


表4 適用除外項目の決定プロセス:決定までに約10カ月かかる
1 禁止6物質を代替物質による問題解決ができなかった製品を製造するメーカーや業界団体が、EUの総合窓口となるDG(Directory General)Committeeに適用除外を申請する
2 業界関係者による議論をまとめてTACに提出
3 TACは集められた要望を第三者諮問機関(コンサルタント)に評価を依頼する
4 評価結果を受け提案をつくり、TACで審議後、議決に至る
(提案に問題がなければここで適用除外が決まる)
5 TACで議決しなかった場合、欧州議会の環境理事会にて議論される
※DecaBDEは、TACで議決せず環境理事会でも議論され、最終的にRoHS適用除外が決定した例(2005年10月のEU官報による)


欧州委員会、TACメンバーである
英国DTI(貿易産業省)のエコデザイン 製品製作部門長のスティーブ・アンドリュース氏
  
注  釈 : *1)【Put on the Market】(上市)の定義
指令上は2006年7月1日以降、欧州市場に上市される機器に六つの有害指定物質が含まれない、されている。ここでいう"上市"とは、欧州域外から製品、部品が輸入される場合は、通関時点を指し、欧州域内に製造拠点を持つ場合には、域内の工場から出荷され、販売店を含む別拠点に入荷した時点を指す。法的に所有権が欧州内に移った時点を上市とみなす。
*2)【NWML】(National Weights and Measures Laboratory) 英国内のRoHS施行機関 www.nwml.gov.uk/
   
参  考 : EUCommissionによるFAQ(英語)[PDF]
RoHSに関する最新情報(英語)
DTIのWebサイト上でWEEEとRoHSに関する最新情報はこちらから
RoHSに関してのさまざま最新情報(英語)は(ホームページ1) (ホームページ2)
EICTA(欧州情報・通信・民生電子技術産業協会)
在欧日系ビジネス協議会(英語)
   
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