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2005年12月06日
ロボット開発の負担を減らす開発プラットホーム[動画付き]
 
 スピーシーズは、設計したロボットの実機を作る前に、3次元設計ツール「SolidWorks」と機構解析ツール「COSMOSMotion」を利用し、その動きをシミュレーションで検証できるロボットの開発プラットホーム「リアルモーションシステム」を開発した。このシステムを用いて2足歩行ロボット「SPC-003」(図1)も開発した。研究や教育の用途に向ける。リアルモーションシステムとロボットを活用することで、ロボット開発における技術者の負担を減らすことができるという。

 SPC-003を含めたリアルモーションシステム「SPC-RM1(SPC-003対応キット)」の税込み価格は150万円で、年間20台の販売を予定している。SPC-003単体の税込み価格は78万円で、年間120台の販売を予定している。受注は2005年12月1日から始めており、2005年12月25日より出荷を行う。

 2足歩行ロボットは複数の要素技術で構成されている。筋肉の役割を持つサーボ、骨格となるフレーム、神経にあたるサーボ制御やセンサー、頭脳となるプロセッサユニットやOS、動作系の歩行ソフトウエア、通信機能などすべてを開発する必要がある。このためエンジニアにはかなりの負担がかかっている。「この技術的な負担を減らすため、これまでOSを搭載したロボットとその動きをプログラムするためのソフトウエアをロボットの開発プラットホームとして提供してきた。今回は、ハードウエア(ロボット)の設計ができる環境も含めて提供できればと考えている」とスピーシーズのCEO、春日 知昭氏は言う。

 リアルモーションシステムは、ロボットの歩行などを制御するプログラムを開発するためのロボットソフトウエア開発環境(別売)、ロボットモーション(動き)作成環境、ロボットの実機「SPC-003」とその3次元設計データ、ロボットを3次元で設計し機構解析により検証するための環境(別売)から成る(図2)。SPC-003のOSは、UNIX互換OSのNetBSDをベースにしているため、データの変換が簡単でSolidWorks とCOSMOSMotionとのデータのやりとりなどをスムーズに行えるという。

 スピーシーズは、PC上でロボットのモーションを作るツール「モーションエディタ」をすでに開発していたが、これまでモーションエディタで作ったモーションデータを無線LANでとばして実機を動かすことしかできなかった。

 リアルモーションシステムでは、モーションデータをSolidWorksとCOSMOSMotionで開き、そのモーションを3次元モデルでシミュレーションできるようになった(図3)。「SolidWorks とCOSMOSMotionで地面に対するロボットの動きをシミュレーションできるため、実際のロボットの挙動を実機なしで検証できる」(春日氏)。PC上で実際のロボットがバランスを崩して転倒してしまうのか、ロボットの重心はどこにあるのか、各部位にどれくらいトルクがかかっているのかなどの動作検証や機構解析を行えるようになった(図4、シミュレーション動画:片足を上げる<転倒>片足を上げる<安定> ウォーキングダンスモーション)。また、実機の動作とシミュレーションの動作をリアルタイムで比較、検討することもできるようになった。

 従来、ロボットの形状を変更した場合、板金でアルミのフレームを作り、ロボットを実際に組み上げてみないとどのように動くのか分からなかったという。リアルモーションシステムを使うことで、例えば、SPC-003の3次元設計データを元に手の長さを変えるなどの形状変更をした場合、その3次元モデルを元にCOSMOSMotionでシミュレーションできる(図5)。このため、比較的簡単に新規設計などを行うことができる。

表現力UP

 SPC-003は、2004年12月に発売し、大学、研究機関、企業などに納入実績を持つ「SPC-001」を改良したもの。3次元CADやシミュレーションを用いて寸法を追い込み、SPC-001に比べ前後の厚みを約30mm(バッテリ1個分)減らし、重心がロボットの中央になるようにした。このため動きがなめらかになったという。また、新たに、関節を(サーボを)3個所増やし、手、腕、腰の関節を改良して、関節可動部の自由度を26自由度とし、表現力をアップさせた。ひじが回転し、腰が前後に曲がり、手で物がつかめるようになった(実機の動画:2台でダンスする手で物をつかむ )。サーボはロボット専用の「RS601CRとRS401CR」を採用している。

 ロボットの頭部には、2軸の関節(水平、垂直動作)を持ち、35万画素CMOSカラーカメラ、高輝度LED、マイク、スピーカーを搭載している。

 同ロボットの背中にはプロセッサユニット「RPU-100」が取り付けられており、CPUにはPowerPC(400MHz)を採用し、高度な演算処理と通信処理を同時に行える。また、サーボ制御、センサー入力、ビデオ入力、オーディオ入出力、CF(CompactFlash)カードスロットなど、汎用性のあるインターフェースを多く備えている。特に、多数のサーボと高速でデータ転送するために、双葉電子工業が独自に開発したFPGA回路によるRS485インターフェースを搭載している。また、IEEE802.11bに準拠した無線LANカードを標準装備しており、歩行制御エンジンやモーション再生エンジン、演算ルーチンなども搭載した。1軸ジャイロセンサー、3軸Gセンサー1セットなども搭載しており、ロボットを手で軽く押すと、センサーが働き、その押す力に逆らって耐えるようにロボットを制御できる。あまり強く押すと倒れてしまうが、ある程度の力なら押された方向に自動で素早く歩き出し、倒れないようにする(センサーを使った安定化のデモ)

 一般的な2足歩行ロボットでは、サーボごとに信号線がつながっており、入力信号に対しサーボが個々に動くようになっている。これでは、ロボットの状態などに合わせて微妙にフィードバックをかけて制御することができない。同社のロボットでは、一本の信号線がすべてのサーボにつながっており、ジャイロセンサーなどからの入力信号に対して微妙に補正をかけながらサーボを制御できる。このため、押されても倒れない制御ができるようになっているという。ユーザーが作るプログラム次第で、ロボットが物体を感知して自分でそれを手でつかむようにすることもできるという。

 スピーシーズの今後短期の開発目標は、COSMOSMotionとの連携を強化し、手でロボットを動かしたときの動作をPC上の3次元モデルにフィードバックしたり、シミュレーションデータからロボットの動きをコントロールできるようにすることだという。「ニーズがあればだが、半年くらいで対応できるだろう」(春日氏)。また、中長期の開発目標は、ハードウエアとソフトウエアシミュレーションを高度に連携させることだ。センサーなどを使ったロボットの動作をシミュレーションで開発、確認できるようにしたり、「モーション作成時に自動で重心を補正する機能を持たせ、経験のあまりない人でもロボットが倒れないようなモーションを作れるようにすることだ」と春日氏は言う。
(大村 泰憲)

図1 2足歩行ロボット「SPC-003」

図2 「リアルモーションシステム」の全体構成図

図3 ロボットの動きをPC上でシミュレーション

図4 COSMOSMotionによる機構解析

図5 形状変更後のロボットの動作をPC上で確認
  
連絡先 : スピーシーズ 担当:吉田 ゆかり
TEL:03-5784-0757 FAX:03-5784-0758
info-sp@speecys.com

ソリッドワークス・ジャパン マーケティング部課長 岩本 康栄
TEL:03-5447-8084 FAX:03-5447-8088
iwamoto@solidworks.co.jp

コスモスジャパン テクニカルマーケティングディレクター 大澤 美保
TEL:03-5212-2840 FAX:03-5212-2841
miho@cosmosj.com
   
参  考 : スピーシーズ(プレスリリース)
ソリッドワークス・ジャパン(プレスリリース)
コスモスジャパン(ホームページ)
   
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