2006年02月14日
燃料漏れを防ぎ、燃費を改善するカップリング
素早く脱着できるカップリングを用いて、レース用バイクの優れた性能を確保する。
バイクレースの競技者は、決勝戦で先頭をキープするのに欠点のないバイクを求めている。速度や性能、燃料効率のバランスのよいバイクを見つけることが、レースの結果を左右する。しかし、理想的なバイクを探すことは、安全性に関して妥協せず、整備士にとってメンテナンスや点検が簡単なバイクを探し出すことを意味している。
競技者やバイク愛好家の両方から求められる安全性や性能、メンテナンス性の要求を満たすため、多くのメーカーは設計要素のうち最も小さなところの開発に重点的に取り組む。
イタリアのバレーゼ(Varese)にあるMV Agusta社は、ハイエンドなバイクを製造している。同社が欠点のないバイクを作るのに成功しているのは、内部に遮断弁(シャットオフバルブ)を取り付けた液漏れのない急速着脱式(クイックディスコネクト)のカップリングを利用しているからだ。
このカップリングは、アメリカのミネソタ州、セントポールに拠点を置くColder Products社が製造している。レースで優位に立とうとしている競技者は、同社のカップリングを利用して、エンジン性能や燃料効率を高めることができる。また、整備士にとっても利点がある。この信頼性の高いカップリングは着脱時間を短くし、レース場でエンジンを整備する時など、簡単に燃料タンクを取り外せるようにする。さらに、従来型のカップリングと異なり、同社のカップリングの内部には遮断弁があるため、燃料タンクへ戻ろうとするガソリンの流れを抑制し、燃料漏れをなくす。
優れた特性の評判
MV Agusta社の専門的な技能や芸術性に関する長年の評判は、顧客の焦点や、バイクの所有者が最も良い体験を得られることを保証するという方針を反映している。この方針に対する取り組みは、サンマリノ共和国内のCagiva Research Center(CRC)にある同社の技術の中心地から始まる。CRCの設計技術者は、Colder社のクイックディスコネクト・カップリングなどの最高品質の構成部品を使った「CAGIVA」や「Husqvarna」などの有名なブランドのバイクの試作品(プロトタイプ)を開発している。国際舞台で活躍するバイクにとって、レースの結果が何よりの証拠となる。同社の設立以来、75を超える世界タイトルと270回グランプリレースで勝利してきたが、これはMV Agusta社のバイクによるところが大きい。
「我々は、イタリアのスタイルや美学への実践的な取り組みでよく知られている。細部への配慮や、最も良い構成部品を外部から調達することにより、競合他社と差別化している。我々の顧客は、プロの競技者からアマチュアのスリルを求める人々にまで及ぶが、彼らは皆、高性能のバイクに対する情熱を共有し合っている」とMV Agusta社の広報担当者、Daniele Torresan氏は言う。
改善された燃料効率、耐久力、脱着のしやすさ
MV Agusta社は、数を限定した同社の「F4 Series Oroモデル」のために、Colder社のクイックディスコネクト・カップリングを選んだ。同社の研究開発部門は、燃料供給装置の用途において、Colder社の耐久力があり、液漏れのないカップリングに関する評判を聞き、F4ライン用のバイクにこれらの利点を応用する方法を探していた。
「当時、頻繁に起こるバイクの過度の燃料漏れという問題に対しての解決策を探していた」とTorresan氏は言う。「MV Agusta社のF4 Series Oroは、多くの人からバイク界の“ロールスロイス”と見なされている。このF4 Series Oroは、Colder社のクイックディスコネクト・カップリングをその試作の段階で組み込んだ最初のモデルだった。その結果、燃料漏れの心配がなくなり、燃料効率は40%増加した。この成功により、我々はColder社のカップリングをさらにMV Augusta Brutaleなどのモデルにも採用し続けている」(Torresan氏)。
従来型の燃料パイプでは、一般的に留め金を用いて、タンク側と噴射側のホースをつないでいる。しかし、このような燃料パイプのラインは、温度や圧力の変動によって、留め金具による摩耗および裂け目が生じてしまう。ホースが破損し、交換する場合、そのパイプのラインを分離する時にホース中の液が流出し、危険である。
Colder社のクイックディスコネクト・カップリングには、双方向の自動遮断弁が内蔵されており、整備中の液漏れや空気の侵入を防ぎ、燃料パイプ中をガソリンだけに保つことができる。遮断弁がタンク側とエンジン側の流量、圧力、燃料保持力を維持するのを助ける。パイプの流れの中に空気が入るとエンジンシステムにガソリンを再び充てんしなくてはならないため、自動遮断弁は重要な役目を果たしている。Viton(バイトン)フッ素ゴムでできたO-リングが内蔵されており、液漏れ防止効果を高め、また、このカップリングの燃料に対する耐性も高めている。
さらに、クイックディスコネクト・カップリングは、使い勝手が良く、信頼性の高いパイプ連結を可能にする。レース場で、整備士がエンジンを点検する場合、このカップリングの親指ラッチを押すことで、連結している燃料パイプを素早く分離し、ガソリンタンクを取り外すことができる。点検後、同カップリングは、カップリングボディ部分にインサート部分を「カチッ」と音がするまで、押し込むだけで再び連結できる。この音により、確実に接続したかどうかを確認できる。
「故障の際にロスする時間はレースの結果に影響を及ぼすだけではなく、安全性をも危うくする。Colder社のクイックディスコネクト・カップリングを使うことで、比較的短時間で燃料エンジンを点検できるようになった。これまで、技術者はガソリンタンクを取り外すのに面倒な工具を使わなくてはならず、このエンジンの点検に取りかかるまで、4〜5倍の時間がかかっていた」とTorresan氏は言う。
素材に対する要件とその選択
カップリングの素材選定はまた、この燃料パイプシステムの性能において重要な要素だ。選択肢としてプラスチック製と金属製の両方のカップリングがあるが、カップリングの素材を選ぶ時に考慮すべき三つの重要な要素がある。これらは、コスト、重量、そして、燃料供給装置(燃料系統)におけるカップリングの設置場所である。
最も費用効果があり、燃費の良い選択肢は、プラスチック製のカップリングだ。また、プラスチック製カップリングは、重量が軽いため、レース用のバイクに適している。金属製のカップリングは、亜鉛や真ちゅう(黄銅)で作られており、プラスチック製カップリングよりも重量は重いが、高温、高圧に対する耐久性と抵抗力が高い。カップリングの設置場所もまた、重要である。カップリングにかかる荷重などの負荷により、その用途に必要な素材の強度が決まるからだ。
製品設計時にカップリングの利用を考慮する場合、そのデザインや品質、アフターサービスや点検などのサービス、コストのバランスが取れるように選択しなくてはならない。これらの面から見て、プラスチック製クイックディスコネクト・カップリングの利用は、MV Agusta社とその顧客にとって全体的に良い結果をもたらしている。
「世界選手権で競い合う場合、ガソリン漏れの危険など冒したくはない」とTorresan氏は言う。「我々のバイクにColder社のクイックディスコネクト・カップリングを採用することで、できるだけ良い環境でバイクに乗っているという大きな安心感を競技者に与えている。その上、現在、我々のバイクは液漏れのない、燃費の良いものと見なされている。このカップリングの利用は、結果的に価値のある投資で、将来的にさらなるモデルにも採用するだろう」(同氏)。
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参 考 :
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