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米Adobe Systems社は、2月17日から3次元CADソフトを対象にした3次元データの変換と閲覧、加工ができるビューワ製品「Adobe Acrobat 3D」の販売を開始する。同社が今回製造業向けに販売を始めるAcrobat 3Dは、CADフォーマットの3次元モデルをPDFファイルに変換し、PDF文書やMicrosoftのOffice文書などにも埋め込むことができるツール。
Acrobat 3Dを利用すれば、主要CADフォーマットの3次元モデルを変換させ、PDF形式のファイルとして利用できるほか、一度WordやExcel、PowerPointに取り込んだ3次元データを簡単にPDF形式に変換できる。
CADベンダー各社も自社製品のラインナップにさまざまな機能を持つビューワ製品を組み込んできている。それだけではなく、独自の編集機能を持つビューワ製品の販売も後を絶たない。では、実際に製品を使用するユーザー側の利便性はどのようなものだろうか。
課題は3次元データの軽量化
Acrobat 3Dの機能を利用すれば、他のCADビューワやCADソフトがなくても、製品開発プロジェクトに関わるメンバーの間で3次元データをPDF形式で簡単に共有できるようになる。そして無償配布のAcrobat Reader 7.0のレビュー機能を利用して、チームメンバー間で閲覧し、コメントを付けることもできる。Acrobat 3Dで変換したデータなら、他のビューワやCADライセンスを持っているかどうかに関わらず、Acrobat Readerで閲覧できる。つまり、相手の環境を意識せずに既存のメール環境で3次元データをやり取りできるようになる。以前の紙ベースや2次元キャプチャを利用したやり取りで起きていたようなミスを防ぐ有効な手段になりうるだけでなく、コストダウンも可能だ。
CADソフトそのもののライセンスがなくても、3次元データの閲覧や編集ができる製品はすでに多数、販売されている。Acrobat 3Dは、3次元オブジェクトの断面図や、組み立て、分解手順などのアニメーションの作成、PDF文書を作成できる点をメリットとして打ち出している。以前から、設計中あるいは、すでに量産ラインにのった製品の3次元CADデータを、製造工程で利用する作業手順書に加工したり、製品出荷時に同梱する製品マニュアルに加工、活用する動きはあった。しかし、実際に大容量の3次元データをどう加工、流用するかという点で、これまで課題が大きすぎた感もある。Acrobat 3DにはToolkitというアプリケーションが付属している。独立して動作するToolkitでポリゴン数を減らしたり、アニメーションを作成するなど3次元素材の編集、加工が可能だ。
3次元CADデータはそのアセンブリ数にもよるが、数十GBの巨大ファイルになることも珍しくない。環境によってはファイルを開いたり、設計変更による上書きだけでもかなり時間がかかるような代物だ。「ビューワ製品開発のテーマ=データの軽量化」なのである。データを軽量化しても3次元は崩したくない。PDFがその力量を発揮できる場はここだ。
ビューワ製品を利用する企業ごとに、その用途が大きく変わるわけではない。たとえば、富士通のSolidMX Viewerを利用するメリットは、構想設計の段階で既存の2次元CAD図面や3次元モデルの流用が容易になる点。次にはやはり他部門との情報共有だ。一つの製品の製造には、社内社外問わず、大勢のスタッフが関わる。量産へ流す最終段階で、設計変更が起きた場合、新しい設計図面を確認するために、時間を費すわけにはいかない。こうしたツールが普及してくれば、CAD環境の差異などで、ファイルが開けないという事態は、致命的な時間のロスだと考えられるようになる可能性も高い。
AcrobatReaderの普及が強み
Acrobat 3Dの最大の強みは、すでに広範に普及しており、無償ダウンロードが可能なAcrobatReaderを利用して、3次元データにコメントを付けて、送信元へ返信できることだ。つまり、データを確認するだけなら、最新のAcrobatReaderさえダウンロード、インストールすれば、追加投資は必要ない。これは導入検討にあたり非常に有利である。
設計からみて、後工程の製造、品質管理、購買部門などでも、設計途中のデータを活用できるようになれば、そのメリットは大きい。具体的には、これまで後工程でなければ発見できなかった問題が早期に発見され、開発者にフィードバックされれば、製造に関わる部門全体でのコストダウン、ひいてはエンドユーザーに対しての納期の短縮にもつなげられる。
求められるセキュリティ技術
Acrobat 3Dの機能と同社のセキュリティサーバー技術を組み合わせれば、設計図面の流出を防がなければならないメーカーの悩みにも応えられる。「PDF文書という形態を利用することそのものがセキュリティを重視する理由でもある」(同社)という。
製造メーカーが同社のセキュリティーポリシーサーバーを導入し、今回のAcrobat 3Dを利用した場合には、一般的なメール環境を利用して添付送信した3次元データにも閲覧期限を付与できる。これはソフト自体の機能ではなく、ファイルを開くときにセキュリティサーバーの認証を取る、という仕組みによるものである。
Adobe Acrobat 3D 日本語版はWindows版のみの販売で、135,870円。Acrobat 7.0 Professional Windows版を持つユーザーのアップグレード版は74,445円、Acrobat 6.0を持つユーザーのアップグレード版は95,445円となる。
(山下徳里子)
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3次元モデルの断面図:回転させたり、選択した部分の内部構造を見ることもできる
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従来のやり取りに比べミスは少なく安全性が高い:詳細部分の確認や、直接コメントを付けて修正依頼が可能
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PDF変換後Wordに取り込める:PDF変換後のデータはMicrosoft系のアプリケーションと親和性が高い。 そのため誰でも比較的容易に組立手順書やビジュアル感の高いマニュアルを作成できる
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対応CADフォーマット一覧
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