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2006年02月16日
モバイルTVで賑わう3GSM World Congress 2006
 
 2006年2月13日から2月16日まで、スペインのバルセロナで開かれている、最新の携帯電話技術・サービスの総合展示会・フォーラムである「3GSM World Congress 2006」において、携帯テレビの展示が目白押しだ。欧州・米国のデジタルテレビ放送DVB-H方式を受信する携帯電話機が韓国のSamsung Electronics社とLG社、フィンランドのNokia社をはじめとするさまざまな企業からデモンストレーションされた。携帯電話機メーカーだけではなく、ネットワーク機器メーカー、半導体メーカーなど、携帯電話機そのものではない、モバイルTVのソリューションを提供する企業も多かった。

 デジタルテレビは、受信できれば全くちらつきのない画面を見ることができため、モバイルならではの応用だとして世界中で注目されている。もともとデジタルテレビは、デジタル特有の誤り訂正機能を付け加えられるため、画面のちらつきがない、という特長がある。このため、アンテナの向きを最適方向に固定している家庭の据え置き型テレビでは、地上デジタルテレビのメリットはさほど大きくない。日本に先駆けて英国で始まった地上デジタルテレビ放送は、英国でもいまだに普及に至っていない。しかし、携帯テレビではいろいろな方向に向けても画面がちらつかないというメリットを最大限に得ることができる。ただし、アンテナの向きによっては、電波を共振増幅できない場合があり、全く受信できない状態が発生することもある。つまり、全く見られないか、きれいに見られるかのいずれか一方しかない。

   韓国Samsung社はデジタルテレビ規格であるDVB-H(digital video broadcast-handheld)方式およびDMB(digital media broadcasting)方式の受信デモを行った。DVB-H方式は、IPデータキャスト・プロトコルを使い、先端の誤り訂正機能を持ち、多数のチャンネルを放送するための広い帯域を持つ。IPデータキャスト・プロトコルはDVB-H方式に向けた新しいプロトコルで、モバイルネットワークあるいはモバイル放送いずれにも対応できるという特長がある。
 DMB方式は既存のインフラを使えるというメリットがある。Samsung社は、韓国と中国に向けていち早くDMB方式の電話を出しているという。DMB方式には地上波のT-DMB方式と、衛星放送のS-DMB方式の二つの電話機モデルをSamsung社は出展している。どの方式が主流になるかまだ予断を許さない状況の中で、どの方式でも対応できるようにSamsung社は開発をリードしているといえよう。Samsung社は市場に最初に出したことを強調しているが、まだ韓国市場に限られている模様だ。
 Nokia社はDVB-H方式の携帯電話モデルを展示したが、今年の中頃に市場に出すことを計画している。

 Philips社は、第二世代のモバイルテレビのフロントエンドチップ「BGT215」をこの展示会で発表した。DVB-H方式を使うこの製品は、以前発表した15mm×26mmのチップに比べて1/6と小さく、チップ面積は7×7mmしかない。そのため携帯機器に集積しやすい。このチップは、チューナとチャンネル復調機能を集積しているのに加え、将来の規格のアップグレードに備え、プログラム可能な回路も集積している。欧州およびアジア市場に向けて開発した。2006年3月から世界の大手携帯電話機および携帯テレビメーカーに限定してサンプルを出荷する計画だ。
 同社の一部門であるPhilips Software社ではXscaleアプリケーションプロセッサに組み込むミドルウエアとAPIを開発しており「LifeVibes」というブランド名で携帯電話機メーカーに売り込みを開始した。IPストリーム上のセキュリティを上げるRTSP (real time secure protocol)の開発をはじめ、画像のレンダリングや正しくチャンネルを検出する機能、JAVA APIなども開発している。さらに、衛星利用のデジタルテレビはフレーム数が10~12枚/秒しかないため、フレーム間補間により24枚/秒の自然画を実現している。  NECはこのPhilips社の前バージョンのチップをフロントエンドに使い、ARM926コアを3個搭載したマルチコアプロセッサをバックエンドに使い、モバイルテレビのデモを行った。さらに、ARM11コアを4個使い250MHzクロックで対称的な動作を行わせたマルチコアプロセッサによる次世代携帯テレビのデモも行った。すでに欧州企業から引き合いが来ているという。
 欧州での携帯テレビの試験放送は、サッカーのワールドカップが開催される頃に正式に採用されそうな動きだといわれている。 (津田 建二)

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