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2006年04月06日
ユーザーの声を積極的に採り入れ機能強化したAutoCADシリーズ
 
 米Autodesk社は、3月2日にAutoCAD 2007シリーズの販売開始について発表した。同社は今回、2次元CADツールの最新バージョンであるAutoCAD Mechanical 2007、電気制御設計者向けのAutoCAD Electrical 2007の新製品を発表、合わせて3月24日には3次元CAD製品の新バージョン、AutoCAD Inventor11を発表している。Inventorシリーズの出荷は4月上旬の予定。Inventor11はフルパッケージのInventor Professinalのほかに、構造解析とダイナミックシミュレーション機能を備えた解析用パッケージと、ケーブル&ハーネス、チューブ&パイプ、IDFインポート機能の配線・配管設計用パッケージの3種類を用意している。

ユーザー要望に応え機能を充実

 Inventor11に盛り込まれた新機能で注目度の高いものは、大規模アセンブリの性能改善、さらに前バージョンからの課題改善点でもあるモデリング機能とサーフェス機能の拡張だ。ユーザーが求める機能の改善要望は大きく三つある。日常使用するCADに製品ライン全体を設計、検証できるパフォーマンスが欲しいという声。CAD上で製品の品質をつくりこみ、製品の市場投入までの時間を短くし、試作回数を減らしたい。そして2次元設計図面の資産を3次元設計プロセスへスムーズに移行したいというものである。こうした声が具体的に機能改良につなげられた点をいくつかあげてみる。

 新規の開発案件と異なり、流用の多い型番違いや後継機種の設計には十分な時間が与えられないこともある。一つのアセンブリに関連した製品を短時間で設計できる機能が、アセンブリコンフィギレーションである。図面や部品表(BOM)とデータ管理システムとの連携と、自動キャプチャーモード、テーブル駆動アセンブリ機能を充実させることで、より短時間での流用設計を可能にしている。それぞれの細かな仕様をBOMや図面と連動させ、図1のように、表でもコントロールできることが特長だ。

 日本国内のユーザーの具体的な要望が、新機能として実現されたものの一つが自動リミットだ。人はどうしてもミスを犯すものである。しかし設計ミスは防がなければならない。人為ミスから主要な設計条件を守る機能として、この自動リミット機能が付加された。開閉機構や上下するアームなどの設計時に長さや距離、角度、直径、ループ長さ、面積、体積、質量を監視する。あらかじめ上限と下限の値を定義しておき、変更に対する値を監視し、設計変更などによりリミット値を超えた場合に警告を出す仕組み(図2)。

 AutoCAD Electrical 2007は、数ある電気制御設計ツールの中でも、すでに広く浸透したDWG*1)ファイルフォーマットに対応していることや、AutoCAD Mechanicalとの高い連携性など、設計データの再利用を考えるユーザーの利便性が第一に考えられている。今回盛り込まれた新機能は、コネクター間の配線図面をすばやく作成できるようにしたもの。これは、米国の設計現場と国内の設計現場の慣習の違いによるものだが、図3中の右部分のように接点構成(クロスリファレンス)情報の表作成に対応している。これも、日本のユーザーの要望に応えて付加された新機能の一つだという。また、設計変更による設計ミスをなくすために、リアルタイムのエラーチェック機能を採り入れた。必要な場合に問題解決法を示唆する場合や、重複発生時にも、メールによる自動通知が行われる。

膨大なCAD図面の管理を軽減

 CADユーザーの次なる課題として、設計データの再利用に注目が集まっている。社内にデータ管理システムを構築しておくことで、図面流用にかかる手間と時間を短縮すれば、設計時間だけでなく、データを探すための時間も短くなり、コアとなる設計業務そのものへ集中できるようにする。
 具体的な課題としてあげられるのは、設計データの再利用や作業中の設計データ管理、設計変更管理、BOMの管理とERPとの統合などである。これらを実現してくれるのが、Autodesk Productstream5とAutodesk Vault5などのデータ管理製品群だ。Productstreamは、エンジニアリング部門から他部門に設計情報を効率よく伝達するため、設計変更やBOM、編集プロセスを管理するアプリケーション。
 一方で、Vaultは設計作業中のデータや関連文書を一元管理するデータ管理貯蔵庫である。Vaultの機能は各CAD製品に前バージョン時から組み込まれている。さらに、今バージョンのAutodesk Vault5では「ファイルを開く」「配置」コマンドから、Vault内を検索できるようにした。これまではファイルの属性情報しか検索できなかったが、今回からはAutoCADとInventorファイルの中身、さらに図面中のテキスト情報も検索対象とした。データ管理システム内の設計データをすばやく検索して既存の設計情報を見つけて、再利用できるように、機能改良を加えている。コネクターやワイヤーの型番名称から特定のCAD図面を検索することも可能だという。

DWG/DWFをめぐる動き

 Autodesk社は、2005年12月にDWGデータの最新ビューワとコンバーターを公開している。同社の調査によれば85%のAutoCADユーザーは設計データの共有や交換にDWGファイルを利用しているという。DWGフォーマットは、AutoCADのネイティブのファイル形式で、DWF*2)は図面などの設計情報を、設計者とプロジェクトチーム間で共有させるためのファイル形式で、Webソースにも対応するフォーマット。
 DWFフォーマットの最大の特長は、マルチレイヤー圧縮技術にある。ネイティブCADファイルの詳細情報を維持したまま、元のAutoCADファイルの1/20のサイズ、PDFファイルの1/10サイズまで圧縮できることもある。作成の手順は非常に簡易でAutoCAD上からなら1クリックでDWFファイルを作成できる。その上、データ容量は電子メールに添付できるレベルに軽量化でき、データの計測や印刷、赤入れも容易。DWFWriterおよびDWG TrueView、DWG TrueConvertは同社のWebサイトから無償でダウンロードできる。
(山下徳里子)

図1:流用設計が短時間で可能になる。一つのアセンブリに関連するファミリー製品、型番違いなどを設計する時に便利なアセンブリコンフィギレーション機能なら、連動した図面と表でコントロール可能   図2:主要な設計条件を人為ミスから守る自動リミット機能。開閉機構やアーム設計時に各設定値を超えた場合に警告する
図3:設計変更に強い接点構成情報の表形態による表示に対応   図4:コネクタ間の配線図面作成が可能で、複数の接続点を持つ機器の配線プロセスを効率化できる。これまでは手作業での配線に比べると格段の効率化が可能。ウィンドウを選択し複数母線の配線を可能にした。さらに適合するピンを自動検索することもできる
  
注  釈 : *1)【DWG】
AutoCADのネイティブのファイル形式
*2)【DWF】
各種データを持った図面、地図、モデルなどの設計情報を、設計者とプロジェクトチーム間で共有させるためのファイル形式
   
ウェブ情報源 : DWG TrueViewとDWG TrueConvertは、以下のURLから無償でダウンロードできる。
DWG TrueView : www.autodesk.co.jp/dwgtrueview
DWG TrueConvert : www.autodesk.co.jp/dwgtrueconvert
   
参考情報 : Autodesk製造ソリューション本部のエンジニアがイニシャルで投稿するBlogサイト
「In The Machine 日本語版」
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