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富士通研究所は、ハードディスク(HDD)のディスクに塗布される潤滑剤に含まれる分子の高さを従来の70%以下に低減する新技術を開発した。潤滑剤の分子を複数個連結する化学的な連結部を設け、ディスク保護膜と連結しやすい吸着基をつくらせる。そして、潤滑剤分子の垂直方向への伸びを抑える。この技術により、ディスクと磁気ヘッドとの隙間を狭め、データの読み書き精度を上げる。同社は、将来的に1平方インチあたり1テラビットの高密度HDDを支える技術の一つとしての採用を考えている。
HDDの記録密度を上げるには、ディスクと磁気ヘッドの間で確実なデータ読み書きが必要。そのためには、両者の隙間(浮上隙間)が小さい方がよい。現在の一般的なHDDの、浮上間隔は10nm以下だ。また、磁気ヘッドが接触してもディスクを壊さないためと、ディスク表面に不純物を付きにくくするために、ディスクには潤滑剤が塗布されている。この潤滑剤の分子は高さ2nm程度で、約10nmの浮上隙間に対してこの2nmは決して無視できないサイズである。
磁気ヘッドをディスクに近づけるには、潤滑剤分子の高さを低くすればよい。しかし小さい分子量の潤滑剤材料を用いると、潤滑剤そのものが蒸発しやすく、磁気ヘッドへ付着しやすくなるなど、信頼性が低下する恐れがある。そのため、分子量は大きく、分子自体の高さは低い潤滑剤が求められている。
富士通研究所では、分子量の小さい潤滑剤分子を複数個連結し、連結部にディスク保護膜と連結しやすい吸着基を取り入れた。吸着基は分子の垂直方向への伸びを抑制するため、分子の高さを低くすることができる。また、複数の分子を連結することにより、全体の分子量を大きくし、潤滑剤の蒸発が抑えられる。
潤滑膜の製造プロセスは、従来と変わらない。この技術を適用すれば、潤滑剤の分子量を大きくしても分子の高さはほとんど変化しない。例えば、現行潤滑剤は分子量4,000で分子の高さが約3nmになる。それに対し、開発した新技術で分子量1,000の分子を四つ連結させても、分子の高さは約1.3nmにとどまる。
富士通研究所では、2010年以降の実現を目指している記録密度1Tビット/平方インチのHDD用として、同技術の実用化に取り組む。同技術の詳細は、5月15日〜17日に東京都渋谷区で開催されるトライボロジー会議で発表する予定だ。
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