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DNニュース

2006年06月14日

トヨタ、開発から保守までの全工程の一元管理を目指す

 米国テキサス州ダラスで米Parametric Technology Corp.(PTC)が6月5日から3日間、メディアおよびアナリスト約80人、ユーザー約2,000人を集めて、ユーザー会を開いた。メディアおよびアナリスト向けに限定した発表をトヨタ自動車が行った。トヨタ自動車 コーポレートIT部 ITマネジメント部 エンジニアリング情報管理部 担当 常務役員である天野吉和氏が、同社のエンジニアリング部門でのITおよびPTC製品群の利用状況について語り、注目を集めた。

 トヨタは、日本とアメリカを中心に世界各国で開発、生産、販売の拠点を持っている。このような状況で同社は、デジタルモデルを中心にして、世界各国の車両の規格から生産、販売、サービスまでを一つのデータで管理しようとしている。ここにPTCの言う製品開発システム(PDS)、すなわち、製品の企画から開発、製造、営業、保守サービス、寿命が終わるまでの全工程をシームレスに一元管理するシステムの概念と通じるところがある。天野氏によれば、「このような考え方を取ることによって、開発生産のリードタイムを約半分ぐらいに短縮できるのではないかと思っている」という。

 トヨタとPTCは特に、エンジンを中心としたパワートレイン系の分野で協業しており、日野自動車やダイハツ工業などを含むトヨタグループでPTCの製品を利用している。「Pro/ENGINEERなどPTCの製品群を、CAEや金型の設計、機械加工など、すべての分野において利用している」と同氏。

 トヨタとPTCの関係はすでに十数年の歴史を持っており、約5年前から機能の開発においてパートナーシップを組んできたという。「CADにおけるPTCの製品群はほぼトヨタの技能要求を満足している」(同氏)。

 現在、トヨタはPTCとともに、CADをベースにして、Windchillを中心にしたPLM環境へ移行途上だ。天野氏は、「プロダクトデザインからプロセスデザインまでの期間を短縮するためにWindchillを早期から導入してきた」と述べた。

 同氏のセッションには参加者から多くの質問が出た。以下、講演後のQ&Aを紹介する。

Q PTCとの関係に加え、ダッソー・システムズ(以下、ダッソー)とはどのような関係を持っているのか。
A PTCの製品はパワートレインの分野に利用し、ダッソーの製品は車両設計の分野で使っており、機能のすみ分けをしている。一つのCADでやったらどうだと質問されると思うが、トヨタの中では当面、二つのCADを利用していこうと思っている。やはり、パワートレイン系での機能群では、PTCのPro/Eの方が優れていると今のところ見ている。

Q 最近、日産自動車と本田技研工業(以下、ホンダ)がプロダクトデザインとデータマネジメントを導入すると聞いたが、御社とこれらの競合は異なったことをやっているように見えるが、PLMに関してこれらの競合に対して優位に立っているのはなぜか。
A 日産やホンダとの関係というか、仕事の進め方についての質問だが、あまり情報共有できていないため、上手に答えられない。おそらく、ホンダとはシステムがCATIAという意味で、将来、同じような仕事になるのではないかと思っている。詳細は、ほかの会社のことなのでよく分からない。

Q トヨタは電気自動車技術および電気的なドライブシステムのリーダーで、市場を獲得しつつあると見ているが、それはPLMデザインを変更することになるのか。つまり、ハイブリッド自動車の要求がPLMの要求を変えるのか。
A まだ、社内でのコンセンサスは得られていないが、私はハイブリッドの電気系のところでは、異なるPLMの考え方を導入した方が良いのではないかと思っている。全体の流れとしては、一つのPDMであるのが、正しい答えだと思うのだが、例えばデザインや、ハーネス、テレビのエレクトロニクス、金型設計など、個別の分野については、異なるPLMがあってもよいのではないかと思っている。基幹を成すPLMと各島(異なる分野)のPLMが相互に関係する、つまり、独立しながら相互に関係するという関係を持ってもよいのではないかと私は思っている。
 我々、コンピュータを扱う人間としては、一つ(のPLM)でやりたいというのが思いだが、データの量や、その分野ごとの特性、そして、レスポンスなどを考えた場合、今のテクノロジーでは、4〜5年かかるのではないか。少し独立させ、軽くして仕事をした方がよいというのが私の意見だ。

Q スケジュールの点からみたWindchillの導入状況はどのようになっているのか。また、同製品がすぐにトヨタの現在の要求を満たすことができるのか。
A 我々は、今まではPro/INTRALINKを使っていたが、2006年の8月からWindchillに全面的に切り替える。我々がとりあえず今、Windchillなど、PLM、PDMに期待するところの要件については、PTCはほぼ計画通り、開発してくれている。おそらく、今後、Windchillを使っていく上で、カスタマイズする必要性、不足の要求機能が出るかもしれないが、それは我々とPTCとの関係の中で要求通り、スケジュール通り、開発されてくるだろうと信頼している。

Q サプライチェーンを標準化していくという話をいくつかの企業から聞いたが、サプライチェーンの標準化についてはどのように考えているのか。
A 先ほども言ったように、一つ(のPLM)にしたいと思っているが、我々のサプライヤー、いわゆるパワートレイン系とボデーデザイン系の会社というのは、基本的に分かれている。そのため、二つのシステムで運用しても、今のところ特に支障はないだろう。ただ、パワートレイン系とボデー系をブリッジする情報が必要になるため、そこは、内製で作るかどうかは別にして、あるブリッジを架ける必要はある。これは、そんなに難しいことではないと思っている。

Q PTCの製品をパワートレイン系に、他方で別のシステムを電気系の仕事に用いているが、ある時点で、振動などの影響を調べるために電気系のシステムとパワートレイン系のシステムを組み合わせて解析する必要が出てくる。この場合、これらのシステムの間のデータの変換はどのようにしているのか。また、どのようなシステムを使って全体のデータを管理しているのか。どのようなデータをやりとりしているのか。そして、どのようにそれらの解析のデータを管理しているのか。
A 解析をどうするかということに対する答えだが、解析のシステムは実は、トヨタの内製のシステムを使っている。おそらく、今後もそうだと思う。このため、どこからのデータでも受けられるようにする必要がある。Pro/E、CATIAのいろいろなバージョン、AutoCADなど、いろいろなCADを含めたCAEモデルを構築して、それで(解析システムを)作っている。仕入れ先まで含めた場合、いまだに、いろいろなCADがトヨタグループの中にあるため、一概に一つのCADフォーマットにするということはあり得ない。CAEだけだが、自社のフォーマットを使っている。
 統一されたCADのデータをどのように管理しているかという質問だと思うが、Pro/EはPro/E、CATIAはCATIAで分かれて管理しており、実際にそのブリッジは、内製の部品表(BOM)のシステムで一元的に管理するというのが、私の知る限り、トヨタ自動車が今考えているやり方である。他のメーカーも、CADだけで管理するという世界じゃなくて、部品表との関係も含めて全体的に考えなければ、仕事は回らないと思っている。
 BOMがあり、(そのまわりに)CADがたくさんあり、その間をあるインターフェースを取ってブリッジするという、2階層で管理する方法が、トヨタ自動車が取るべき正しい方法ではないかと思っている。
(大村 泰憲)


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