DNニュース
2006年07月25日
産総研、有機ナノチューブを容易に大量合成する新手法を開発
産業技術総合研究所(産総研)は、少量の溶媒で有機ナノチューブを大量に合成できる新手法を開発した。従来の手法に比べ、合成時に使用する溶媒の量を1/1,000〜1/10,000に減らすことが可能で、乾燥も数時間で済む。この手法で合成した有機ナノチューブの大きさは、内径が40nm〜200nm、外径が70nm〜500nm、長さが数μmだった。
有機ナノチューブは、1個の分子中に親水部と疎水部を併せ持つ両親媒性分子が、水中で自発的に集まる自己集合によってナノチューブ構造を形成する。合成技術としては水中での自己集合法が存在するものの、重量比で合成するナノチューブの1,000倍から10,000倍という大量の水を必要とする。さらに、分子を最終的にチューブ状集合体へと形態変化させるために多くのステップと長い時間が必要だ。このため、実験室レベルで1g以上のナノチューブ量産は困難とされてきた。
今回、産総研は糖やペプチドなどの原材料を親水部および疎水部に用い、N-グリコシド型糖脂質またはペプチド脂質を分子設計、合成した。水溶媒の代わりにエタノールなどの有機溶媒を使ったところ、溶媒を室温放置あるいは濃縮するという簡便な操作で有機ナノチューブの合成に成功した。
材料をよく溶かす有機溶媒を使用したため、従来の手法に比べはるかに少ない量の溶媒で、有機ナノチューブの固体粉末を1kg以上製造できた。また、従来は数日間以上の真空乾燥が必要であったのに対し、有機溶媒を使用したことから数時間で乾燥が完了する。
新たに合成した有機ナノチューブは、これまで不可能であった10nm以上の大きな機能性物質(タンパク質、金属ナノ粒子など)を内部に取り込める。産総研では、「現在、包接用物質として事業化されているシクロデキストリンでは包接不可能な大きさの機能性物質でも内部に取り込むことができることから、医療、健康、ナノバイオ分野など幅広い応用展開が期待できる」としている。
なお産総研は、7月25日〜27日にパシフィコ横浜で開催されるオルガテクノ2006に、この研究成果を出展する。
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合成した有機ナノチューブ(左:約100g分の粉末、右:走査電子顕微鏡写真)
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合成した有機ナノチューブによる包接の様子
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左と中:内部は金ナノ粒子、右:内部はフェリチン)
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