2006年08月09日
ドイツのインゴルシュタット単科大学のJ.ヴェルニッツ工学博士を中心に同大学機械工学科と経済エンジニアリング科の学生らで構成した開発チームはこのほど、水素(H2)を燃料として最高速度70km/hで走るラジオコントロールカー「H2 Hyracer(ハイレーサー)」を開発した。組み立てた状態で販売しているが、大学向けなどには組み立てキットも用意する。日本でも東新化成が発売する。ラジコン飛行機やラジコンカーなどのメーカーである独Graupner社と独BMWがスポンサーとなり実際に走行可能な水素燃料ラジコンカーの製作を実現した。税込み価格は2WD(RR駆動)システム搭載車で199万5,000円、4WDシステム搭載車で205万8,000円。現在、アイルランドのGuinness World Records社の発行するギネス・ワールド・レコーズ(ギネス世界記録)に申請中である。 同ラジコンカーは、独BMWが水素エンジンカー「BMW Hydrogen Racer H2R」を開発したあと、ヴェルニッツ工学博士がBMWにミニチュアの水素エンジンカーを提案したところ、BMWも興味を持ち、BMWの社員がインゴルシュタット単科大学と共同することで実現した。大きさは1/8スケールで、全長700mm、全幅250mm、全高150mmとなっている。 現在はこの共同研究も終わっており、BMWはすでに水素燃料で走るBMW 7シリーズの販売を開始し、研究機関など向けに供給している。 市販の模型用エンジンを改造 H2 Hyracerのエンジンは総排気量11.50cc、水冷式で、市販されている模型用の空冷式4サイクルエンジンを水冷式に改造した。排気ガスをよりクリーンにするために、模型エンジンでは珍しいセミオートマチックインジェクション方式を採用して空気と水素ガスの混合比を調整している。シリンダーを変更したり、電気制御点火時期コントロールによるイグニッション点火システムや分離潤滑システムを搭載することで、水素と空気を混合して燃焼することが可能になった。排気ガスとしては二酸化炭素(CO2)ではなく、水(H2O)が出てくる。 エンジン出力は1.6kW(2馬力)、回転数は1,000〜15,000rpm、最大水素消費量は20dm3/分、水素供給圧力は約0.03MPa(0.3kg/cm2)。圧力コントローラやエアーチャンバー付水素蓄積システムにより、エンジンに燃料を供給している。エンジン供給圧は0.2MPa。水素タンクのタンク圧は4MPa、水素容量は300dm3、車体総重量は6.8kgで、25分間走行できる。最高速度は70km/h。炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製のボディ、アルミニウム合金製のシャーシ、ウイシュボーンサス、遠心クラッチ式2速トランスミッションを搭載している。事故対策として、走行停止と水素ガスを安全にカットするために、2台のラジオコントロール装置も搭載している。 水素ガスの補てんには、別途購入の充てんシステムを使って、市販されている充てん量3kgまたは10kgのポータブル水素ガスボンベから同ラジコンカーの水素タンクに充てんできる。 ヴェルニッツ博士のチームは、「エンジンが小さいため、水素ガスのリークを防ぐことや、水素ガス蓄積システムがエンジンへ水素ガスを安定して供給できるようにするのに苦労した」と語っている。 (大村 泰憲)