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DNニュース

2006年08月28日

『ぶつからないクルマ』に向けた画像処理プロセッサ

画像認識用並列プロセッサ「IMAPCAR」
トヨタ自動車の藤田浩一氏
NECエレクトロニクスの宮路吉朗氏

 NECエレクトロニクスは、車載向け画像認識用並列プロセッサ「IMAPCAR」(integrated memory array processor for car)のサンプル出荷を始めた。トヨタ自動車は、画像の中から歩行者などを認識して事故を防止する「プリクラッシュセーフティ機能」を実現するためのLSIとして、今年秋に発売予定のレクサス「LS460」に搭載する。これまで、車載のミリ波レーダーなどを使って進行方向の物体確認などは行われてきたが、「従来方式では安定的に歩行者を確認するのは難しかった」(トヨタ自動車車両技術本部第2電子技術部第24電子室長を務める藤田浩一氏)という。
 IMAPCARは、トヨタ自動車とデンソーの協力を得て開発した。複数のプロセッサで複数データを並列処理するSIMD方式と、1サイクルで複数命令を同時実行するVLIW方式を組み合わせたアーキテクチャを採用している。具体的には、ビデオカメラで取り込んだ画像データをLSI内のラインバッファと呼ぶメモリーに一時的に蓄え、それぞれ100MHz で動作する128個の演算ユニット(PE)で並列処理する。各PEは1サイクルで4命令を同時実行する。PEにはそれぞれ独立した2Kバイトのワークメモリーを内蔵した。LSI全体の制御は16ビットRISCプロセッサで行っている。
 このアーキテクチャにより、100GOPS(毎秒1000億回の演算)の処理が行え、車の進行方向に見える歩行者や白線などの画像を毎秒30ビデオフレーム(解像度はVGA)とリアルタイムで認識することが可能となった。この処理性能は、「現在市販されている画像認識LSIに比べ約5倍の速さ」(NECエレクトロニクスの自動車システム事業部長を務める宮路吉朗氏)という。製造プロセスは0.13μmを採用し、消費電力は1.7Wに抑えた。サンプル価格は2万円。
 「ぶつからないクルマ」を目指したトヨタ自動車のプリクラッシュセーフティ機能は、車載のレーダーやカメラによる情報を基に、前方の歩行者を含む立体物の位置や距離を検出して、衝突の可能性が高いと判断した場合、ドライバーに対しアラームやブレーキ表示で警報したり、車が自動的にブレーキをかけて停止したりするシステム。
 今回搭載するシステムは、例えば車に固定された2台のビデオカメラからの入力画像の中から、画像領域を進行方向に絞り込む。そして事前にデータベース化しておいた歩行者のテンプレートとリアルタイムの画像を重ねあわせ、2つのデータが一致すれば歩行者と判断する。最終的にはミリ波レーダーなどを使った別の障害物認識システムのデータと組み合わせ、デンソーが開発したプリクラッシュセーフティ用のコンピュータで総合的に危険度を判断し、衝突被害軽減のための制御を行う。
 NECエレクトロニクスはIMAPCARをトヨタ自動車以外の自動車メーカーや電装品メーカーにも供給していく。車載用画像認識システムの市場規模についてNECエレクトロニクスは2010年に400万台と見ている。その後、市場は急速に拡大し、2015年には1800万台規模に達すると予測する。その中で、NECエレクトロニクスはIMAPCARを含む車載画像認識システム関連のLSI事業で2015年に売上高200億円、業界シェア40%を目指す計画である。
(馬本 隆綱)



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