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DNニュース

2007年09月26日

日立マクセル、超臨界CO2を使ったプラスチックめっき技術を開発

 
技術統轄本部長を務める谷口富蔵執行役専務兼取締役 技術統轄本部長を務める
谷口富蔵執行役専務兼取締役

 日立マクセルは26日、超臨界状態にある二酸化炭素(CO2)を応用したプラスチックめっき技術を開発したと発表した。従来前処理に必要だった6価クロムを使わずに済み、ポリフェニレンサルファイド(PPS)など高耐熱のエンジニアリングプラスチックでも高い密着性を持つことから、自動車ヘッドランプ用のリフレクター部品向けなどに2008年から事業展開を本格化する。また10月2日から千葉・幕張メッセで開催される「CEATEC JAPAN 2007」で展示する。

 今回開発した技術では、温度31℃、圧力7.4MPa以上の時に液体の溶解性と気体の浸透性を併せ持つ「超臨界状態」となったCO2を使って、めっき析出源となるパラジウム(Pd)触媒をプラスチック基材に含浸させる。次に超臨界CO2とニッケルリン(NiP)めっき液を混合して無電解めっきを行うと、含浸させたPd触媒からめっき反応が進行し、高い密着性を持ったNiPプラスチックめっきを実現できる。

 従来は、6価クロムなどのエッチング剤によりプラスチック表面を凹凸に(粗化)してからPd触媒を付与し、めっきを行っていた。

 新技術は、RoHS/ELV指令などの規制対象になっている6価クロムが不要なので環境負荷を低減できる。さらに現在プラスチックめっき基材の主流である低耐熱のABS樹脂以外にも、PPS、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアミド(PA)など、エッチング剤による表面の粗化が難しかった高耐熱プラスチックでもめっきが可能になる。代表的なPAである6ナイロンとNiPめっきでの事例では、表面から深さ100nmの部分でナノレベルのアンカリング(くさび)効果が起こっており、密着強度は従来エッチングめっきの目標値の2倍となる20N/cmを達成した。処理コストについても、従来比で約25%削減できる見込みだとしている。

 技術統轄本部長の谷口富蔵執行役専務兼取締役は「まず有力な市場として期待できるのが金属代替プラスチックの利用が拡大している自動車部品。ヘッドランプのリフレクターなどが有望だ」と話す。リフレクターでは、PPSに超臨界CO2によるNiPめっきを施し、その上に放熱機能のための厚膜銅めっき、間にNiPめっきを挟んで、最後に反射膜として銀めっきを行う。PPS大手の大日本インキ化学と共同開発したもので、真空蒸着では困難だったPPSへの20μm以上の厚膜形成が可能だ。

 またPd触媒をプラスチック基材に含浸させるプロセスについては、単純に超臨界CO2にPd触媒を溶かした液体に漬けるバッチ法と、射出成形の時点でプラスチックの表面にPd触媒を含ませる射出成形法の2種類を開発している。当面の事業化では、技術をほぼ確立できているバッチ法をベースに展開する予定。射出成形法については、中小企業基盤整備機構が委託する福岡県の開発プロジェクトで実用化開発を進めている。

 日立マクセルでは、マクセル精器などのグループ会社で射出成形品を製造しているが、記録テープのプラスチック部品などほぼ自社製品向けとなっている。「今回のプラスチックめっき技術などによる高い付加価値を持った成形品を外販して行きたい」(谷口専務)という。

 尚、今回の開発は、福井大学の堀照夫教授、京都大学の大嶋正裕教授、東京工業大学の曽根正人准教授との共同研究を基礎に行った。
(朴 尚洙)

従来法と超臨界CO2(scCO2)を使った方法の比較 従来法と超臨界CO2(scCO2)を使った方法の比較

PPSを基材としたランプリフレクターの製造プロセス例。左から、初期成形品、Pd触媒付与、超臨界CO2を使ったNiPめっき後、銅めっき後、銀めっき後(完成品) PPSを基材としたランプリフレクターの製造プロセス例。
左から、初期成形品、Pd触媒付与、超臨界CO2を使った
NiPめっき後、銅めっき後、銀めっき後(完成品)
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