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PRCoCreate Forum 2007
「革新的なものづくりが、企業の競争力を強化する」

【事例発表U】
製品開発プロセスにおける設計効率向上のためのデータ活用

横河電機の通信・測定器事業部では「OneSpace Modeling」を導入して計測機器の開発に取り組んでいる。コラボレーションツールの活用やIDFフォーマット化なども総合した3次元データの活用によって、設計効率は60%以上も向上した。その取り組みを通信・測定器事業部要素技術開発センタープラットフォーム技術統括 機構設計Gr チームリーダーの竹原徹氏が明かす。

横河電機株式会社 通信・測定器事業部 要素技術開発センター プラットフォーム技術統括 機構設計Gr チームリーダー 竹原 徹 氏

竹原 徹 氏

横河電機株式会社 通信・測定器事業部
要素技術開発センター
プラットフォーム技術統括
機構設計Gr チームリーダー
竹原 徹 氏

横河電機通信・測定器事業部では波形測定器、無線測定器、光通信測定器などを開発している。これらの計測機器の平均的な大きさは全幅でおよそ19インチラック程度になるが、光ファイバ測定器のようにA4サイズのハンディタイプもある。


3次元設計環境の大枠としては、我々の所属する技術部門ではデータ管理、アセンブリ設計/部品設計、製図、応力解析などを行っている。それに対して上流側にはデザイン部門やマーケティング部門がある。下流側にはドキュメント部門や製造部門があり、板金、モールド、ダイキャスト部品製造などを行う。また試作業者や外注先と連携し、FTP、メールなどで3次元データのやり取りを行っている。


さらに技術部門は、自社開発した「TERRA(テラ)」と呼ぶ製品情報管理システムとLANで結んでいる。これは製品や部品などのものづくりに関わる情報(図面、CADデータ)の変更履歴を管理するシステム。このTERRAにアクセスすれば、誰でも3次元データの参照や利用ができる。もちろんセキュリティレベルを設けており、必ずしもすべてのデータを活用できるわけではないが、従来だと3次元データはごく限られた範囲でしか利用できなかったのが、このTERRAによって例えばデザインレビューなどでも事前に3次元データで確認することが可能になるなど、設計環境は大幅に向上している。


技術部門における3次元設計環境は意匠、機構設計、プリント板設計/DR(設計レビュー)、製造という流れがある。意匠は工業デザイナーを指す。デザイナーはもともと紙、あるいはデザイナーに特化した3次元CADを使っていて、我々が活用できるデータにはなっていなかった。しかし、我々が3次元CADの導入、活用を進めるなかで、意匠部門でも我々が使っている3次元CADに取り組み始めた。当初はデザイナーの感性が生かせないといった不満も見られたが、最近は操作の習熟やデータ変換精度の向上などを背景に活用が進んでいる。

技術部門は当初から製造部門へのデータの供給を意図しており、製造部門では、既に2次元CAMシステムを導入していたので、3次元CADの導入は大きな混乱もなく実現した。ただし、機構設計部門と製造部門が途中から三鷹市と甲府市などに離れるということがあり、コラボレーションツールを活用して3次元CADの導入、運用に取り組んだ。この3次元設計+コラボレーションツールの活用によって、2次元設計時の工数を100%とすると、40%強の工数削減効果、設計効率の向上を実現した。


機構設計、プリント板設計、DRにおける3次元データの活用について紹介する。まず機構設計者とプリント板設計者との間のデータのやり取りは従来、紙もしくはDXF(Data eXchange Format=AutoCADで使用されるファイル形式)で行っていた。しかし、例えば紙だとグランドパターンや寸法の読み取り自体が実質的に不可能である。またDXFではデータで貰うことは出来るが、例えば部品高さのデータがないとマニュアルで入力することになるが、その際に入力ミスなどが発生する。そこでそうしたミスの防止や、入力時間そのものの短縮化が出来ないか検討した。そしてIDFフォーマットを採用することによってデータ入力のミスを防ぎ、かつ時間短縮化も実現した。


ただし現状は、機構設計とプリント板設計のデータのやり取りに関しては、多くのノウハウも必要とするので、双方向ではなくプリント板設計からデータを受け取る際にIDFフォーマット化を実現したが、データのフィードバックは従来どおり紙もしくはDXFフォーマットで行っている。一方通行ではあるがIDFフォーマット化を実現したことで、ミス低減や製品設計時にリアルなデータが得られるようになり、その結果シミュレーションが速くなるといった効果も得られている。


DRについてはLCA(Life Cycle Assessment)算出ツールを利用することによって製品のライフサイクルを評価するという社内基準がある。そのためLCA算出ツールを使用するには、各部品ごとに属性を入力しなければならない。それが3次元CADにその情報を付加することによって入力の手間が省けることになったが、それを実現するためにOneSpace Model Managerをカスタマイズしたデータベースを構築した。


先に、3次元設計やコラボレーションツールの活用によって40%以上の設計効率の向上を実現したと紹介したが、これに加えてIDFやOneSpace Model Manager(とそのカスタマイズ)を駆使した3次元データを活用することによって、さらに20%の設計効率向上が図られている。つまり、2次元設計と比較すると、3次元データを活用することによって60%以上の設計効率の向上、コストダウンを実現したことになる。


最後に課題について触れておくと、一つはカスタマイズをしてしまったことがある。以前はカスタマイズをしすぎてバージョンアップが困難という事態を招いたので、今回はカスタマイズをせずに標準で使おうと考えていたが、結局はカスタマイズをした。それは我々の設計手法に照らして使いづらいものがあったからだ。製品設計をしながらリレーショナルデータベース(Oracle)の維持・管理といったメンテナンスを今後どうするかといった課題も残る。また、IDFは拡張子がベンダーによって異なり、その対応が繁雑。この辺りの改善も今後の課題と言えよう。

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